20世紀最初の年の瀬が押し迫った12月27日、小泉政権下で初めて死刑が執行されました。
その執行に抗議の声明を提出した人がいます。
死刑囚に殺害された被害者の実兄・H氏です。
彼は「死刑廃止フォーラム」のメンバーと共に、ずっと死刑執行に反対し続けてきたのです。
H氏も最初は犯人の極刑を望みました。
しかし、死刑囚と面会と文通を重ねるうちに、「本人が生きていて初めて罪が償える」と思うようになりました。
死刑囚も拘置所内で洗礼を受け、贖罪の日を送っていました。
H氏は、
「怒りや悲しみは消えていない。
でも加害者を死刑にすることによって、被害者が救われるわけではない。
国による一方的な『終わり』は納得できない。
私たちの中では事件は終わらない。」と語りました。
死刑反対の立場に対しては、必ず「ではあなたの愛する人が殺されたらどうか?」という問いが投げかけられます。
それに答えられるようにするためにも、真の被害者感情を知り、それが癒されるには何が必要なのかということを考えたいと思います。
(続く)