英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第72期名人戦 第3局 1日目

2014-05-08 23:22:39 | 将棋
 第3局は相矢倉戦。後手の羽生三冠が5三銀右急戦矢倉を採用。
 う~ん、この戦型、先手でも後手でも嫌な思い出が先行する。
 竜王戦で3連勝後4連敗……この時は後手番の渡辺竜王(当時)が第6局、第7局と連投し大逆転防衛を果たしている。
 名人戦では第70期(2年前)の第3局で羽生二冠(当時)が後手番を持ち敗れている。

 本局は上記の名人戦と同じ展開で、嫌な予感が走る。
 ただ、前年の竜王戦で、この時の羽生三冠の発想を発展させた構想で勝利している。
 しかし、当然、森内名人もこの将棋の対策は確立させているはずで、▲5八香と得をした香車を中央に投入、図に至る(封じ手局面)。

 BS解説の藤井九段は、この『「香得+馬」を先手に許しながら、じっと玉を固めるだけ』の指し方を、“定跡”と表現していた。受け入れ難い定跡だが、“定跡”という言葉を信じて「互角の将棋」と思いたい。
 控室では「後手を持ちたい」という声が多いようだが、後手の飛角銀桂が“風船”で、先手の馬が“針”のように見え、何かの拍子に崩壊(破裂)してしまうのではないかと不安である。穴熊も未完成で、▲2四歩△同歩▲2三歩△同金▲1五桂という筋も気になる。

 5三銀右急戦矢倉には嫌な思い出しかないわけではない。
 昨年度で言うと、後手番では、
王位戦第2局


王将戦第3局


と、タイトル戦で勝利している。
 特に、対渡辺戦(王将戦)では、図以下△6六歩▲同銀△8六歩▲同歩△8二飛と、「時間差攻撃+異形の飛車引き」の柔らかい差し回しを見せたのが印象深い。

 また、先手番でも
王座戦第2局

は、後手の中村(太)六段が雁木に構えることになり、先手の羽生三冠が主導権を握っていたが、中村六段がうまくもたれ込んで、入玉模様の大熱戦になった。


 5三銀右急戦矢倉には嫌な思い出はあるが、羽生三冠の適性も高いはず。
 特に本局は、相掛かりや横歩取り戦のような手将棋、構想力がモノを言う将棋だ。勝利を期待しよう。
コメント (6)
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