民主党代表選で野田首相が再選されて半月が経ちましたが、依然、民自両党の党首会談や臨時国会の召集日程は定まっていません。
自公両党が年内の衆議院の解散を強く求めているのに対し、政府・民主党は解散・総選挙を来年に先延ばししたいと考えており、その妥協点・落とし所が両党間で全く折り合いがついていないことが理由です。
実際、自公両党は、野田首相が衆議院の早期解散を確約しないかぎり、赤字国債発行法案などの成立には協力できないとしているのに対し、野田首相は「私から解散の時期に言及することはない」としており、野党の協力が得られる見通しは全く立っていません。(10/3 NHK「首相 臨時国会召集は慎重判断」)
自民党の総裁が大連立志向派の石原伸晃になっていれば、野田首相の寝技でズルズルと解散・総選挙の先延ばしをしたでありましょうが、安倍総裁は一向に妥協する様子を見せておらず、強硬に「近いうち」の衆院解散・総選挙という首相の約束の履行を迫っています。 (10/5 時事「3党首会談めど立たず=自公、解散で強硬姿勢」)
一方、民主党は支持率低迷の中、少しでも解散・総選挙を先送りしたいというのが本音であり、また、国会を開会すれば田中法相外国人企業から献金を受けていた問題や樽床総務相が有罪判決の男性から献金を受けていた問題などが追及され、「炎上」することを恐れています。
更に、民主党の離党者が相次いでおり、民主党の衆院過半数割れまであと5人、国民新党と合わせた与党の過半数割れまであと8人と迫っており、衆議院不信任案が可決する可能性さえあります。
こうした事情から、政府・民主党は党首会談や臨時国会を先送り、若しくは見送りするのではないかという見方が強まっています。(10/6 産経「民主、臨時国会見送り論 法相献金など餌食」)
野田首相は「決められない政治から決別する」と大見得を切っておりながら、党首会談や臨時国会の日程さえ決められないのが実態です。
自民党の石破茂幹事長も党首会談や臨時国会開催について「幹事長レベルにおいても(民主党から)電話1本頂いたことはない」と語っています。(10/4 テレビ朝日「特例公債…重要法案残すも臨時国会開会めど立たず」)
しかし、臨時国会を開催して、赤字国債を発行するための「特例公債法案」を通過させなければ、11月末には財政が枯渇し、国の予算執行ができなくなります。
そもそも、政府は「平成24年度一般会計」において、90.3兆円の歳入の内、38.3兆円を赤字国債発行で見込んでいますが、赤字国債の発行には「特例公債法」が必要です。(平成24年度一般会計予算 予算総則第6条2)
臨時国会が開催されず、「特例公債法」が成立しなければ、2012年度一般会計の歳入の4割以上を占める赤字国債が発行できず、国の財政は火の車になります。
政府が9月7日に閣議決定した「9月以降の一般会計の執行について」には、「財源の枯渇を少しでも遅らせる」ため、一部の例外(安全保障、治安、外交、災害対策、医療、福祉等)を除いて、全面的に「予算執行の抑制を図る」とあります。
例えば、庁費・旅費など行政経費は原則、毎月、予算額を12で除した額の50%以下に支払いを抑制する他、独立行政法人運営交付金や国立大学法人運営交付金、私学助成金などは原則、3ヶ月毎に予算額を4で除した額の50%に相当する額以上の交付を留保するとしています。
実際、既に各省庁や地方自治体の予算執行に様々な支障や遅れが出ており、民間にも影響が出始めている他、景気に対する悪影響が懸念されています。
同閣議決定は「上記の対応によっても、特例公債法案の成立が見込めない限り、早晩、一般会計の財源は枯渇する」という、もはや投げやりな情けない言葉で締めくくられています。
政府・民主党が臨時国会開催を先送り、見送りし、財政枯渇を深刻化することは重大な責任放棄であり、断じて許されない事態です。
日本の国難や不況が深刻化する中、財源の枯渇などあってはならないことであり、野田首相に対し、早急に臨時国会を開催し、特例公債法案成立後、即刻、解散・総選挙を行うことを求めます。 (文責・黒川白雲)
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