あきはぎの したばいろづく いまよりや ひとりあるひとの いねがてにする
秋萩の 下葉色づく 今よりや ひとりある人の いねがてにする
よみ人知らず
秋萩の下葉が色づく今の季節からは、一人でいる人が寂しさで眠れなくなるのだろうか。
秋萩の下葉が色づくとは、一層の秋の深まりを象徴しており、独り寝の寂しさがいやます季節の到来を告げています。「いねがて」は「寝ぬ」の連用形に、「~できない、~しづらい」を意味する「がてに」がついて、寝られない、眠りづらいの意。
この歌は、「秋萩の下葉をながめ(る)・・・人は、歌にのみぞ心をなぐさめける」と、「秋萩の下葉」のフレーズが仮名序にも引用されています。