漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 025

2023-05-11 06:38:53 | 貫之集

月夜に衣うつところ

からころも うつこゑきけば つききよみ まだねぬひとを そらにしるかな

唐衣 うつ声聞けば 月清み まだ寝ぬ人を そらに知るかな

 

月夜に衣をうつところ

衣を砧で打つ音を聞くと、月のさえわたった夜に遠くにいる夫を思い、まだ眠れずにいる妻の姿がそれとなく察せられることよ。

 

 隔地にいる夫を思いながら妻が衣を打つ情景は、漢詩や唐絵によく見られる構図のようです。018 もそうでしたね。
 この歌は新勅撰和歌集(巻第五「秋下」 第323晩)にも採録。新勅撰和歌集は、古今集から新古今集までのいわゆる「八代集」の次、通算で9番目の勅撰和歌集で、ベースとなった撰歌と仮名序は藤原定家の手になります。



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