風月庵だより

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ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会に参加して

2007-10-03 23:59:59 | Weblog
10月3日(水)曇り【ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会に参加して】(希望)

ミャンマーの軍事政府に加担しているのは、中国とロシアであろう、と前のログに書いたが、日本も軍政に援助をしてきた国であることを、私は今日改めて認識しなおした。

今日、お茶の水の明治大学リバティータワーで「ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会」が開催されたので参加した。フォト・ジャーナリスト長井健司さんが銃撃されたことに抗議して、日本ビジュアル・ジャーナリスト(JVJA)協会の主催で行われた集会である。会場には200人近い参加者が集まった。

まず長井さんの追悼として、長井さんがイラクで撮影したビデオが映された。イラクで襲撃された橋田信介さんの働きかけで、日本に来て目の手術をした少年のことを覚えているだろうか。彼の元に訪ねている長井さんの在りし日の姿もおさめられている。戦争で大怪我をした子どもたちや、子どもを空爆で殺された悲しみを訴える母の姿が映されていて、長井さんのジャーナリストとしての目がどこに置かれていたかよくわかるビデオである。

同じフォト・ジャーナリストの山本宗輔さんや吉田敏浩さんは、軍政による少数民族弾圧の実態を、ビデオ映像をまじえながら報告された。吉田さんは3年7ヶ月もの間少数民族と共にミャンマーに滞在して、カレン族やシャン族の人々が殺されたり、突然住み慣れた土地を追われて、強制移住させられた状況を映像で見せてくれた。焼き払われてなにも残されていない難民キャンプの映像にはただ驚くばかりであった。難民キャンプまで襲う国が他にあるだろうか。

ビルマ近・現代史専門の上智大学教授、根本敬さんからは1988年からの民主化運動の歴史の概説があった。興味深かったのは、1988年の折りは学生たちが蜂起したが、現在の学生たちは軍政下の教育を受けている子供たちなので、1988年の頃の学生のような思いはないようだ、という分析である。(私の学生時代は学生運動が激しい時代だったが、今は全くそのような空気は大学にないことと似ている。)

人々の生活の困窮を見かねて、今回僧侶が中心となってデモを起こした背景には、学生パワーが下火であることにも一因があったようだ。勿論民主化を望む学生もいるだろうが、寮の廃止や、大学が郊外に追いやられているので、学生が一丸となるようなデモは起こしづらい状況もあるそうである。(実際にはヤンゴン市内二ヶ所のキャンパスで数千人がたちあがったようである。)

難民として亡命しているポーンミントゥンさんからは、民主化を望む学生運動家として軍に連行され、拷問を受けた体験談や、民主化運動に対する理解と協力の言葉が切々と語られた。

こうして集会を開いている今も、ヤンゴンでは、僧侶や市民が拷問にあい、殺害されているかもしれない。この度テレビの報道などでは10人の死亡者、と報道されているようだが、数百人単位のようである。また川には殺害された僧侶の死体が流れていると配信されていることが報告された。自分の欲は一切捨てて、人々のために立ち上がった僧侶を虐殺するとは。いかに仏教徒ではない兵士を使っているとはいえ、仏教徒であろうタン・シュエ議長は、このことをいかに受けとめているのであろうか。タンシュエ議長は例のダイヤモンドで首を飾った花嫁の父である。奢れるものは久しからず、必ず失脚する時がくるであろう。

日本はミャンマー政府とは友好な関係を保っている、というようなことを言っていたが、それは多額のお金を援助しているのである。誰がそのような国に対して悪い顔をするだろうか。

日本は2005年までに、技術協力も入れると「6200億円」もの援助をし、クーデタ後の軍事政権をいち早く承認しているのである。貧しい人々に思いをかけることはできないのだろうか。罪もないのに虐殺されていく少数民族のいることに思いをかけられないのだろうか。軍事政権が圧政を続ける間は、日本は軍事政権に一切の援助もするべきではないだろう。

2000年~2004年の国際援助額の約50%を日本が出していて、その額は毎年40億から70億近くになっている。2004年だけは26億にさがっている。詳細の表を頂いたが、簡略とした。

根本教授は「言葉だけでは聞き流すだけなのだから、経済援助をしてもしなくても軍政はかわらないであろうが、経済援助をやめる姿勢を示すべきであろう」というようなご意見であった。

日本が援助をすれば、罪のない人々や僧侶を虐殺する力を与えるだけであることを認識するべきであろう。

そして決して希望を失ってはならない。必ずビルマに民主化の時代が訪れることを信じよう。組織的、且つ計画的な方法を探し出さなくては、軍の圧政を止めることは難しい。マルコス政権が倒された方法、スカルノ政権が倒された方法からも何かを学べないだろうか。

日本の人々が、軍の圧政を知ってくれるだけでも、有り難いのではなかろうか。特に政治家の人々に知って貰いたいであろう。知ることから先ず始まる。私も少し知ったことによって、ミャンマー(ビルマ)の民主化を心から応援したいと思ったのである。

(まとまりのない報告ですみません。)