monologue
夜明けに向けて
 



ロサンジェルスにひのもと文庫 という日本書籍図書館がある。海外の日本書籍図書館で最大の蔵書量を誇ることで有名だった。日本語の本を読みたかったわたしと妻はある日その住所を訪ねた。するとそこは天理教の施設のようだった。階下が柔道場で駐車場には近くのロサンジェルス市警察の車があって警官たちが練習している。おそるおそる階段を登って図書館に入ると中山正善天理教二代真柱の写真がかけられていてわたしたち天理教の部外者でも利用できるのか不安になった。それでも身分証明書を見せて会員登録をして利用カードを貰ってひとり四冊ずつ借り出した。それが日本に帰国するまで十年間の読書生活の始まりになった。ありとあらゆる本を借りて読んでいるとそのうち司書の女性に「これから新たに読書会を始めるのでリーダーになってほしい」と頼まれた。それで文集を作ったり色々な企画を手伝った。
1984年の ロサンジェルスオリンピックの時、階下の柔道場で山下泰裕、斎藤仁選手らが稽古して金メダルを獲得した。直接関わりはないけれどなんだかうれしかった。オリンピックのたびにそんな記憶がふと蘇る。
fumio

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