先日も紹介した「日本最古のコンクリート電柱」。
これについて、昨日ガイドしたお客様に、大変鋭い質問を投げかけられました。
「近年、全国各地で地上から電柱や電線を撤去して地中化する事業が進んでいるが、この電柱もいずれそうなる運命なのだろうか?」
一字一句正確ではありませんが、こういう趣旨の問いだったと思います。
まず先に解説しますが、お客様が仰るとおり、近年、全国各地で、地上から電柱や電線を撤去して地中化する事業が進んでいるというのは事実です。
↑ 参考までにリンクを貼りましたが、皆様もきっとどこかで御覧になられたことがあるのではと思います。
私も、職業柄、函館市内の国道でもそのような事業があることは知っていますが、さすがに、函館のこのベイエリアでそのような計画があるのかどうかまでは把握していませんでしたので、この質問に対してどう答えて良いか一瞬悩んだ末、私はこう答えました。
「いずれはこの辺りもそうなるのかもしれませんが、仮にそうなっても、この電柱だけは何らかの形で残しておいてほしい気がしますね。」
賛否両論あると思います。
景観保持というのも電柱撤去の目的の一つだから、たとえ2本とはいえ、そのまま残存させておくのはどうなんだろうと思います。
今は電線が架線されることで支えが効いているけれど、電線が撤去されて電柱だけになったら、そうもいかない可能性だってあります。ただでさえ、耐用年数を大幅に超過して、100年以上このままの状態でいるわけですからね。
でも、私は、残ってほしいと思います。「何らかの形で」という言葉には、100%今のままは困難だとしても、「ここに日本最古のコンクリート電柱があった」「明治から昭和初期にかけて、何度も大火に見舞われる中、耐火を意識してコンクリート電柱を建てた」という歴史を語り継ぐ方法を、そのときの人たちには考えてほしいなあと言う意味を込めたつもりです。
自分で言うのもなんですが、お客様も私の問いには賛同してくださり、「やがて、日本最古どころか、そもそも電柱自体が珍しいという時代が来ちゃうかもしれないから、余計貴重になるよね」と仰られました。
こんな風に、予期せぬ鋭い質問を投げかけられ、それに対してどう答えるかと頭を巡らせるのも、ガイドの面白さなのかなと実感する出来事でした。