英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『福家警部補の挨拶』 第2話「禁断の筋書」

2014-01-22 21:58:27 | ドラマ・映画
それなりの洞察力、推理力なのだが…
①入浴剤の付着状態(閉まっていないと付着しないドアの部分にも入浴剤が付着していた)は、事故(事件)が起こった時にドアが閉まっていたことを示しているが、発見時にはドアが開いていたことから、被害者が浴槽に倒れ込んだ後に誰かがドアを開けて浴室から出ていった。
②乱雑な部屋に揃えられたコミックと脱いだブーツに違和感を感じ、さらに、そのブーツに本人の新しい指紋がなかったことから、被害者は誰かを部屋に入れたのではないか
③マンションの指紋認証でみどりは通常、右手の人差し指で行っていたが、事件当夜、10時には人差し指、0時には中指で行っている。この間にみどりは右手人差し指を怪我したのではないか。
 みどりは普段から手袋をしており、その時だけ怪我をするのは不自然で、犯行時にけがをしたのではないか?また、みどりを観察して、彼女が左手でも右手同様に絵や字が書けることを確認。
④現場に残されていた5冊のうち、1冊だけ折り目がついていなかったことに気がつく。折り目を付けずにサインやイラストを描くには、左手で描けば可能である。左手で寸分の違いもなくみどりのキャラのイラストが描けるのは、みどりしかいない。

 ①~④によって、犯人はみどりであると絞られるが、みどりが犯行を行ったという決定的な証拠にはならない。現に、「(たまたま)一冊だけ左手で描いたんです。サインを書いた時、一冊だけ。誰も見ていなかったけど」と言われてしまう。
 証拠となる犯行時に入浴剤が付着したと思われるドレスや手袋は、捨てられてしまっていた。ただ、恩師である漫画家・細田理恵子とのお揃いのブローチだけは捨てられない。たとえ、証拠となるとしても。
 そして恩師との対談の際、ブローチをすり替え、福家の追及を逃れようとしたが、その行為を読まれて印をつけられていて、「すり替えた」という行為が証拠となってしまった

 被害者の三浦真理子は、河出の漫画を切ろうとしたのではなく、細田の連載を切ろうとしていた。
「三浦さんはただ、『ルル』と少女漫画の事だけを考えていたのよ」
 その言葉を聞いたみどりは半狂乱になる。
「真理子は私を憎んで恨んでいたの。プロになれなかった時から、ずっとずっと。自分が夢をあきらめたことを私のせいにして、私の邪魔ばかりして、私から漫画を取り上げようとしたの!絶対に負けたくない。真理子が、真理子が、どんなに私を恨んでも、真理子が、真理子がぁっ」
「河出さん、河出さんっ!憎しみに囚われていたのは、あなたです」



「証拠のブローチをすり替えることを逆用する」ことと、
プロをめざしていた二人の、生き方の違いを鮮明にし、最後の半狂乱ぶりに、「憎しみに囚われていたのは、あなたです」という言葉で締めくくる。
 『プロローグで、伝説的逸話から切り込み、決定的な証拠で犯人を追いつめ、決めの言葉で締めくくる』というパターンがこのドラマの「売り」なのだろう。
 でも、弱い!特に今回は、見え見えのオチだったので、富田靖子の熱演は認めるが、あの言葉で斬られても余韻どころか、中途半端な感じが漂うだけだった。プロローグと本編の関連もピンと来ない。

★刑事ドラマとして弱い
 上述した推理の①④などはなかなかのものだと思うが、直前にも書いたが、肝心の犯人の行為を逆用した決定的証拠が見え見えだったこと。既視感があり過ぎ。
 さらに、刑事ドラマとして疑問だらけ。
 死因は溺死。しかし、あれだけ強くブロンズ像のような文鎮で殴ったので、大きな傷や血も出そう。浴室で転んだとしても、どこに頭をぶつけたのか検証しそうなものだ。そもそも、私はあの一撃で亡くなったと思ったぞ。
 また、ドラマを観る限り、「入浴剤のフィルム容器に被害者の指紋が残っていない」はず。その指摘もなし。
 それに、「すり替えた行為」が証拠と主張しても、「単に私間違えただけ」と言われてしまえば、それまでではないのだろうか?

 稲垣吾郎も存在意義ないよね。今回は、たまたまヒントを与えた事になったが、もう少し、福家にヒントを与えるとか、刑事として福家の未熟な点を指摘するとか、まったく的外れな「おまぬけ上司」にするとかしないと。

★人間ドラマとして弱い
 最後が弱かったもう一つの原因として、被害者の人生観や考え方に共感できなかったことが挙げられる。
 大概、こういう被害者は、加害者のことを本当に思っていたが、言葉足らずを誤解されてしまう。被害者の真意が最後に明らかになり、後味の悪さのようなものが漂う…というのが定番である。
 しかし、この被害者、確かにやり手で、みどりの漫画の欠点を見抜き、また、少女漫画界のことも真剣に考えていたようではあるが、人間性が悪すぎ。自分のセンスや目のみを信じ、しっかり漫画家を育てようとしない。「売れるのが正義(売れた漫画が面白い)」というのも、一面では正しいが、長い目で見ると「面白いマンガを書くことが将来につながる」のだと思う。
 それに、アルコールが入っていたとはいえ、みどりに対する態度(ブーツを脱がせてもらっている人の肩に足を載せるなど)は横柄以上のモノ。読者プレゼントも乱暴に扱う。
 そんな三浦が「『ルル』と少女漫画の事だけを考えていたのよ」と言われても、普通は納得できない。

 そもそも、4年前、連載を切られたいきさつが、視聴者にはよく分からない。みどりが4年間干されていた割には、高級なマンションに住んでいるし。


【ストーリー】番組サイトより
 漫画家の河出みどり(富田靖子)は、大御所漫画家、細田理恵子(銀粉蝶)ゲストのパーティーに出席。帰り道、タクシーに同乗した湧泉舎の少女漫画雑誌『ルル』の編集部員、馬場康之(石井智也)から、みどりは不穏な話を聞く。湧泉舎の三浦真理子営業部長(渡辺真起子)が、『ルル』のリニューアルに文句をつけ、連載のラインアップを変えるよう渡辺良進編集長(橋沢進一)に詰め寄っているらしい。リニューアル後の新連載が予定されているみどりには、聞き流すことが出来なかった。
 馬場と別れたみどりは、真理子のマンションへ。真理子もちょうど帰って来た。真理子のみどりへの態度は横柄。まるで従者のようにみどりを扱う。屈辱感に苛まれながらもみどりは従い、自分の新連載を切るつもりなのかと真理子に聞く。すると真理子は、みどりが書いた新連載用のネームをバッサリと切り捨てた。さらに、考えの甘さを指摘し、漫画家を辞めたらとまで突きつける真理子の頭を、みどりは文鎮で殴りつけてしまう。倒れた真理子をバスルームに運んだみどりはバスタブに落とした。足にケガをする真理子が、自ら倒れ込んだかのように見せかけて…。
 翌日、真理子の不審死が発見され警察の現場検証が始まる。やって来たのは福家警部補(檀れい)。鑑識係の二岡友成(柄本時生)から現状報告を受け、バスルームを検証した福家は、第一発見者の話を聞く。その話から、福家はバスルームのドアが開いていたことに引っかかる。

コメント (2)
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