また、新たな戦争映画です。
1980年、内戦下のエルサルバドル。
11才の少年チャバの目を通して描く、実話を元にした脚本が映画化されました。
少年たちは12才になると強制的に徴兵され、チャバも12才の誕生日を目前にしています。
政府軍とゲリラ軍がぶつかり合う小さな町に住むチャバの一家。
夜にいきなり銃撃戦が勃発し、チャバたちのあばら家も弾丸の嵐にさらされます。
チャバは飛び交う銃弾の下をかいくぐりながら、窓にマットレスを立てかけ、ベッドの下にもぐり込み、泣き叫ぶ幼い弟たちを守ろうとします。
学校にいても、銃を構えた兵士たちが乗り込んできて、12才になった少年たちを強引にトラックで連れ去っていきます。
また、授業中に突然撃ち合いが始まり、教室の窓ガラスが木っ端みじんに吹っ飛ばされるという、信じられないような現実を目の当たりにさせられるのです。
兵士が幼い少年を銃で処刑するという、目を覆いたくなる惨劇まで起こるのが、戦争という狂気の場なのでしょう。
そんな修羅場の中でも、少年たちは遊びを忘れず、オナラばかりするお姉ちゃんと笑いあったり、初恋のときめきに胸を躍らせたりします。
チャバはけなげにも、家族のために日銭を稼いでは母親に渡すのを自分の役割だと思っています。
しかし最後は初恋の少女の家もチャバの家も焼き討ちにあい、全てを失う悲惨な現状の中に投げ込まれてしまいます。
常に子供の目線から見た戦争の実体を、リアルな映像で描いていき、衝撃を受けざるを得ません。
現在でも、世界には30万人の少年が兵士にさせられているそうです。
子供たちの身と心を踏みつぶし、2度と取り戻せない少年時代を奪ってしまう戦争。
この映画は、そんな事実を知るよしもない日本人にも、世界で起こっている現実を突きつけるのです。