monologue
夜明けに向けて
 



炎と水、そして風=「水(ミ)」→「火(カ)」→「タタラ・アタタラ」

ニギハヤヒの愛妻、御炊屋姫も勢夜陀多良比売(せやだたらひめ)として「たたら」を名前にもっていたので凡人ではないはずである。ニギハヤヒとともに大和を築き物部族の母として一族を率いたのだから。
その名前を考察してみよう。辞書によると
炊屋(かしきや)は炊殿(かしきどの)とも呼ばれ、 寝殿造で、炊飯の場所。
 神社で神饌(しんせん)をかしぐ所という。
すなわち、煮炊きして炊事する場所のことである。
この名前は古代には立派な名前であった。
その証拠にわが国最初の天皇号を名乗ったことで日本の初代天皇説がある女性、推古天皇(すいこてんのう)の和風謚号 は『古事記』では豊御食炊屋比売(とよみけかしきぎやひめ)命、
『日本書紀』では、豊御食炊屋姫(とよみけかしきひめ)尊と記載されている。
御炊屋姫の名前を継いだとしか思えない。古事記編纂者がいくら勢夜に変えて本名を隠しても偉い人の名前は継承されて残る。

 炊屋(かしきや)が火を使って炊事する場所であれば御炊屋は上の式そのままの名前に思える。
。かの女はただの炊屋(かしきや)姫ではなく御炊屋(ミカしきや)姫であった。すなわち、「水(ミ)」→「火(カ)」式屋姫ということである。
上の式の通りに「水(ミ)」→「火(カ)」→「タタラ・アタタラ」の順に式を執り行う「タタラ」の司祭であった。
炎と水は交わり蒸気を発生して風が起こる。「水(ミ)」→「火(カ)」とエネルギーは昇華して「田田螺」は「オオラ・オオラ」と回転する。
古事記の頃よりセクシャルハラスメント的解釈にさらされてきた勢夜陀多良比売(せやだたらひめ)という名前は実は「タタラ」の司祭であった御炊屋姫の真の姿を低俗な表現で目をくらませ隠そうとした苦心の仮名であった。これまでおとなしく黙っていたわが民族の祖霊が新たな時代の始まりにその存在を主張しだしたようだ。
fumio


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