あの、釜石の奇跡を起こした片田先生の公演と防災に関するいろいろな話を聞いてきました。その
中からの抜粋です。釜石の奇跡とはあの千人もの犠牲者が出た釜石で小学生、中学生の犠牲者は
当日学校へ出ていなかった5名を除き誰一人出なかったという奇跡の防災教育のことです。
防災・減災の肝は・・・
*先ず自分が生き延びるという強い意志を持っていること
その理由は・・・ 自分が意地でも生き延びようとする人間だということを周囲に認知させておけば
周囲の人も安心して各々の安全確保に集中できる。家に戻る必要がない。
*防災警報に頼るな、過信するな、自分で判断せよ
多くの人が自分の避難開始の決定を周りの人の動きに委ねようとしてしまう。防災警報が出たから
避難しようとか、ないから避難を止めようとするのは絶対だめ。危険度は人それぞれの置かれた環境で
全員異なる。常日頃からどう安全を確保するか、どう逃げるか、「その時」に逡巡しないで判断する
という決意を自分に言い聞かせておく。
*突き上げるような直下型、短時間の地震なら内陸型の断層地震、津波は来ない。
長期振動でユラユラぐらぐら来る地震は海溝型地震で大津波が来ると思うべし。
*年寄ほど逃げようとしない。
なぜなら年寄は災害で死んだことがないから経験値で判断してしまう。年寄の大丈夫程危険な言葉はない。
*地元の古文書、石碑などから地域の危険を知っておけ。先人たちは必ず後世に教えを残している。
「高き住居は児孫の和楽 想へ惨禍の大津波 此処より下に家を建てるな」
岩手県宮古市姉吉漁港から、急坂を800m程上がり、海抜約60mの所にある碑文
*恐怖教育は1日で忘却の彼方へ・・・無意味な体験で防災意識が出来たなどと思うな
人間は常に恐怖心を持ちながらはまともに生活できないように脳ができている。だから、交通事故の講習で
もうハンドルは握れないほどの恐怖を知っても、翌日には平気の平左で運転できている。災害の怖さも同じ。
だから、冷静に安全確保だけに専念することが一緒にいなくても他の家族や友人たちを守ることになると
信じて行動せよ。 「津波てんでんこ」を呪文とせよ。
*M9の南海トラフ連動型巨大地震は1000年に一度。 次の地震がM9で30mの津波が数分で来るのだから
もうだめだとあきらめている人がたくさんいる。 これは大変な間違い。
熱物に懲りてなますを吹くの例えがある。交通事故は年に4,000人ほど亡くなるので、1000年で400万人死ぬ計算
になる。この前の大津波で不幸にも命をなくされた方、行方不明の方は約2万人。1000年に一度の大津波で命を
落とす確率より交通事故で命を落とす確率の方が数百倍高いという事実を知るべし。差し迫っているもっと軽い
地震や津波、災害で命を落とす危険の方がよっぽど高いのだからそれに備えるべし。ひいては、その行動が
超大災害でも幸運を呼びこむかもしれない。
*太平洋プレートは年間8㎝、日本の下に潜り込む。10年で80cm、100年で8メートル。だから100年に一度は大きな
地震が起こる。それは確実に起こること。だからそれに備えましょう。ちなみに単体アスペリティ(地震で動く
岩盤の単位)が引き起こす地震はせいぜいM7~M8台。大地震だが、東日本大震災の数十分の一のエネルギー規模
だからあそこまでの大津波は伴わない。つまり、逃げれば助かるのだ。
釜石の奇跡についての記事へのリンクです。
片田先生による国土強靭化対策についての予算委員会での主張です。こちらは約20分ですが、聞いてみる価値は
あるかと思います。この調子で上のような内容を1時間半聞いてきました。^^
片田敏孝 群馬大「国民強靭化で防災」衆議院予算委員会公聴会 平成25年4月11日