昨年の覇者の岐阜女子、インターハイ、国体を制し、3冠を目指す桜花学園。高校最後の決戦として相応しい顔合わせだ。
(以下の文で敬称を略させていただくことをご容赦ください)
実力(地力)を「攻撃力+守備力」や「個々のポテンシャル(スピード、高さ、持久力)の総和」と定義するなら、特に、多彩なテクニックによる得点力を持つ平下、リング下を支配するアマカを擁する桜花学園が一段上。(岐阜女子も林やチカンソを始めとして、メンバーのポテンシャルは相当高いが)
しかし、バスケットボールはそんな単純ではなく、戦術・戦略、コンビネーション、集中力、気迫、運動量などで地力を凌駕することは可能であり、この決勝戦で、改めてそれを実感した。
試合は、第1Q序盤は岐阜女子がリードしたが、徐々にペースを握った桜花が逆転し、第1Qは桜花21-16岐阜女で終了。
第2Qに入ると、更にゲームを支配し始めた桜花がリードを広げ、開始2分30秒後には28-16とリードを12点に広げた。その後も6分30秒過ぎまで32-20とリードを維持し、攻守ともに順調にプレーしており、《このまま、行くのかな?》と思い始めたところで、岐阜女子がデイフェンスリバウンドを取ったのを見たて、いち早く走り込んだ林に素早くパスをつなげ、3Pシュートを決める。このプレーで、岐阜女子が勢いづき、速攻を決め、桜花32-25岐阜女と7点差に詰める。
嫌な流れを切るため、桜花はタイムアウトを取るが、岐阜女子が2本の3Pシュートを決めるなど、逆に岐阜女子ペースに拍車が掛かってしまう。3分ちょっとで1点差に詰め寄り、桜花34-33岐阜女で前半終了。
この3分間、桜花はオフェンスリバウンドを奪われ、ノーマークで3Pシュートを許すなど、集中力を欠いた。
第3Qは一進一退、桜花49-46岐阜女で終了。
第4Qは、桜花がアマカ、平下を中心に得点を重ねる。岐阜女子も食らいつくが5分30秒で10点差に広げられる(桜花62-52岐阜女)。
その後も桜花は前田の3Pシュートで13点差に広げる(67-54 残り3分24秒)。
桜花が順調に3冠に近づいているようだが、不安材料はある。残り3分45秒でアマカが4ファールになっていたことと、第4Qに入って、岐阜女子のディフェンスのプレッシャーが強くなり、オフェンスに停滞が見られること。
それでも、平下がブザービーターを決め13点差を維持し(69-56 残り2分6秒)、桜花の勝利が確実になったように思えた……
岐阜女子・チカンソがリング下のシュートを決める(残り1分49秒)。
桜花、ターンオーバー(映像に映らなかったが、スローイン直後にパスをカットされたのだろう)。その後、容易にシュートを許し9点差(69-60 残り1分46秒)。
さらに、スローイン直後、ボール保持者がバックコート(自陣)で孤立し、苦しいパス回しになり、ボールを奪われてしまう。この直後の岐阜女子のシュートのリバウンドがヘルドボールになり、ジャンプボールシチュエーションで桜花ボール。
この直後のスローインが、また、ままならず、苦し紛れでコートに投げ入れたが、相手(岐阜女子)にパスを投げた形となり、これを林に繋げ、3Pシュート(成功)。桜花69-63岐阜女(残り1分21秒)。
この直後のスローインは何とか通り、オフェンスコートに持ち込むが、苦しいパス回し状態は変わらず、パスミス。これをペイントゾーンでパスを受けたチカンソがねじ込み、69-65(残り58秒)。
苦しいスローイン、パス回し状態は改善されず、相手ディフェンスのプレッシャーに押され、バックコートバイオレーション。(残り45秒)
ここで、桜花、ようやくタイムアウト(後半2回目)。
残り45秒、4点差で岐阜女子のオフェンス。これを桜花が守れるかどうかが、大きな勝負のポイント。
しかし、割と簡単に、チカンソにボールが渡り、アマカの守備を難なくかわしてシュート。ついに2点差。(69-67 残り37秒)
2点差に詰められたとはいえ、2点リードでボールも保持と、まだ桜花の優位。しかし、桜花のオフェンスは、苦しいスローインから苦しいパス回し。ボール保持者がプレスディフェンスに押され進退に窮してしまう。まるで、これまでのプレーをリプレイしているかのようだ。でも、ラッキーなことに、最終タッチが岐阜女子のアウト・オブ・バウンドで、桜花のボール。(残り21秒)
桜花ボールとは言え、うまくいっていない自陣からのスローイン(直前のアウト・オブ・バウンドは桜花陣に転々と転がった)。
それでも、何とかオフェンスコートに持ち込み、それを平下がドライブインで切り込みシュート。外れたリバウンドをアマカが取り、シュート態勢に入ったアマカにチカンソがファール。(チカンソは5ファールで退場)
アマカのフリースローは、1本外れて70-67(残り14秒)。
素早くオフェンスコートに持ち込んだ岐阜女子、残り10秒で林が3Pシュートを放つ……しかし、これが外れ、万事休す。
この後、ファールを貰った桜花がフリースローを2本決め、72-67……試合終了。桜花学園、3冠達成!
………いろいろと疑問(不満)が残るゲームだった。(放言しますが、お許しください)
1.もろさを露呈した桜花学園
・岐阜女子の追撃を許した第2Q終了間際
オフェンスリバウンドを取られ、フリーで3Pシュートを許したが、集中力を欠いていたように見えた。
・第4Qのオフェンスの停滞の原因
岐阜女子のディフェンスのプレッシャーが強くなったのが一番の因だと思うが、桜花の動きが鈍くなったのも要因。疲労によるものとも考えられるが、大事な勝負所というプレッシャーに積極性を欠いたように見受けられた。
これは、桜花のオフェンスシステムも一因。“平下の変幻自在のプレーとアマカのペイントゾーンの支配力を軸として、他のプレーヤーが機を見てシュート”というスタイル。おそらく、現チームのメンバーだと、これが最も最適なオフェンスである。
しかし、これがオフェンスパターンの少なさと、メンバーの積極性の欠如を生み、プレスディフェンスにその弱点を露呈してしまった。
・タイムアウトが遅く、指示の適切さに欠けた
何度もスローインで苦労しているのに、ベンチは放置
オールコートのプレスディフェンスに対する練習が充分ではなく、急な対応が難しいのかもしれないが(天下の桜花がそんなことはないと思う)、早めにタイムアウトを取って、間を取り落ち着かせ、指示を出すべき。あと、ボール保持に長けた選手を投入する手もある。ここら辺りで追撃を止めておけば、もっと楽にゲームを運べたはず。
場内では「後半、2回目のタイムアウト」とアナウンスされていた。3回目(最後)のタイムアウトなら、終盤の1点勝負の為に、タイムアウトを温存という考えも成り立つが。
・アマカの4ファール後の指示
「ファールはするな」……アマカの退場を避けるのは仕方がないが、それによって、チカンサが容易にリング下を攻めること許してしまった。チカンソはもっと早い時点で4ファールになっていたが、リードをされていたことで構わず攻める必要があり、却って積極的にオフェンスしたこととは対照的だった。
他の選手が時折、ヘルプのディフェンスをすべきだったように思う。オフェンス時に4ファールのチカンソの所を攻める手も有効。
2.素晴らしい岐阜女子の気迫
プレスディフェンスが素晴らしかった。それを支えるたのは、気迫と運動量(スタミナ)。
あと一歩だった。惜しかったのは、残り約20秒のアウト・オブ・バウンド。これが岐阜女子ボールだったら……
それと、残り10秒での3Pシュートの選択。シュートしたのは林なので、妥当な選択と言えるが、少し遠すぎた(センターラインと3Pシュートラインの中間付近)。チカンソが退場していなかったら、彼女へパスしたかもしれない。代わって入っていたセイナブ・ライも良い選手ではあったが……
3.ムラのある審判の笛
・《これ、ファールなの?》と思うことが多かった。
ファールアウトになったチカンソのファールも疑問を感じた。ファールがあったとすれば、アマカの脇にいた岐阜女子の選手に見えたが…
・目立つボールをこねるドリブル
桜花の選手にもその傾向があったが、岐阜女子は顕著だった。特に、17番の選手は著しかった。
2、3回ダブルドリブルの笛を吹いていたが(他の選手)、ほぼスルーしていた。
勝手なことを言ったが、いいゲームだった。
(以下の文で敬称を略させていただくことをご容赦ください)
実力(地力)を「攻撃力+守備力」や「個々のポテンシャル(スピード、高さ、持久力)の総和」と定義するなら、特に、多彩なテクニックによる得点力を持つ平下、リング下を支配するアマカを擁する桜花学園が一段上。(岐阜女子も林やチカンソを始めとして、メンバーのポテンシャルは相当高いが)
しかし、バスケットボールはそんな単純ではなく、戦術・戦略、コンビネーション、集中力、気迫、運動量などで地力を凌駕することは可能であり、この決勝戦で、改めてそれを実感した。
試合は、第1Q序盤は岐阜女子がリードしたが、徐々にペースを握った桜花が逆転し、第1Qは桜花21-16岐阜女で終了。
第2Qに入ると、更にゲームを支配し始めた桜花がリードを広げ、開始2分30秒後には28-16とリードを12点に広げた。その後も6分30秒過ぎまで32-20とリードを維持し、攻守ともに順調にプレーしており、《このまま、行くのかな?》と思い始めたところで、岐阜女子がデイフェンスリバウンドを取ったのを見たて、いち早く走り込んだ林に素早くパスをつなげ、3Pシュートを決める。このプレーで、岐阜女子が勢いづき、速攻を決め、桜花32-25岐阜女と7点差に詰める。
嫌な流れを切るため、桜花はタイムアウトを取るが、岐阜女子が2本の3Pシュートを決めるなど、逆に岐阜女子ペースに拍車が掛かってしまう。3分ちょっとで1点差に詰め寄り、桜花34-33岐阜女で前半終了。
この3分間、桜花はオフェンスリバウンドを奪われ、ノーマークで3Pシュートを許すなど、集中力を欠いた。
第3Qは一進一退、桜花49-46岐阜女で終了。
第4Qは、桜花がアマカ、平下を中心に得点を重ねる。岐阜女子も食らいつくが5分30秒で10点差に広げられる(桜花62-52岐阜女)。
その後も桜花は前田の3Pシュートで13点差に広げる(67-54 残り3分24秒)。
桜花が順調に3冠に近づいているようだが、不安材料はある。残り3分45秒でアマカが4ファールになっていたことと、第4Qに入って、岐阜女子のディフェンスのプレッシャーが強くなり、オフェンスに停滞が見られること。
それでも、平下がブザービーターを決め13点差を維持し(69-56 残り2分6秒)、桜花の勝利が確実になったように思えた……
岐阜女子・チカンソがリング下のシュートを決める(残り1分49秒)。
桜花、ターンオーバー(映像に映らなかったが、スローイン直後にパスをカットされたのだろう)。その後、容易にシュートを許し9点差(69-60 残り1分46秒)。
さらに、スローイン直後、ボール保持者がバックコート(自陣)で孤立し、苦しいパス回しになり、ボールを奪われてしまう。この直後の岐阜女子のシュートのリバウンドがヘルドボールになり、ジャンプボールシチュエーションで桜花ボール。
この直後のスローインが、また、ままならず、苦し紛れでコートに投げ入れたが、相手(岐阜女子)にパスを投げた形となり、これを林に繋げ、3Pシュート(成功)。桜花69-63岐阜女(残り1分21秒)。
この直後のスローインは何とか通り、オフェンスコートに持ち込むが、苦しいパス回し状態は変わらず、パスミス。これをペイントゾーンでパスを受けたチカンソがねじ込み、69-65(残り58秒)。
苦しいスローイン、パス回し状態は改善されず、相手ディフェンスのプレッシャーに押され、バックコートバイオレーション。(残り45秒)
ここで、桜花、ようやくタイムアウト(後半2回目)。
残り45秒、4点差で岐阜女子のオフェンス。これを桜花が守れるかどうかが、大きな勝負のポイント。
しかし、割と簡単に、チカンソにボールが渡り、アマカの守備を難なくかわしてシュート。ついに2点差。(69-67 残り37秒)
2点差に詰められたとはいえ、2点リードでボールも保持と、まだ桜花の優位。しかし、桜花のオフェンスは、苦しいスローインから苦しいパス回し。ボール保持者がプレスディフェンスに押され進退に窮してしまう。まるで、これまでのプレーをリプレイしているかのようだ。でも、ラッキーなことに、最終タッチが岐阜女子のアウト・オブ・バウンドで、桜花のボール。(残り21秒)
桜花ボールとは言え、うまくいっていない自陣からのスローイン(直前のアウト・オブ・バウンドは桜花陣に転々と転がった)。
それでも、何とかオフェンスコートに持ち込み、それを平下がドライブインで切り込みシュート。外れたリバウンドをアマカが取り、シュート態勢に入ったアマカにチカンソがファール。(チカンソは5ファールで退場)
アマカのフリースローは、1本外れて70-67(残り14秒)。
素早くオフェンスコートに持ち込んだ岐阜女子、残り10秒で林が3Pシュートを放つ……しかし、これが外れ、万事休す。
この後、ファールを貰った桜花がフリースローを2本決め、72-67……試合終了。桜花学園、3冠達成!
………いろいろと疑問(不満)が残るゲームだった。(放言しますが、お許しください)
1.もろさを露呈した桜花学園
・岐阜女子の追撃を許した第2Q終了間際
オフェンスリバウンドを取られ、フリーで3Pシュートを許したが、集中力を欠いていたように見えた。
・第4Qのオフェンスの停滞の原因
岐阜女子のディフェンスのプレッシャーが強くなったのが一番の因だと思うが、桜花の動きが鈍くなったのも要因。疲労によるものとも考えられるが、大事な勝負所というプレッシャーに積極性を欠いたように見受けられた。
これは、桜花のオフェンスシステムも一因。“平下の変幻自在のプレーとアマカのペイントゾーンの支配力を軸として、他のプレーヤーが機を見てシュート”というスタイル。おそらく、現チームのメンバーだと、これが最も最適なオフェンスである。
しかし、これがオフェンスパターンの少なさと、メンバーの積極性の欠如を生み、プレスディフェンスにその弱点を露呈してしまった。
・タイムアウトが遅く、指示の適切さに欠けた
何度もスローインで苦労しているのに、ベンチは放置
オールコートのプレスディフェンスに対する練習が充分ではなく、急な対応が難しいのかもしれないが(天下の桜花がそんなことはないと思う)、早めにタイムアウトを取って、間を取り落ち着かせ、指示を出すべき。あと、ボール保持に長けた選手を投入する手もある。ここら辺りで追撃を止めておけば、もっと楽にゲームを運べたはず。
場内では「後半、2回目のタイムアウト」とアナウンスされていた。3回目(最後)のタイムアウトなら、終盤の1点勝負の為に、タイムアウトを温存という考えも成り立つが。
・アマカの4ファール後の指示
「ファールはするな」……アマカの退場を避けるのは仕方がないが、それによって、チカンサが容易にリング下を攻めること許してしまった。チカンソはもっと早い時点で4ファールになっていたが、リードをされていたことで構わず攻める必要があり、却って積極的にオフェンスしたこととは対照的だった。
他の選手が時折、ヘルプのディフェンスをすべきだったように思う。オフェンス時に4ファールのチカンソの所を攻める手も有効。
2.素晴らしい岐阜女子の気迫
プレスディフェンスが素晴らしかった。それを支えるたのは、気迫と運動量(スタミナ)。
あと一歩だった。惜しかったのは、残り約20秒のアウト・オブ・バウンド。これが岐阜女子ボールだったら……
それと、残り10秒での3Pシュートの選択。シュートしたのは林なので、妥当な選択と言えるが、少し遠すぎた(センターラインと3Pシュートラインの中間付近)。チカンソが退場していなかったら、彼女へパスしたかもしれない。代わって入っていたセイナブ・ライも良い選手ではあったが……
3.ムラのある審判の笛
・《これ、ファールなの?》と思うことが多かった。
ファールアウトになったチカンソのファールも疑問を感じた。ファールがあったとすれば、アマカの脇にいた岐阜女子の選手に見えたが…
・目立つボールをこねるドリブル
桜花の選手にもその傾向があったが、岐阜女子は顕著だった。特に、17番の選手は著しかった。
2、3回ダブルドリブルの笛を吹いていたが(他の選手)、ほぼスルーしていた。
勝手なことを言ったが、いいゲームだった。
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