英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『ビブリア古書堂の事件手帖』 第2話「落穂拾ひ・聖アンデルセン」

2013-01-21 21:54:25 | ドラマ・映画
「想像してみてください」

「お誕生日、おめでとう」
「お前になんか言われたくねえよ、ば~か」


 傷つきますよね。
 あ、冒頭のフレーズの使い方、違いました。

栞子の推理法のひとつだと思うが、何か、企業の新システムのプレゼンテーションに使わるような切り口みたいだ。
 それにしても、あの男子高生、心の卑しい奴だ。そもそも、一見で高校生に見えないが…


 それはともかく、栞子の勿体ぶりには、少々イラつく。確かに、小出しにしてくれた方が、推理する楽しみはあるが……
 それに、
「あなたは、そのスピンが欲しくて……本を盗んだんです」
パッパッパパ~パ♪パッパッパパ~パ♪
やかましいぞ!


 う~ん、すごい推理力である。
本を売るためでもなく、本を読むためでもなく、
盗む理由があるとしたら、それは……一体なんなのでしょうか?

という、栞子の言葉で始まるオープニング、まさに『鍵のかかった部屋』であるが、
それはさておき、
盗んだ理由が大きなカギであった。
 しかし、それと
志田の話…≪紙袋の中身を確かめる様子、何かを探す様子≫
笠井の話…≪バス停の方に走って行った、はさみを借りた、はさみに水滴がついていた、客を乗せたバスが走り去って行くところで、バス停のところに彼女は残っていた≫(よく、はさみを持っていたなあ)
≪残された古書のラインナップ≫
という情報で、あの結論が導き出せるのか?

 親切にも五浦(視聴者)に、バスを乗らなかった真相を明かし、“本を構成するパーツは?”と問いかけ、
 男子高生の話…≪その時の女子高生の言動と間柄≫

 ここまでヒントを出されると、おおよその事の次第は想像できる。
 視聴者は、映像で彼女のしぐさや紙袋の形態で、紙袋は誕生日のプレゼントで中身はケーキ類と見当がつく。彼女の欲しかったものは、本を構成するパーツの一つの“スピン”ではさみとつながる。
 でも、リボンの固定するための紐までは、なかなか想像できないなあ、男性は。


 さて、このドラマのもう一つの見どころ、
≪本にまつわるストーリー≫

「この話って願望全開だよね。こんな女いねえよ。
 でも、願望だって分かってて、敢えて書いてる。
 それがはっきりしてるから、いい話なのかなと思った」


 これは女子高生の感想だったが、志田と感性が同じだったようだ。
 小説の良さは理解できるが、志田の話やエンディングでの本の紹介を読んでも、よく話が分からない。
 本の主人公の誕生日に爪切りと耳かきのプレゼントをもらって、おしまいって。
 どこが、「願望全開の女性」なのか?これは、実際に読んでみないとわからないのだろうが、だいたい、誕生日のプレゼントに爪切りと耳かきって、現代では(少なくとも私には)理解不能。

【補足】
 通りすがりさんから
「願望全開の女なのではなくて
実際貧乏小説家だった作者の小山が、貧乏小説家が
優しい古書店の若い娘と知り合いになって優しくされる
という現実にはありえない願望を、小説にしたという
作者の願望全開な小説という話かと」

というご指摘をいただきました。
 全くその通りです。未熟でした。
 
 本の中の女性が、主人公の誕生日が、『落穂拾い』を描いたミレーと同じ誕生日だと教えたのは、励ましだったように思うが、私的には、この小説のタイトルの由来が最後に明かされるというオチだったのでではないかとひねくれて考えてしまう。

 志田のこの本そのものへの思いもあったが、省略。


「かわいそうになあ。……本のことじゃねえ、あんたのことだよ。
 こんなこと(本を盗む)まで頑張ったのに、プレゼント、受け取ってもらえなかったんだろ」
「どうでも良かあねえよ。あんたは気持ちを踏みにじられて傷ついた。………
 ……もし良かったら、俺に話してみねえか」

“何かの役に立つということを抜きにして、
 僕たちがお互いに必要としあう間柄になれたら、
 どんなにいいことだろう”


「甘ったるいけれど、胸に沁みる言葉じゃねえか……なあ」

この言葉に、彼女は堰を切ったように泣き出し、心の傷が洗われていった。

 でもね、志田さん。
 あなたがあの場所に自転車を放置したから、この騒動が起こったのだよ。
 彼女が怪我しなくてよかったよね。

 たぶん、推理パーツと人情パーツが相まって、非常に面白いのだろう。
 しかし、ヒロインにイマイチ魅力を感じず、女子高生も盗んでおいて態度が悪すぎなので、共感が少ない。これは、脚本のせい?それとも演出?それとも女優のせい?

「大丈夫です。彼女は、また、戻ってきます」
って、無表情で言っていたが、ここはにこやかに言う方が魅力的なのではないだろうか?
 ここだけでなく、真相を明かす説明も、無表情すぎて魅力を感じない。



「意外でした、『落穂拾ひ』のこと。
 五浦さんが、あんなに一生懸命になるなんて」


 え?五浦の人となりを認めて、雇ったのではないの?

 その五浦であるが、
「ストーカー?……893?」
と、男子高生に勘ぐられるが、正体はダンサーである、いや、古書店員である。
 今回、栞子のことを根掘り葉掘り聞いていたが、同居していない母親のことを、ずけずけ訊くものだろうか?

 甘味処のマスターとの変な会話は要らない。


【ストーリー】番組サイトより
 篠川栞子(剛力彩芽)は、小山清の『落穂拾ひ』を盗まれ気落ちする「せどり屋」の志田肇(高橋克実)を五浦大輔(AKIRA)に紹介した。すると、志田はあいさつもせず、本を盗まれたときの状況を話し始めた。
 志田は古書堂へ来る前、ある寺に用があり自転車で向かった。ところが着いたとたんに腹痛がし、荷物を残したままトイレへと駈けだした。そのとき、音がして振り返ると女子高生らしい少女(水野絵梨奈)と自転車が倒れているのが見えたので、戻って声をかけた。しかし、少女は見向きもせず自分の紙袋の中身を確かめていた。志田は気になったが、自転車を起こしておいてくれと頼むとその場を立ち去った。それでトイレから戻ると、『落穂拾ひ』だけが紛失していた。少女が盗ったのは間違いないと志田は言う。
 栞子は、少女が『落穂拾ひ』を盗った理由こそが少女を探す鍵になると言い、トイレから戻ったとき、自転車とほかの本はどうなっていたのかと聞く。自転車も本もその場に放置されていたが、本は仲間の笠井菊哉(田中圭)が拾い集めてくれていた、と志田は答えた。また笠井は、寺からバス停へと走り去る少女を目撃していたという。
 栞子の提言で笠井と会った大輔は、あの日、笠井が少女に頼まれ、ハサミを貸していたと聞く。さらに、バス停まで走った少女が、バスには乗らなかったとの証言も得た。それを聞いた栞子は、少女が盗むのは『落穂拾ひ』でなければならなかったのだと言い…。
コメント (11)
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