monologue
夜明けに向けて
 



 わたしたちの青春期に現れた米国大統領、ケネデイ大統領(John Fitzgerald Kennedy)は昇る太陽のようにまぶしかった。かれは米国の多くの人々にとっての希望だった。1961年1月20日の大統領就任式に於ける演説を編集しバックコーラスで飾り曲に仕上げたアルバム「ケネディと歌おう」(SING ALONG WITH J.F.K.)からシングルカットされた自由への賛歌 をラジオで聴いてかれの人気ぶりを知った。高校生のわたしにはその演説内容はわからず善し悪しを判断できなかったけれどレコードになるほどだからとにかくすごいのだと思った。こんなに民衆の期待を集めるかっこいい大統領が出てくるアメリカは良い国だと憧れたものだった。

 そして1963年11月22日、日本とアメリカ間のテレビ衛星中継実験を見ていると、ケネデイ大統領が遊説先のテキサス州ダラスの市内でパレード中に狙撃されて暗殺されたという。それが本当のことなのかなんなのか混乱して、家族に「ケネデイ大統領が殺されたらしいよ」とと言うと、そんなバカなと否定されたがすぐに日本の臨時ニュースでもケネデイ暗殺が報じられた。その時、アメリカの希望の光はその裏の暗闇に覆われたのだ。この世の中は光を喜ぶものだけでできているわけではなかったようである。
fumio

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