丸の内キャリア塾
第19回セミナー 一橋大学商学部長の伊藤邦雄教授、「価値創造型リーダーとなるために」
女性向けの講演会での話だけど、この内容は女性に限定していない。
「価値創造型リーダーとは縁遠い7つの症候群」として、以下。
そして、価値創造型リーダーに求められる条件を8つ。
リーダーに求められるものは、人によって言うことが違うし、多分、正解なんてないだろう。その組織の置かれた状況によって求められるのが違うのは当然だし(これを、コンティンジェンシー理論という)。
でも、コンプライアンスを第一に挙げた、この人のセンスは好きだ。
第19回セミナー 一橋大学商学部長の伊藤邦雄教授、「価値創造型リーダーとなるために」
女性向けの講演会での話だけど、この内容は女性に限定していない。
「価値創造型リーダーとは縁遠い7つの症候群」として、以下。
〔ミドル意識症候群〕80年代にはパワフルだったミドルが90年代にパワーダウンした理由はこれです。中間意識が強すぎる。上が言えば下に下ろすだけで、自発的に何かやろうとはしない。トップがいて現場がいれば、真ん中なんて要りません。
〔パーポ(パワーポイント)症候群〕パワーポイントは便利ですが、つい資料をつくりすぎてしまいます。「パソコンで生産性が高まる」と言いますが、余計な仕事を増やしてしまう結果、実は生産性が低下しているのではないでしょうか。
〔ボール丸投げ症候群〕すぐ仕事を人にふってしまう人がとても多いですね。よくない経営者は本当にスタッフに丸投げしてしまう。一方、立派な経営者は投げたふりをして自分でも並行して考えています。こういうトップがいる会社の業績は高いです。
〔土管管理職症候群〕ミドル症候群と似ていますが、トップが出した指示を自分でまったく翻訳することなく、そのまま下に流してしまうことです。トップは抽象的にものを言うことが多い。知恵を出して翻訳し、具体化しなければ、「土管」と同じです。
〔ヒラメ症候群〕これはみなさんご存じですね。目が上にしかついていない。上のご機嫌ばかり伺っている。下からはそれがよく見えるのです。もうどうしようもない。論外です。
〔こなし仕事症候群〕ルーチン仕事は価値を下げることはなくても、価値を創造することはなかなかありません。こなし仕事のようであっても、自分でどう工夫するかが大切です。
〔おもんばかり症候群〕たとえば、説明中に社長がそっぽを向くと、部下は「社長は気に入らないんだ」と思ってしまうでしょう。しかし、あとで社長に聞くと、本人は意識していない。つまり過剰反応です。これでだめになった会社が実際にたくさんあります。
そして、価値創造型リーダーに求められる条件を8つ。
〔コンプライアンス〕この条件は別格です。法令を遵守できない人が経営者にはなれるわけがありません。
〔ヘリコプター〕もし地を這いつくばっていたら、10メートル先までしか見えないのに、ヘリコプターで上空にいれば何キロも見通せます。物事を鳥瞰する力、大局的見方がとても大切です。目先の関心だけではヘリコプターセンスは身につきません。
〔ビジョン〕ビジョンをもっている人でないとリーダーとは言えません。
〔イマジネーション〕これがないと新しいビジネスモデルなど出来ません。日本語で言うと「構想力」です。成功した企業家はイマジネーション能力が本当にすごい。
〔ストラテジー〕戦略的発想ができないといけない。オペレーションだけでは困ります。
〔アナリシス〕客観的な分析能力です。思い込みで判断されてはかないません。
〔モチベーション〕言わずもがなでしょう。相手の人、周りをやる気にさせる。全部一人でやることはできません。
〔エナジー〕ボルテージ、テンションと言ってもいいです。リーダーにテンションの低い人はいません。持続的にエネルギーレベルが高い。GEの元会長、ジャック・ウェルチは「エナジャイズ(Energyze)」と表現しました。人にエネルギーを与える能力のことです。
リーダーに求められるものは、人によって言うことが違うし、多分、正解なんてないだろう。その組織の置かれた状況によって求められるのが違うのは当然だし(これを、コンティンジェンシー理論という)。
でも、コンプライアンスを第一に挙げた、この人のセンスは好きだ。