雁の鳴くを聞けるところ
あきぎりは たちわたれども とぶかりの こゑはそらにも かくれざりけり
秋霧は 立ちわたれども 飛ぶ雁の 声は空にも かくれざりけり
雁が鳴くのを聞いているところ
秋霧が一面に立っているけれども、飛ぶ雁の声は霧に隠れることもなく聞こえてくる。
霧で雁の鳴き声が遮られることはもちろんありませんけれども、そう思えるほどに濃い霧が立ち込めているということでしょうか。屏風絵ではあってもいわゆる「叙景歌」に類する歌と言えるかと思いますが、「こころ」を「ことば」にしたという古今和歌集から和歌を学んできたせいか、詠み人の心情が見えない(見えづらい)こうした歌をどう鑑賞したら良いのか、いまだに良くわからずにいます。まだまだ勉強ですね ^^;;;
この歌は、玉葉和歌集(巻第四「秋上」 第595番)に入集しており、そちらでは第三句が「なくかりの」とされています。