誇りある日本人を育てよう!真の国際人を育てよう!
授業「満州事変と満州国」(2/2時間目)
授業「満州事変と満州国」(1/2時間目)
http://blog.goo.ne.jp/georgiarule/e/a187419dead2f65fd7468cb74acc11c2
齋藤武夫さんの中学校の授業「満洲事変」の続きです。
*この授業は2時間構成です。以下に示すのはその2時間目です。
なお、自由社『新しい歴史教科書』のカリキュラムでは1時間扱いとなっています。
6 国際社会の反応と日本
・中国は強く抗議し、最初は日本に肯定的だったアメリカも後に態度を変えて日本を
叩きました。国際連盟も一連の日本の行動を批判しました。
・日本が満州でやったことは、2つの条約に違反しているというのです。
1 パリ不戦条約違反・・・満州事変は条約が禁じた「侵略戦争」にあた る。
2 九ヶ国条約(ワシントン会議)・・・満州国は条約が禁じた中国の領土変更にあたる。
・日本政府は次のように回答し正当性を主張しました。
1 満州事変は中国軍閥や共産主義勢力の反日暴動やテロ行為に対する正当防衛であり、自衛の戦いだった。
2 満州は中国の領土とはいえない。満州民族の独立運動の結果であり、満州出身の皇帝溥儀が君主となる満州民族の国家である。
・国際連盟は日本の主張を受けて、リットン卿(イギリス人)を団長とする調査団を派遣することになりました。日本もこの調査団派遣を歓迎します。
・教科書の資料「リットン報告書の要点」を読ませ、以下のようにまとめます。
1 満州における日本の権益は正当であり、中国人の反日行動は不法である。
また、国民党が反日行動を引き起こしている事実も違法である。
・これは、関東軍の軍事行動は正当防衛にあたり、「侵略戦争ではない」と認めたことになると解説しました。
2 しかし、満州国建国は認められない。中国の主権を認め、満州に法と秩序を守れる政権をつくれ。
・これは、九ヶ国条約違反ではないという日本側の主張を否定したものだと解説しました。
7 リットン調査団報告書を受け入れるべきか、拒否すべきか?
・次の発問をします。
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当時の日本のリーダーの一人として、受け入れるか拒否するかを選び、ノートに理由を書きなさい。時間は5分です。
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・意見分布は次のようになりました。各学級かなり拮抗する数字でした、わずかに「拒否派」が多くなりました。
A組:受け入れる(14名) 拒否する(19名)
B組:受け入れる(17名) 拒否する(18名)
・おもな意見を数名ずつ発表させましたが、ここではノートから主な理由を抜き書きしてみます。
【受け入れる理由】
「受け入れないと世界を敵に回してしまう。受け入れて仲間をたくさんつくり、満州の日本人を守れるようにしてもらいたい」
「拒否したら国際連盟が敵になってしまう」
「日本は正当で反日運動は違法だと認められたから、これからは前よりも治安を守れると思う」
「拒否したら、イギリス、中国と関係が悪くなってしまい、戦争にないかねないから」
「戦争は絶対に避けたいから」
「これ以上抵抗すると、国際連盟に目をつけられてしまい、中国全域から撤退させられるかもしれないから、ここは受け入れる」
「一度撤退して様子を見る。再び反日暴動などが起きたらもう一度出て行き抑え込み、やっぱり建国しないと統治できないのだと、国際社会に訴える」
「もともと中国のものなんだから、これ以上こじらせると戦争になりかねないから」
「国際連盟を脱退しないですむから」
【拒否する理由】
「せっかく苦労して手に入れた安全を手放したくない」
「ようやく安定したのに、それをじゃまされたくない。だまったままじゃだめだ」
「認めて満州国がなくなったら、そこにいる日本人がどうなるかわからない。また暴動のようなことが起きて被害が増える」
「中国人から暴行を受けたり、行方不明になったり、暗殺されたり。むこうの自由を認めたら、また同じことが起こってしまうと思ったから」
「甘い態度を見せたら、中国人はもっと暴動やテロを起こすことになるだろう」
「中国に任せたら、法と秩序を維持できないと思うから」
「もし受け入れたら、日本国内で兵たちの暴動が起きる可能性がある。また、世界は日本の現状を理解してもらえてないと思ったから」
「中国に屈したくないから」
「せっかく取った満州をそんなかんたんに返してはだめだと思う。さんざんいやがらせをされたんだから、かんたんに返したくない」
「もし受け入れたら、国民は大反発するだろう。また、満州国を失えば、政治に不満を持つ人がさらにふえ、5.15事件のようなことが起きて、日本がまとまらなくなっていまうと思ったから」
8 その後どうなったか
・次の2点を解説しました。
(1)1933(昭和8年)日本は国際連盟で孤立し、松岡洋右代表の日本は国際連盟を脱退した。
・日本が世界中から孤立してしまったととらえる考えと、大国アメリカのいない連盟を脱退してもまだじゅうぶん日本の外交は成り立ったという考えと、両方あることを教えました。
(2)同年5月、日本と中国はタンクウ停戦協定を結んだ。
・これは、実質的に、中国が満州国の成立を認めたものであると教えました。
9 満州国の発展と滅亡
・各種統計資料、写真(満州国旗、満鉄アジア号、奉天の町並みなど)その後の満州国は近代国家として発展したことを教えました。
日本人の観光地、修学旅行先でもあったことなどにもふれました。
・1945(昭和20)年、8月、日ソ中立条約を一方的に破ったソ連軍の暴虐によって、満州国は滅びたことを教えました。12年間の「幻の帝国」に終わったことです。
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【参考資料】
ヘレン・ミアーズ『アメリカの鏡・日本』より
《欧米列強は韓国問題では日本を無罪とし、満州事変では有罪とした。しかし、侵
略行為で有罪としたのではない。
国際連盟もアメリカも、日本が満州を侵略したという非難はしていないのだ。
日本は国際条約を破り、条約当事国の満州における権利を侵したから有罪なので
ある。
それだけでなく、中国も日本と並んで有罪とされた。
しかも、中国にいわせれば、日本と中国を非難している欧米列強も日本と同じく
らい罪が重いのだ》(pp.272-273)
《日本軍の行為は「正当防衛」である、というのが日本の主張だった…南満州鉄道
…は(欧米列強が中国本土の鉄道租借権を得たように)日本が条約によって「法
的」に取得した合法的財産なのである。
したがって、日本軍は、米海兵隊やイギリス、フランス、その他諸国の軍隊が上
海、天津にいるのと同様、満州鉄道沿線に合法的に駐留し、在留邦人とその財産
を「守る」義務がある。
日本にいわせれば、これは「法と秩序」を回復するための通常の「警察行為」で
あり、日本は欧米諸国から「後進」地域にかかわる大国の責任であると教えられ
たことをしたまでだ。
すべては純粋に「内部」問題である。
いかなる意味でも、国家間の武力攻撃ではない。
あくまで警察行為であり、したがって、他国にはまったくかかわりのないことな
のだ》(pp.278-279)