[HRPニュースファイル436] 日本を変える教育の要点(2)教育に経済リタラシーを導入する意義
◇学校教育で経済リタラシーの普及を
税金、社会保障、黒字経営、効率的な資金運用・・・私たちの生活は経済を抜きに語れません。ところが、学校教育ではほとんど必要な知識が教えられていません。
簡単な簿記や資金運用の方法を学べるのは商業高校か大学あるいは専門学校です。
ところが、社会人になれば誰もがお金を扱うようになります。
自営業にせよ、サラリーマンにせよ、最低限の知識は不可欠です。
高校の社会科には、「政治・経済」という科目がありますが、知識の羅列ばかりで、実用的で基本的な経済原理を学ぶのは大学に入ってからになりますが、いずれは社会人になるのですから、どの学部でも最低限の実用的な経済原理を教えるのは必至です。
大学レベルでは、ケインズ経済学から古典派経済派の理論や思想などをバランスよく学ぶことが大事であって、卒業時には最低限必要な分析力をマスターすればいうことはありません。
そして、政治家や官僚、マスコミの方々にはきちんと経済学を学んだうえで政策立案に携わって頂きたいものです。
さもなければ、いつまでたっても財務省主導の増税路線と日銀主導の金融引き締め路線から脱却できず、日本経済の低空飛行が続きます。
経済の基本は、パイを増やすことであって、政府機能が拡大することではありません。
◇政府よりも市場を重視する経済原理を
しかしながら、日本にはどちらかというと政府主導の経済政策がメインです。
しかしながら、世界で有名なTOYOTAやHONDA、SONYは個性的な創業者と技術者がいたからこそ世界で戦える企業になりました。
実は、上記の企業は政府からほとんど相手にされず、銀行からも融資が受けられない時期がありました。
むしろ、戦後の経済運営の主流は官僚主導の産業政策だったからです。
石炭や鉄鋼が代表的で、政府が資源を優先的に配分するものです。
つまり、官僚が日本経済をガイダンスするというものです。
そのため、日本社会の背景には、根強い官僚信仰が生まれます。
難解な国家試験を突破した財務省などの役人には立派な方が多く、戦後の復興に果たした役割は無視できないのは事実ですが、あまりにも美化しすぎるのも問題です。
例えば、城山三郎氏の代表的な著作でテレビドラマにもされた作品に『官僚たちの夏』があります。旧通産省(現在の経済産業省)の役人が「国民車構想」というプロジェクトに奔走して、官僚たちの血のにじむ努力や人間模様が描かれているので多くの方の共感を呼びますし、「日本の官僚は偉いな」という印象を持ちやすいように描かれています。
ただし、実際は、産業政策は失敗しているという経済学の研究成果があることを知らなければなりません。
東京大学の三輪芳朗教授とハーバード大学のJ・マーク・ラムザイヤー教授の一連の研究によれば、「産業政策が有効に機能したという通念は明確な根拠を欠くものである」と結論を出しています(詳細は『産業政策論の誤解』参照。また、一般向けの解説としては、若田部昌澄著『もうダマされないための経済学講座』が有益)。
産業政策は、国家が「これから発展する産業に資源を優先的に配分する」ということですが、官僚に有望な産業が見分ける力はありません。
現実は、官僚が頑張れば頑張るほど、関連業界の競争を制限して規制が増えます。
また、関連団体の天下り先が増え、税金の無駄遣いが増える可能性が高くなります。
◇自由からの大国を目指そう
やはり、経済成長をしようとすれば、規制を緩和して新規参入や退出を自由にさせること。自由貿易や貿易自由化や投資の有効性を認めて、法人税や証券税制を低く抑えることが国内外資本を呼び込んで市場を活性化させることです。
ノーベル経済学者のハイエクは、社会主義と自由は両立しないと考えていました。
また、ハイエクの師にあたるミーゼスは、「市場経済がもたらす自由以外に、自由は存在しない」とも述べています(もちろん、両者とも政府の意義や機能を認めている)。
それだけ、市場経済は民間の力を最大限に引き出す制度だということです。
幸福実現党が自由からの大国を目指し、小さな政府を目指す理由はここにあります。
さらに言えば、真の自由主義と資本主義の精神の題材は、二宮尊徳や岩崎弥太郎、渋沢栄一も含めれば、国内には多数あります。
最後は思想や歴史面まで含めて、教育から変えていかないと経済政策は変わらないと考えます。
教育には世界を変える力がある以上、教育に経済リタラシー(理解力)を入れる重要性は一層高まることになるでしょう。 (文責:中野雄太)
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