わすられず こひしきものは はるのよの ゆめののこりを さむるなりけり
忘られず 恋しきものは 春の夜の 夢の残りを さむるなりけり
忘れられない、恋しいものは、春の夜の夢のような美しくも儚い時間が失われて、まさに夢のように消え去ってしまったことだ。
第五句「さむる」は「冷むる」で、熱が冷める意。美しく儚い恋の思いでを切なく思い起こしての詠歌ですね。
今日は大晦日。今年1年、貫之集の名歌におつきあいいただいてありがとうございました。
このまま継続できれば9月頃には最後の歌のご紹介にたどり着けるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。