アリオンより光の子らへ
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あなたがたに、日本の現状を分析して見せようと思う。1960年代~1970年代に掛けて、ダイアモンド社やその他の会社からの発行物の中に「成功する……」といったタイトルのものが増加した時期があった。何故、そのようなタイトルのものが、当時の労働年齢の中期にある者に受け入れられ、もてはやされたのかを考えて欲しい。
そうしたタイトルのものが、当時の日本人に与えたものは「夢」であったのか?それとも、現実的に「成功するスベ」だったのか?そういったタイトルの刊行物が売れた背景には、日本人が「失敗した」と思い続ける要因が、確かにあったのだ。
その要因の最大のものが第2次世界大戦での敗戦だった。昭和一桁代から昭和10年前後に生まれた人々にとって、敗戦の理由は「モノが無かったから」という言葉に代表されている。勿論、単に「モノが無かった」から敗戦したのでは無かったのだが。
「モノが無かった」⇒「敗戦」⇒「失敗」⇒「不幸」と感じていた、当時の人々にとって、ジープの上からチョコやガムを惜しげも無くバラ蒔くアメリカ兵は、「モノがある」⇒「勝利」⇒「成功」⇒「幸福」の輝けるイメージを抱かせる対象として、大きく存在した。豊かなモノと一緒にアメリカは、あなたがたに「民主主義」を虹色の旗印の下に持ち込んで来た。
ここで、ちょっと気付いて欲しいのは、アメリカはこのヤリ方を日本だけにしたのだろうか?ということだ。アメリカに代表される、欧米資本自由主義は自分たちのモノサシを、ありとあらゆる、未開発と彼らが断定した国々に対して押しつけてきた。未開発だが、この先彼らに色々な物資や労働力を提供出来ると思われる、ありとあらゆる国々に対して、行ってきた。最初は植民地政策として打ち出された、この方法は現在では「開発援助」と名を変えて生き残っている。
現在、戦争中の湾岸に対してもアメリカは同じように、「豊かさと民主主義」を持ち込み、その代償として、アメリカの傘下に加わることを求めている。アメリカの傘下と言えば未だ聞こえはいいが、その実はアメリカ式の腐敗社会の輪出と言ってもいいだろう。
日本は敗戦し、一股庶民は、その原因の多くに自分たちの物資不足だった点をあげ、戦後の日本の復興に力を入れた……自分たちの失敗の原因であると思われる物資の多寡をアメリカのそれに近づけようと、愚かにも国家を挙げて工業に力を入れて来た。その結果、自給自足出来た筈の農業国日本は、完全に他国依存の食料事情を抱える大国となった。アメリカはGHQを始めとする宣伝活動と、発達したマスコミの力、そして影なる団体のバックアップによって、日本人に「モノが豊富にある」⇒「成功」⇒「幸福」の公式が、家庭の隅々まで行き渡らせることに、成功した。
「モノが豊富にある」⇒「成功」⇒「幸福」の公式が定着し、日本の状態は「モノが豊富にある」状態に変化した。当時の人々が望んでいた状態に近い今ではみんな公式通りに「幸福になれたのかと言えば、幸福になれていない…と感じている。では何か未だ足りないのか?気を付けなくてはならないのは、この何か未だ足りないのか?という疑問は何処から来たのか、というところだ。これまた、実はアメリカからやって来た…と言うと、あなたがたは驚くだろうか?
日本式のやり方は「失敗」⇒「不幸」になると信じ込んでしまっていた日本人は、とにかく欧米の意見に耳を傾ける、という癖がついてしまっている。そういう意識構造が出来上がるということが、当初の彼らの目的でもあった訳で、そういった意味では、対日本攻略は半ば成功していると言っても過言ではない。物質至上主義こそ幸福への近道と、戦後の貧しかったあなたがたに対して教育し物質が溢れるほどに増えたら、今度は「物質だけでは、駄目だ」と説く教えが 主にアメリカ西海岸から、やって来た。ちょうど、日本でも物質的な幸福だけでは満足しない、いわゆるインテリ層の人々から疑問が発し始められていた頃だ。素直と言うには、あまりにも主体性の無い日本人の多くは、この西海岸産の「精神世界」という名の市民運動に身を投じた。この運動は、インテリを自他ともに認めるような層の人間が特に傾倒したのが特色であった。物質だけでは満足しない層の人々に対しての攻略はこうして実行された。
この精神世界運動は、オマケとして薬物文化までも日本にもたらした。こういった流れの中で見て欲しいものが、アメリカの支配者階級の人間達の行動だ。果して彼らは、あなたがたに教育したようなことを実践しているだろうか?答はNONである。彼ら選りすぐりの一部の人間達は、頑に自分たちの伝統を守り、保守的な生活を続けているのだ。あなたがたや、アメリカの被支配者階級の者が興じている「教え」は、彼ら選りすぐりの者達の「教え」では無い。あなたがた光の子らは、早く気付かねばならない。アメリカ式の民主主義の押しつけが、アジア・アフリカ・南米などの国の文化を如何に破壊してきたのかということを。そして、西海岸からやってきた「運動」は、何も生み出さずに社会腐敗の原因を作ってきた事実に目を背けてはならない。特に、薬物汚染は大麻・LSDから始まり、コカイン・ヘロインに至るまでの用意周到な道順と販売ルートがあることを知らねばならない。南米の政治の腐敗は、片側でこうした薬物売買での巨額な資金が支えていることも知らねばならない。日本の政治家達は、臆病者が多い為か未だ全汚染されているところまでは、行っていない。
日本人が、今好きで使っている「POSITIVE」は「POISON」を、その中に隠している。POISON(毒)は少しずつ使われると、最初は「疲れやすい」感じから始まる。その内に「眩章」「貧血に似た症状」となり「心臓発作に似た症状」で終わる。現在の日本人の判断力欠如、即断忌避、実行能力の欠如は、どこか中毒症状に似ている。一体、何の中毒か?昨今、言われている自家中毒では無い。決してそうではない。
もっとハッキリ周囲を見渡しなさい。オカシイと思うことを、オカシイと言う勇気をあなたがたの周囲の人々に示しなさい。あなたがたの能力は、薬物や膨大な書物から得るものではなく、あなたがたの行動から得るものだということを、思い出して貰いたい。
---ARION,O∴O---
FEB.15.1991
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