北の風に吹かれて~独り漫遊記~

町歩きを中心に、日々の出来事を綴ります。 
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沖之口番所跡

2024-07-20 20:35:37 | 函館

 

いやあ、自分でもびっくりです。

開設から7、000日。よくもまあこれだけ長い間続けてこられたなと思います。

このまま続けて行けば、あと8年と80日で10,000日です。

その頃私は59歳か・・・。目標に・・・してみようかな。

 

今週末はガイドの予定は入っていないので、次に向けての勉強にあてようと思っていますが、そんな今日は、ガイドコースには入っていないけれど、話題として加えると反応がありそうな場所を紹介します。

 

 

 

西部地区にある「函館市臨海研究所」。

漁業が基幹産業である函館において、水産・海洋関連事業の技術の高度化や水産振興を研究する施設です。

 

 

今の道南地方は、江戸時代には「松前藩」という藩が置かれていて、「福山」と呼ばれていた現在の松前に、船舶、積荷、旅人を検査して「沖之口口銭」という名の税金を徴収する「沖之口番所」という役所が、現在のこの建物が存在する場所に設置されていました。

当時、城下町としての松前に比べると、17世紀ま終わり頃までの箱館は、人口も少ない寒村で、他地方との交易という点においては、上方から運搬されてくる海産物の一時的な集荷場としての位置付けでしかありませんでしたが、18世紀に入り、箱館を拠点とする漁業が発展し、生産物の流通が盛んになってくると、松前藩は、箱館も正式な交易拠点とした上で、松前と同じ税の徴収性を導入して「沖之口番所」を設置しました。

これがきっかけで、箱館は、松前、江差と並ぶ「松前三港」として、蝦夷地における交易の拠点として繁栄するようになりましたが、18世紀終わり頃に、「北前船」といって、商品を預かって運搬するのではなく、船主が自分の権限で商品を売買して利益をあげる形態の船による交易が主流になると、それまで、近江商人が独占的な交易権を握っていた松前ではなく、市場として有望と見られていた箱館に北前船が多く来港するようになり、19世紀中頃の箱館は、北前船による本州諸港の拠点として、大いに賑わいを見せることになりました。

これまで3回ガイドをしましたが、そのうちの1回で、お客様が「北前船」に言及されたので、何かいい話題はないかと思って、1859年の開港以前における箱館の交易港の歴史としてこの話をさせていただきました。

適切だったかどうかは分からないけれど、また話題として出てくる可能性があるので、更に自分なりに工夫して、よりよい説明ができるようにしたいと思います。

 

 

この場所の歴史は、「沖之口番所跡」以外にも幾つかあって、建物の前にはこんな碑が建っています。

 

 

この場所には、北海道内最初の郵便局が設置されていたのです。

郵便制度の創始者である前島密の名前が刻まれていますが、箱館で前島密といえば、幕末期に存在した「諸術調所」という学問所で学んだ門下生の一人であったというエピソードがあります。

 

 

開港への一歩 - 北の風に吹かれて~独り漫遊記~

西部地区にある大きな坂の一つ、「基坂」。冬の夜には、こんな綺麗な景色が見られることでも知られ、また、この上には、有名な「旧函館区公会堂」がある。ちょっと隠れてし...

goo blog

 

※リンクさせる記事を探しましたが、「諸術調所」に特化した記事はまだ書いていなかったようなので、後日纏めてみます。

 

「諸術調所」については、ガイドコースの中に跡地解説板があることから必ず触れるようにしているのですが、その際に前島密の名前を出すからには、やはり郵便局に関する話題も触れた方がいいと思って、道内最初の郵便局の話題にも触れるようにしています。

 

とまあ、歴史上二つの施設が存在していた場所について紹介しましたが、実はもう一つエピソードがあって、現在のこの建物の場所には、警察署の庁舎があったことがありました。

1926年に「函館水上警察署」として建てられた建物は、1984年に、名前を変えた「函館西警察署」が移転すると、函館市が引き継いで、北海道最古の警察署庁舎として保存され、函館が舞台の映画やドラマのロケでの警察署のシーンの撮影でも活用されました。

有名なところでは、高倉健さん主演の映画「居酒屋兆治」で、主人公の兆治こと英治が、店の客を殴って連行され、加藤登紀子さん演じる妻が、釈放された英治を迎えに来るシーンで使われています。

2006年に一旦解体され、1926年当時の姿を再現した建物へと生まれ変わり、現在の「函館市臨海研究所」として活用され続けています。

 


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