あきののの うつろふみれば つれもなく かれにしひとは くさばとぞみる
あきの野の うつろふ見れば つれもなく かれにし人は 草葉とぞ見る
秋の野の色褪せてゆくさまを見ると、薄情にも私から離れて行った人のことが、枯れた草葉のように思われるよ。
冒頭「あき」が「秋」と「飽き」、第四句「かれ」が「離れ」と「枯れ」の掛詞になっています。掛詞は同音異義語に複数の意味を同時に持たせた技法ですが、ある古今集解説の本(『「古今和歌集」の創造力』 鈴木宏子著)に
・同音であるとは、言い換えれば「仮名で書いたときに等しい」ことである。
・古今集で発達したレトリックである
との記載があります。この記述に出会ったとき、「なるほど!」 と妙に合点がいったことを覚えています。