はぎのはの いろつくあきを いたづらに あまたかぞへて すぐしつるかな
萩の葉の 色づく秋を いたずらに あまた数へて すぐしつるかな
萩の葉が色づく秋を何度も数えて、無駄に過ごしてきてしまったなあ。
萩の葉が色づくのは恋のきざし。そのきざしだけをいくども感じながら、現実のものとはならずに時が過ぎて行く嘆きですね。
この歌は後撰和歌集(巻第六「秋中」 第301番)に入集しており、そちらには「年のつもりにけることをかれこれ申しけるついでに」との詞書が付され、また、第五句が「おいぞしにける」とされています。詞書の「つもり」は「つごもり(末日)」の意でしょうか。