ネタは降る星の如く

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「労働契約法」のポイント

2007-03-29 20:06:13 | 時事
 興味深い連載が始まった。

労働法案国会へ どう変わる 仕事とお金第1回 働く上での“約束事” 就業規則が契約内容に
「労働契約法」のポイント

「労働契約法」は、労働を提供する人(労働者)が雇用する側(使用者)とかわす、働く上での全般的な“約束事”と言える。つまり、勤務条件、業務内容、出向、解雇などにかかわる法律である。3月13日に発表があった労働契約法案要綱の内容はいくつかあるが(注)、この中で、特に注目すべきは、労働条件の不利益変更について就業規則でできると定めたことである。労働条件の変更は労使の合意で行うのが大原則だが、それに合理性のあることを条件として、使用者の作成する就業規則で行えるとした。

前述したとおり、労働契約のルールは裁判例によって形成された部分が多い。労働条件変更を就業規則で行えるとした内容も、長年にわたり最高裁が形成した裁判例によるものだ。在籍型出向(元の企業に在籍したまま関連企業などに出向)なども裁判例によってルールが決められていた。

労使紛争は、「就業規則による労働条件の不利益変更の有効性」が多く争点となってきた。ある労働条件が、労働者に不利益になるように変更されたとき、その変更は認められるか否かという点である。これには、多くの裁判例が存在し、使用者による就業規則の変更に「合理性」があれば有効と判断されてきた。ただし、その合理性とは「変更の必要性」と「変更の内容」両面からの考察を必要とする。「合理性」の判断には、多くの材料が必要だった(労働者がこうむる不利益の程度、代償措置、変更後の労働条件の相当性、労働組合の対応、非組合員労働者の対応、他社との比較、社会通念など。さらに経過措置を検討したか否か、経過措置の内容なども含まれる)。

法案要綱では、「労働契約の内容は、その就業規則の労働条件によるものとすること」、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、(中略)合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとすること」という内容になっている。つまり、「就業規則」の内容について合理性があればそれを労働契約の内容とみなし、これに変更が生じた場合、変更後の条件も労働契約として効力を持つ、と定めるわけだ。

使用者にとっては、個別的な同意が取れない場合にも、従業員に対し一括して就業規則を変更することで労働条件を不利益に変更できることがメリットだ。労働者にとっては、仮にかなりの不利益を受けることになった場合に、自分が反対であってもその意思にかかわらず、合理性さえあれば労働条件の不利益な変更が認められてしまうのがデメリットになる。


 なるほど……ただ「合理性があれば」というのは誰が判断するんだろう。最終的には裁判で争うにしても、不利益変更の場合はどちらかが「合理的でない」と思うに決まっているわけで。


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