「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「犯罪被害者の会」にて(2)

2006年03月06日 21時53分24秒 | 心子、もろもろ
 
 「犯罪被害者の会」シンポジウムでは、当日参加者に犯罪被害者支援の協力をしてもらえるよう、ボランティアを呼びかけました。

 心子は犯罪被害者に対するカウンセラーとして協力したいと、アンケート用紙に記入しました。

 自分の仕事や心痛で手一杯なのに、このうえボランティアなどできないだろうと、内心僕は心配していました。

 心子はこのようにしばしば、思いついたような目標を口にすることがありました。

 そのときは確かに本気なのですが、でもそれが持続するわけではありません。

 それは実は境界性人格障害の特徴のひとつである、「不安定な自己像」(同一性障害)から来るのだろうというのは、当時の僕はまだ充分には把握できていませんでした。

 そこを了解していれば、僕は彼女の言動に戸惑うのではなく、心子の根本的なはかなさを抱き留めるよう、心遣いができたかもしれません。
 
コメント
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