『上司と部下の深いみぞ―パワー・ハラスメント完全理解』岡田康子(紀伊国屋書店) リンク先はamazon.co.jp
「パワー・ハラスメント」という言葉を造語した
クオレ・シー・キューブ代表取締役による著作。
以下、役に立ちそうなところを抜書き。
著者によるパワー・ハラスメント定義
・職権などのパワーを背景にして
・本来の業務の範疇を超えて
・継続的に
・人格と尊厳を傷つける言動を行い
・就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること
パワハラの四段階
第一段階……最初は仕事のミスを指摘したり、なんとなく肌が合わない。コミュニケーションがうまくとれない、といった小さなことから始まります。この段階はどこの職場にもあることで、パワハラとはいえません。
第二段階……同じことを何度も指摘するといった「繰り返し」があらわれると、パワハラの始まりです。また直接の業務内容ではなく、「あいさつができない」「口のききかたが悪い」といった「態度」を攻撃するようになり、その攻撃のしかたが、たった今のその態度ではなく、「お前はいつもそうなんだ」「まったく何をやらせてもダメなやつだ」「だいたいお前は」といった、「いつも」「どこでも」という注意のしかたに変わってきます。また、過重な労働や高度すぎる仕事を与えたり、反対に誰でもできる雑用をやらせたり、存在自体を無視したり、といったことが始まります。
第三段階……本人が直そうとしても直せないこと、たとえば出身や学歴、身内のことなどを非難するようになります。また、その人の「行動」を注意するのではなく、「お前の性格が悪いんだ」という非難のしかたが始まります。仕事を与えず、無能扱いしたり、「俺の言うことをきけないのなら、今すぐ会社をやめろ」「ノルマが達成できないのなら、窓から飛び下りて死ね!」といった脅迫や暴力も出はじめます。こうなれば、完全なパワハラです。
第四段階……被害者に心身の不調があらわれはじめます。仕事が手につかなくなるので、ますます無能のレッテルをはられ、辞職を強要されたり実際に解雇されたりといったことも起こります。ここまで来るともう修復不可能の段階といえます。
パワハラの四つのタイプ
攻撃型……このタイプの加害者は、「他の社員たちの前で怒鳴る」「一人だけ呼び出して怒鳴る」「机や壁などを叩いて脅す」「ねちねちと嫌みを言う」「肉体的暴力をふるう」など、業務の範疇かどうかにかかわらず、被害者に対して直接的に攻撃を行います。周囲の目があるかないかはおかまいなし、その時の気分で行動する傾向もあります。
否定型……このタイプは「仕事のすべてを否定する」「人格を否定する」「能力を低く評価する」「病人扱いをする」など、その人の存在そのものを軽視し「被害者の職場における存在を否定する」傾向にあります。陰湿な嫌がらせを通して被害者を追い込む傾向があり、爆発型と違って職場の雰囲気が一変するような緊張感はありませんが、反対に周囲にはっきりわからないところでジワジワと攻撃するので、被害者は孤立しやすく、ダメージも大きくなります。
強要型……このタイプは「自分のやり方を無理矢理押しつける」「責任をなすりつける」「サービス残業を強要する」といった、上司という権限・威厳を誇示したがる傾向が強いパワハラです。独善的なワンマン経営者や、過去の自分の偉業にすがりつき、そのやり方に間違いなどないと信じきっている人もいます。
妨害型……このタイプは「仕事を与えない」「必要なものや情報を与えない」「辞めさせると脅す」「休ませない」など、被害者の仕事そのものだけでなく、仕事に向かう意欲や向上心も妨害しようとするものです。仕事熱心で一生懸命な人が、その熱心さのあまりに上司から疎まれ、被害を受ける場合もあります。
あなたの「パワハラ加害者度」チェック
1. 出来の悪い部下ばかりを割り当てられる気がする
2. 目障りに感じる部下がいる
3. 部下の仕事の内容を把握していないことがある
4. 部下によく説教をする
5. 部下を叱るとき、人前かどうかは気にしない
6. 部下の人間性まで攻撃することがある
7. 部下は自分の顔色を見て行動する
8. 自分に異を唱える者はいない
9. 病気がち、休みがちな部下が多い
10. 何人か一緒に辞めた部下がいる
パワハラをしやすい人
・性格が攻撃的
・威厳の誇示をしたがる
・嫉妬深い
・自己中心的
・しつこい
・潔癖症
・自己保身に走る
環境要因
・ストレス過多
・自分もパワハラを受けてきた
・リストラがらみ