漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 024

2023-05-10 05:23:35 | 貫之集

雁の鳴くを聞けるところ

あきぎりは たちわたれども とぶかりの こゑはそらにも かくれざりけり

秋霧は 立ちわたれども 飛ぶ雁の 声は空にも かくれざりけり

 

雁が鳴くのを聞いているところ

秋霧が一面に立っているけれども、飛ぶ雁の声は霧に隠れることもなく聞こえてくる。

 

 霧で雁の鳴き声が遮られることはもちろんありませんけれども、そう思えるほどに濃い霧が立ち込めているということでしょうか。屏風絵ではあってもいわゆる「叙景歌」に類する歌と言えるかと思いますが、「こころ」を「ことば」にしたという古今和歌集から和歌を学んできたせいか、詠み人の心情が見えない(見えづらい)こうした歌をどう鑑賞したら良いのか、いまだに良くわからずにいます。まだまだ勉強ですね ^^;;;

 この歌は、玉葉和歌集(巻第四「秋上」 第595番)に入集しており、そちらでは第三句が「なくかりの」とされています。



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