英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒season12』 第12話「崖っぷちの女」

2014-01-17 19:45:45 | ドラマ・映画
崖っぷちの女……タイトルを観たときは、「瀬戸際に立たされた女性」かと思ったが、「崖」=「ビルの屋上の際(きわ)」という比喩はあるものの、まさにそのものであった。
 まあ、ある意味「瀬戸際」ではあったが、この女性が頑張った?おかげで、捜一コンビは右京にこき使われるは、享は肝を冷やしたり落ち込むはで、楽しませてくれた。やはり、右京と伊丹のコンビは面白い。

 この〝崖っぷちの女”雪絵であるが、その行動にはかなり強い違和感があった
 「犯人にされそうなうえ、大事な教え子のオーディションには立ち会えない。そのうえ、愛していた前田先生がいないのなら、生きていてもしょうがない」と、やけになって屋上から身を投げようとしたが、あまりにも衝動的で女子中学生のような行動である。とても38歳の女性とは思えない。しかも、教師(人を指導する立場)であるのに。
 愛する人を亡くしたことの悲しみと理解はできるが、≪自分をハメた人物(真犯人)が誰か?≫を知りたいだろうし、教え子のオーディションも気になるだろう。
 身の潔白を訴えるための行動と解釈はできるが、それなら、右京たちが動いて、徐々に音楽学校の裏の悪事が明らかになっているのに、崖っぷちで他人を拒み続けるのは不自然である。
 普通、右京ならこういった雪絵の行動に疑問を持ち、早い段階から雪江の真意を推理、確認しようとするはずだ。(モヤモヤはしていたようだが)

 ここで断っておきたいのは、「不自然な雪絵がおかしい」と批判しているのではなく、微妙に不自然な動きや行為をして、モヤモヤした違和感を抱かせる演出(脚本)が巧みだったということ。
 微妙な役どころの雪絵を演じた小島聖さんもうまい女優さんだと思った。


 ただ、雪絵が飛び降りた理由は説得力に欠ける
「何故あなたみたいな生徒思いの先生と、前田みたいな男が、そんな関係に?
 何か、弱みでも握られていたんじゃぁ?」
という享の言葉がきっかけで、享に身をあずけようとしていた雪絵が、後ずさりして、
「あなたには分からないわよ。
 最初から死ぬつもりだったの。
 これで思い残すことなく、前田先生の許へ行ける、さようなら」
という言葉を残して、飛び降りてしまう。

 雪江の言動を振り返ると、彼を失った悲しみよりも、身の潔白が第一だったように思える。
 しかし、最後の言葉だけ、取って付けたような“彼を失った悲しみ”を言及している。

 となると、右京が言うように、飛び降りたのは前田を愛していたことをダメを押す行動のように思うと納得はできる。
 でも、男女の愛なんて合理的なものではなく、享は何も雪絵の愛を疑っていったわけではないように思える。何も飛び降りなくてもと思うのだが……

 まあ、彼女が飛び降りたのは、「右京に真相を気づかせるため」、「享を落ち込ませるため」、「視聴者をどきっとさせるため」なのであろう。
 それにしても、(不謹慎な表現だとは思うが)見事な背面落下だった。


 彼女の決死の行動は、「カネの為」であったが、それは、教え子を留学させる資金が欲しかった。
 ただ、教え子の為というよりは、自分の名声や自己満足の為だったようだ。

 それはともかく、理事長が金の隠し場所を変えていたり、金の在り処を白状してしまう可能性も大きい。自分は学校の悪事に加担していないのだから、普通に事情を説明した方が得策ではないのだろうか?
 大麻を利用して前田に近づいたというのも無理がある。

 疑問がもう一つ
 風間から「そいつ(共犯者)の別荘の裏に埋めてあるらしい」ということを聞いていて、右京によって共犯者が暴かれた。しかし、雪絵がピンポイントで金の入ったトランクを掘り当てるというのは、ちょっと…… 

 とは言え、冒頭で書いたように、彼女のおかげで、伊丹が大活躍(こき使われた)。
 それに、出番は短いが、内村刑事部長と角田課長が魅せてくれた

「万が一の時は…責任を取る………もちろん、お前(中園参事官)がだ」(by内村)


「すいません、ありがとうございます。いやいや、課長が暇で助かりました」(by芹沢)
「だから、暇じゃねえって言ってんだよぉ!」(by暇か課長)




【ストーリー】番組サイトより
 享(成宮寛貴)が所轄署に遺留品を返却しに行くと署の屋上から飛び降りようとする女性を発見! 享は女性の説得に屋上へと走る。飛び降りようとしていたのは音楽学校の講師・雪絵(小島聖)で2日前に殺害された同僚・前田の最重要容疑者として取り調べられるはずだったが隙を見て屋上に逃げ込み自殺をほのめかしているのだ。雪絵は屋上の淵に立ちながら、駆け付けた享に無実を訴え続けている。

 報告を受けた右京(水谷豊)は雪絵が勤める音楽学校で半年前に男性講師が自殺していたことを突き止める。今回の事件とどう関係しているのか…。

 右京は享が説得を続けている間、伊丹(川原和久)らと前田殺害事件の真犯人を探し出そうと行動を開始するのだが、事件は意外な結末へと導かれていく!

ゲスト:小島聖

脚本:金井寛
監督:近藤一彦
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