初戦から優勝候補(名人戦挑戦権獲得有力者)同士の対戦である。
以前も書いたが、上位者同士のの対戦は後になるようなシステム(順位1位者は初戦は10位者、2戦目は9位者……最終局は2位者)にした方がいいのではないだろうか?
それはともかく、注目の一戦である。
森内竜王は、今期4勝8敗(6連敗中)。名人戦の0-4での失冠、棋聖戦も第一局を落としており、数字が良くないのも仕方がない。ただ、王座戦決勝トーナメント1回戦で佐藤紳哉六段に敗れたことに不安を感じる。
渡辺二冠は、今期3勝2敗。数字はそれほど悪くないが、棋聖戦、王位戦、王座戦、竜王戦で既に敗退しており、今期のタイトル戦は冬場の棋王、王将の防衛戦のみというのは寂しい。
対戦成績は森内14勝、渡辺19勝と渡辺二冠がリードしているが、昨季の竜王戦では4-1で森内が奪取している。
渡辺二冠が後手番なので、振り飛車もあるかなと思っていたが、角交換四間飛車を採用。
渡辺二冠の飛車のぶつけに対し、森内竜王が▲2三歩と拒否。この歩を△2四歩と先手飛車の利きを遮断し、金で取り去った局面。
後手は一歩得だが、その代償が左金の位置。通常、5二や6三にいて美濃囲いの一翼を担うべき金であるが、2三の僻地に位置している。金を5二に寄せるには4手も必要だ。
つまり「先手の1歩損対後手の4手損(先手の4手得対後手の1歩得)」であるが、金が定位置よりもマイナスの位置にいるので、例えば、「穴熊の片方の金がまだ初形の位置にいる」という手損よりもマイナスが大きいと言える。
そこで、渡辺二冠は図より△2二飛と動く。
飛車が動いたことにより、4三に隙が生じ、先手に馬を作られてしまったが、飛車を2筋に移動させ2、3筋での戦いに持ち込み僻地にいる金の価値を高めたのである。また、凝り形であった左翼の金銀がほぐれてきた。
渡辺竜王の苦心の指し手により、金銀を4筋まで持ってくることができた。対する森内竜王はその動きの逆を取り、▲4六銀~▲3五歩と動く。
(続く)
以前も書いたが、上位者同士のの対戦は後になるようなシステム(順位1位者は初戦は10位者、2戦目は9位者……最終局は2位者)にした方がいいのではないだろうか?
それはともかく、注目の一戦である。
森内竜王は、今期4勝8敗(6連敗中)。名人戦の0-4での失冠、棋聖戦も第一局を落としており、数字が良くないのも仕方がない。ただ、王座戦決勝トーナメント1回戦で佐藤紳哉六段に敗れたことに不安を感じる。
渡辺二冠は、今期3勝2敗。数字はそれほど悪くないが、棋聖戦、王位戦、王座戦、竜王戦で既に敗退しており、今期のタイトル戦は冬場の棋王、王将の防衛戦のみというのは寂しい。
対戦成績は森内14勝、渡辺19勝と渡辺二冠がリードしているが、昨季の竜王戦では4-1で森内が奪取している。
渡辺二冠が後手番なので、振り飛車もあるかなと思っていたが、角交換四間飛車を採用。
渡辺二冠の飛車のぶつけに対し、森内竜王が▲2三歩と拒否。この歩を△2四歩と先手飛車の利きを遮断し、金で取り去った局面。
後手は一歩得だが、その代償が左金の位置。通常、5二や6三にいて美濃囲いの一翼を担うべき金であるが、2三の僻地に位置している。金を5二に寄せるには4手も必要だ。
つまり「先手の1歩損対後手の4手損(先手の4手得対後手の1歩得)」であるが、金が定位置よりもマイナスの位置にいるので、例えば、「穴熊の片方の金がまだ初形の位置にいる」という手損よりもマイナスが大きいと言える。
そこで、渡辺二冠は図より△2二飛と動く。
飛車が動いたことにより、4三に隙が生じ、先手に馬を作られてしまったが、飛車を2筋に移動させ2、3筋での戦いに持ち込み僻地にいる金の価値を高めたのである。また、凝り形であった左翼の金銀がほぐれてきた。
渡辺竜王の苦心の指し手により、金銀を4筋まで持ってくることができた。対する森内竜王はその動きの逆を取り、▲4六銀~▲3五歩と動く。
(続く)