英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

残念な対局放棄

2013-01-31 20:44:03 | 将棋
 対局放棄は非常に残念。
 日本女子プロ将棋協会(LPSA)と日本将棋連盟と軋轢があったわけだが。対局放棄はどちらに非があるか以前の愚かな行為である。

 昨日、マイナビ女子オープン戦の準決勝の2局を覗いてみようと中継サイトを開くと、なぜか甲斐智美女流四段―鈴木環那女流二段の一局だけ。
 ページを見渡してみると、下の項があった。

第6期マイナビ女子オープン
準決勝 里見―石橋戦のお知らせ

 里見-石橋戦は行われません

 1月29日に日本女子プロ将棋協会から、現行第6期の契約解除と、代表理事である石橋女流四段棄権の発表がありました。30日に予定されていた里見香奈女流四冠-石橋幸緒女流四段の対局は行われませんので、ご了承ください。



さらに、別の項で

第6期マイナビ女子オープン
里見女流四冠不戦勝のお知らせ

 1月30日に予定されていた里見香奈女流四冠-石橋幸緒女流四段戦は、里見女流四冠の不戦勝となり、挑戦者決定戦進出が決まりました。
 1月29日に日本女子プロ将棋協会は、現行第6期の契約解除を発表し、代表理事である石橋女流四段は対局を棄権しました。


 とある。


 棋士は将棋を指すのが本分である。
 将棋を生業とするのなら、将棋ファンを大切にし、スポンサーに礼を尽くさなければならない。
 今回の対局放棄は、里見-石橋戦を楽しみにしていたファン、その舞台を用意したマイナビ社を蔑ろにした行為である。
 LPSAは連盟に対していろいろな不満があったと思うが、その不満をファンやスポンサーにぶつけただけの対局放棄と行為に走ってしまった。その他のスポンサーや将棋ファンのLPSAへの信用を失墜させてしまった。
「LPSAへの来季の契約打ち切りが不満なら、
 石橋代表よ、挑戦者になって、女王位についてしまえば良かったじゃないのか!」


 そもそも、マイナビオープン戦へのLPSA所属の渡部愛ツアー棋士の参加資格問題で折り合いがつかずこじれた。マイナビ社は2団体の話し合いに任せると第3者の立場を取っていた。
 参加資格問題から、時期契約問題に発展し、マイナビ社がLPSAとの次期の契約打ち切りを通知した。
 それを受けたLPSAが「契約打ち切りの方針変更をしない場合は出場を取りやめる」とマイナビ社に通知した(1月25日)。

【参照】
◆LPSA
「マイナビ女子オープン準決勝対局、断念の背景と経緯説明」
「次期マイナビ女子オープンへの弊協会不出場について(ご通知)」(マイナビ社宛)
◆日本将棋連盟
「日本女子プロ将棋協会(LPSA)による マイナビ女子オープン対局放棄についての記者会見の模様」

また、詳細な経緯や分析が、日本経済新聞の「クローズアップ」の『女流将棋界で対局ボイコット騒動 プロ資格巡り対立』 でまとめられています。

 渡部さんの女流棋士としての地位を確保したいという気持ちはわかるが、大人げない行為だった。
 女流棋士育成という志も立派であるし、理解できるが、現在のLPSAの認定基準は甘く、その上、連盟が関与しないところで女流棋士を増産されるのは困るというのはもっともな主張である。第一、LPSA所属棋士でまともな戦績を上げているのは中井女流六段と石橋女流四段のみと言ってよい体たらくである。
 そもそも、「LPSA公認プロ制度」を立ち上げる際、連盟の確認を取ったのだろうか?もし確認や了承なしで動いたとしたら、非常に無責任だ。若い女流棋士志望者の将来の一翼を担う責任があるはずだ。将棋連盟から独立当時からLPSAは見込み発進が多かったように感じる。
 また、今回の経緯を見ると、LPSAは文書でのやり取りしか行っていない。私はこういう契約面での現場は知らないが、文書では綿密なやり取りはできず、誠意や熱意も伝わりにくい。LPSAは本気で交渉するつもりがあったのだろうか?
 LPSAは公益社団法人認定取得を誇っているが、LPSAが公益社団法人認定取得できたのは、「将棋」の伝統と素晴らしさ、そして将棋連盟の信用があったからなのではないだろうか?今回の行為は公益社団法人認定取得の認定基準が適正なものか?という疑問さえ感じさせるものだ。
 
コメント (26)
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