みくさん
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米アシュトン・カーター国防長官が、米下院軍事委員会で、イラクが分裂する可能性を示唆したことを、このほど、米政治情報紙ワシントン・エグザミナーが報じた。
カーター氏は、イラクが統一された国家意識の下で機能できず、イスラム教のスンニ派、シーア派、そしてクルド人が支配する3つの国に分裂する未来があり得ると指摘する。
理由は、シーア派の政権である現在のイラク政府が、国内のスンニ派を排斥している事実があるからだ。そのため、同じスンニ派の「イスラム国」相手に、イラク軍内のスンニ派部隊は戦おうとせず、5月に主要都市の1つであるラマディが陥落。イスラム国の支配下に置かれた。
◎イラクやシリアはもはや国ではない?
識者の中には、「イラクやシリアはもはや国ではなく、事実上分裂している」と指摘する者もいる。米コラムニストのチャールズ・クラウトハマー氏は、米地方紙 タルサ・ワールドに寄稿し、第一次大戦後に英仏が中東の国境を勝手に引いたサイクス・ピコ協定はすでに崩壊しており、中東の未来は「バルカニゼーション」 しかないという。
「バルカニゼーション」(バルカン化)とは、国などが、より小さな対立する国々に分裂していく様を表わす。元々、バルカ ン半島や中東の大部分を支配していたオスマン帝国が、第一次大戦後に崩壊し、ユーゴスラビアやブルガリアなどの国々に分裂したことを語源としている。 1990年代にはユーゴスラビアが民族間の紛争が起こり、さらに分裂している。
◎欧米の植民地政策の名残に対する巻き返しが起きている
歴史的に見ると、いま中東では、欧米が第一次世界大戦後に行った植民地政策の名残に対して、巻き返しが起きているといえる。
たしかに、イラク国内の民族対立が解消できないものであれば、分裂も一つの手なのかもしれない。実際、オスマン帝国の崩壊で引き起こされたバルカン半島の民族紛争は、相次ぐ分裂でやっと住み分けができるようになり、落ち着いた経緯がある。
中東では、歴史的に「強権な独裁者が力で混乱をねじ伏せる」ことで内紛や混乱を抑え、国をまとめてきたが、今それをやろうとすれば、多くの血が流れるだろう。
それを防ぐには、イスラム圏が、「誰もが納得し、共有できる宗教・思想・信条をもとに統一を果たす」か、「宗派や民族の間に境界線を引き、紛争を終結させる」かの選択しかないのかもしれない。
国際社会は、中東の混乱が他の地域に波及するのを抑えつつ、中東の人々がお互いを尊重し、共存できるような選択をするために、思想・政治・経済・安全保障のあらゆる面で支援を続けるべきである。(中)
【関連記事】
2015年5月6日付本欄 シリア・アサド政権が危機に イスラム教圏に必要なこと
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2015年3月14日付本欄 イスラム諸国は分裂する 外交評論家・加瀬英明氏に聞く中東問題(2)
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2015年4月号記事 中東の憎しみの連鎖を断つには――国際政治にも「許し」を(Webバージョン) - 編集長コラム
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9431
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政府がこのほど、新たな成長戦略である「日本再興戦略」の素案をまとめた。安倍晋三首相は、産業競争力会議の挨拶で「未来への前向きな投資によって生産性革命を実現することが重要」と述べた。
アベノミクスの成長戦略の軸足が、デフレ脱却のための「需要不足の解消」から、技術革新や人材活用などによる「生産性の向上」へ移行したようだ。
同戦略の骨子案では、IoT(Internet of Things:あらゆるモノをインターネットにつなぐこと)・ビッグデータ・人工知能などの活用による産業変革の方向性が示された。また、シリコンバレー と懸け橋を結び、グローバル・ベンチャーの育成支援をするなど、技術の進歩による経済成長の実現をうたう。さらに、雇用制度改革や人材力の強化、産学連携 の教育改革など、多岐にわたる成長戦略が掲げられている。
◎眠っている技術と人材を活用すれば生産性は高まる
日本の経済活動の生産性が低下した主な原因として、企業の投資抑制と、人材がうまく活用されていないことが挙げられる。
昨 年4月から消費税が8%に上がり、2017年4月からは10%に上がる予定だ。株価は上がっているとはいえ、日本経済の先行きが不透明であることから、各企業は手元に資金を残すため、設備投資などに慎重な姿勢を崩していない。その影響から、設備の老朽化などにより生産効率や競争力が低下。技術革新や製品・ サービスを創り出すスピードも鈍くなる。
また、少子高齢化によって労働者人口が縮小傾向にある中で、企業と新規就労者のミスマッチなどによる非正規雇用の若者の増加も、生産性低下の一つの原因と言えるだろう。女性や高齢者、優秀な外国人も十分に活用できているとは言い難い。
◎「創造する頭脳」の発揮が日本の潜在力を呼び起こす
経済成長のためには、技術革新や人材活用などを通じて、生産性を高める必要があるのはもっともだ。日本の潜在力を考えると、まだ真価を発揮していない人材や技術がたくさん眠っているのではないか。
では、さまざまな事務的な仕事がコンピューターに代替され、IT やロボット等の人工知能などが高度化するこれからの時代に価値を生むのは何か。
それは「創造する頭脳」だろう。
「創造する頭脳」とは、豊かなアイデアや発想力を持ち、未知の世界のフロンティアを拓く人材のこと。こうした人材を数多く輩出するために、付加価値を生む教育 のあり方を考える必要がある。教育の生産性が高まることで「創造する頭脳」が育ち、産業が発展し、日本の国際競争力が強くなるのであれば、教育に使ったお 金は「最も価値のある投資」と言える。(参考:文末の『創造する頭脳』)
日本、そして世界の発展に貢献するフロンティアを拓くために、「創造する頭脳」を持ち、勇気・責任感・積極性・行動力などの企業家マインドを持つ人材を数多く生み出していくことこそが、国家にとって最も効果的な成長戦略となるはずだ。(真)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『創造する頭脳』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1367
幸福の科学出版 『資本主義の未来』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1353
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2015年1月13日付本欄 センター試験の前に考えたい ロボットにはない人間の「魂の力」と異次元パワー
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