はるがすみ たちよらねばや みよしのの やまにいまさへ ゆきのふるらむ
春霞 立ちよらねばや み吉野の 山にいまさへ 雪の降るらむ
吉野の山に今でも雪が降っているのは、春霞が立たないからであろうか。
030 では山に春霞と降雪が「同居」している情景でしたが、こちらは春霞が立たないからいまだに雪が降っているとの発想ですね。
この歌は、続古今和歌集(巻第一「春上」 第9番)に入集しており、そちらでは第二句が「たちはそむれど」、第四句が「やまにけふさへ」、第五句が「ゆきはふりつつ」とされています。