ルワンダの内戦を舞台にした映画ですが、戦争映画というより、1200人の難民を救ったホテルマンの実話を基にした話です。
列強の支配を背景にしたフツ族とツチ族の対立により、100日間で100万人が虐殺されたという惨劇のなか、
ホテル支配人・ポール=ルセサバギナは、ホテルに逃げ込んできた人々を命を懸けて守ろうと奔走します。
「アフリカのシンドラー」と言われるポールですが、妻子や自らもいつ殺されるか分からない切迫した窮地は、シンドラーとは比較になりません。
自分たち自身の問題だから命懸けにならざるを得なかった、という言い方もできるかも知れませんが、
自分の家族だけ助かることもできたのに、ポールは難民を見殺しにすることなどせず、自ら命の危険の中に身を投じていきます。
しかしそれに対して、国連の平和維持軍は手を出すこともできず無力をさらけ出し、欧米諸国も“第三世界でのでき事”として黙殺します。
ジャーナリズムは報道はするものの、ニュース映像を見た人々は「怖いね」と言ってディナーを食べ続けます。
我々誰もがこのアフリカでの惨劇に無関心な、間接的な加害者だったということを、この映画は告発します。
僕も元々政治や国際事情にはうといのですが、10年あまり前のこの歴史的事実をよく知りませんでした。
(フツ族とツチ族のひどい内戦が続いているということしか。)
もちろん、一人の人間が全ての問題に関わるのは無理で、できることは限られていますが、まず「知る」ということが大切だと思います。
多くの人が知ることによって、それは社会的な力となっていき、問題に対処していくことにつながっていくでしょう。
作品はその役割を果たすことができるし、境界性人格障害や心の問題などについても同じことが言えますね。