monologue
夜明けに向けて
 



 今日12月1日は映画の日だそうだ。
1980年に公開された劇場用アニメ映画
「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」
総監督手塚治虫 監督杉山卓
という作品をご存知だろうか。
わたしはこの映画をUCLAの講堂で鑑賞した。
その日、手塚治虫氏がUCLAを訪れて上映後シンポジウムが開催されたのであった。
集まった米国のファンが手塚氏とこの作品に限らず楽しくアニメの話しをした。
わたしはこの作品の前に1978年公開の
市川崑監督の実写映画「火の鳥 黎明編」を見ていたのでこのふたつの作品のコンセプトの違いを尋ねた。
すると、手塚氏は市川崑作品には自分は関わっていない。一緒に論じないでほしい、と語気を強められた。
アニメではある程度自分の意図に忠実に描けても実写版では原作者ではあっても思いは表現されなかったようだ。
 見たことがない方にはネタバレになるが失礼して
あらすじを紹介しておくと
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 その頃、地球は断末魔の状態にあった。
エネルギー不足を補うために人工的に火山爆発を起こさせ地熱発電していた政治センターのロック・クロック長官は、不老不死の血液をもっている未確認宇宙物体ナンバー2772の宇宙鳥を手に入れようとして、
育児ロボット、オルガに試験管ベビーとして育てられた、ゴドーに宇宙鳥の生け捕りを命じる。
 ゴドーは政府に批判的な学者サルタと意気投合してオルガとともに伝説の鳥を求めて飛び立つ。
そして三人は、宇宙鳥を発見するのだがサルタは宇宙鳥の火に焼かれて死に、オルガもロボットの機能を失う。
 ゴドーが炎の中でオルガの修理をしていると、宇宙鳥の声が、宇宙も地球も生きていることを教える。
地球の再生を図ってゴドーとオルガが地球に帰ったとき、
宇宙鳥を渡せとロックはゴドーに迫るが地球は大爆発を繰り返し
ゴドーとロックは死んでいった。
 オルガがゴドーの亡骸を砂浜に横たえ、傍に寝ころぶと
やがて、オルガの身体は光の玉となり、翼がはえて、空高く舞い上がる。
そして時を経て、ゴドーは赤ん坊になり、オルガは人間になる。
再生した地球で親子として新たなスタートを切ることを暗示して終わる。
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以上、火の鳥のモデルは南米に実在するキヌバネドリ目キヌバネドリ科の鳥ケツァールとされるが
伝説上の鳳凰、火焔鳥、フェニックスらの特性を併せ持ち100年に一度自らを火で焼いて再生するという生命の根源の象徴的存在である。時、所、を変えて様々なシチュエーションで命の意味を問う。繰り返し登場する人物の名前サルタは、韓国語で「生きる」の意味がある。

 わたしにはこの作品「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」の内容が今の時代と重なってみえるのだ。
試験管ベビーも育児ロボットも夢ではなくなった。地球環境がいよいよ危機的状況に陥ってきた。
地球も人類も再生を図り新たなスタートを切るときがきたようである。
fumio








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