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Mikuのブログ

全体の2%に注目する「給付型奨学金」議論 大学教育のレベルを上げる視点も

2016-05-31 11:24:27 | 教育・いじめ問題・児童虐待・少子対策

安倍政権は、大学生らを対象とする奨学金制度について、返済不要の「給付型奨学金」を来年度に導入する方針を固めた。民進党などが参院選の公約として、同制度を創設する方向で進んでいることから、これに対抗するものと見られる。27日付各紙が報じた。

 奨学金制度は、文部科学省が所管する「日本学生支援機構」が行う国の事業。その延滞期間が3カ月を超える延滞者数が、2014年度末で17万3千人いるという。これが「貧困化する若者」というキーワードで議論されている。

マスコミは、17万人という数字に焦点を当てて、奨学金制度を問題視。奨学金返済のために、風俗で働く人もいると伝える媒体もある。こうした報道に触れると、「国が何とかしないといけない」とついつい思ってしまいがちだが、果たして、実態はどうか。

 

延滞債権者の割合は低かった

実は、全体の割合から見れば、延滞者数は減少傾向にある。

 

  数字は、奨学金の総貸付残高に対する3カ月以上の延滞債権比率。日本学生支援機構の資料より編集部作成。

 

学生支援機構トップの遠藤勝裕氏は、「延滞債権者の比率は2~3%。メガバンクもだいたい同じくらいなんですよ。無審査で貸与しているのに、この数字は本当にすごいことだと思います。日本人はやはり真面目な国民性なんだなと」と語っている(東洋経済オンライン2016年1月28日付)。

大学の進学率が高まった結果、経済的事情で奨学金を借りる人が多くなり、それに伴い、延滞者数が増えるのは自然なこと。延滞者数が増えてはいても、全体から見れば、その割合は減っていると言える。もちろん、延滞者が存在することは問題だが、マスコミの報道は、こうしたバランス感覚を欠いている。

 

大学の質も問うべき

経済的な面よりも大きな問題と言えば、大学教育の質の低下だ。

例えば、国際大学ランキング。最も権威があると評される「世界大学ランキング」では、2014年度に23位にランクインしていた東京大学は、15年度に43位に後退。シンガポール国立大学にアジア首位の座を明け渡している。

こうした評価はもともと、英語能力や外国人留学者数など、日本の大学が不利になりやすい設定があると指摘されている。だが、そうした事情を加味しても、日本の大学が国際競争力を増しているとは言い難い。

質の低下が進む大学教育の改善なしに、ただ補助金を投じるのはいかがなものか。「投資に見合った成果が出ているのか」という視点がなければ、日本の教育が向上することはない。

(山本慧)

 

【関連記事】

2016年5月26日付本欄 伊勢志摩サミットを前にアベノミクスをPR 本当に宣伝できる実績なのか?http://the-liberty.com/article.php?item_id=11405

2016年5月14日付本欄 消費税増税再延期へ 分かっていた失敗を見抜けなかっただけhttp://the-liberty.com/article.php?item_id=11324

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中国が「文革は誤り」と強調 不満の増大か?

2016-05-31 11:09:33 | 中国・北朝鮮・共産党・尖閣国防問題

http://the-liberty.com/article.php?item_id=11420

中国共産党機関紙「人民日報」がこのほど、文化大革命(文革)を「完全な過ち」だとする論評を掲載した(17日付)。16日の文化大革命発動50周年に際して、改めて党の公式見解を示したものとみられている。

中国共産党は1981年の党決議で、文革を「党と国家、人民に深刻な災難をもたらした内乱」としており、今回の論評もそれを再確認した形だ。論評では、 「文革が理論と実践の上で完全な誤りだったことは、歴史が十分に証明している」「文化大革命のような過ちを決して繰り返してはならない」と強く否定してい る。

しかし、現在に至るまで、文革については厳しい報道規制が敷かれており、今回のように党が公式に文革に言及することは極めて稀なこと。なぜ今、このような論評を出したのだろうか。

 

毛沢東の文革を否定 でも毛沢東は賞賛?

そもそも文革とは何か。それは、1966年から約10年にわたって行われた改革運動のことで、中華人民共和国を建国した毛沢東が指導した。ただ、改革運動 とは名ばかりで、実際には、中華人民共和国建国後に毛沢東が行った共産主義的な農工業の改革である「大躍進政策」の大失敗の後、そのために辞任した毛沢東 が自らの復権のために行った権力闘争だった。

資本主義者たちが厳しく糾弾され、多くの国民が大量に粛清された。文革による犠牲者の数は、数千万人とも言われている。

1981年の党決議は、文革が終結した後に開催された中国共産党の全体会議で採択されたもので、正式名称は「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」。この党決議では文革を全面否定したものの、毛沢東については、その功績は文革の誤りをはるかに超えるものだと評した。

毛沢東が指導した文革は完全に否定しつつ、毛沢東は称えているというわけだ。

 

国民の不満増大か

今回の論評では、文革を強く否定する一方で、その否定が中国共産党の否定につながることは間違いだとし、習近平国家主席の下で国民が一致団結するよう訴えている。

習氏は、演説の中で「労働者階級」「群衆路線」など、死語となっている毛沢東時代の言葉を復活させたり、少数民族の弾圧や言論統制の強化を進めるなど、毛沢東路線を推し進めている。

こうした状況の中で今回の論評を出したわけだ。

その理由を類推すれば、外から見えている以上に、中国国内での習氏への反発が強まっているのかもしれない。いくらタブーとはいえ、文革の恐ろしさを体験した中国人は大勢いる。毛沢東路線を突き進む習氏が、文革と同じようなことをするのではないかと反発を強める人々に対する“論評"だったのではないか。

力による支配を続ける中国共産党だが、こうした体制はいずれ国民からの批判や不満の増大によって崩れていくだろう。矛盾だらけで国民の幸福を考慮しない体制が、いつまでも続くはずはない。(貴)

 

【関連記事】

2016年5月17日付本欄 財産を失うと同時に自由も失った ~文化大革命の生存者 リ・スクールランド氏インタビュー(1)http://the-liberty.com/article.php?item_id=11333

2014年1月14日付本欄 文革を反省する元紅衛兵ら 毛・トウ路線より国民の自由をhttp://the-liberty.com/article.php?item_id=7217

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