朝日が、財務省・国税庁の「ちょうちん記事」
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4084
3日付朝日新聞はオピニオン欄で、「宗教法人に課税せよ」という趣旨の識者インタビュー記事を掲載した。同紙は、財務省の外局である国税庁から2億円超の申告漏れを指摘されて以降、増税を主導する財務省を擁護するコラムを掲載するなど「ちょうちん記事」が目立つ。
以下は、インタビューの主な論点の抜粋。
■作家・エッセイスト 中村うさぎ氏:「この不況のなか、増税されたら困る人はたくさんいます。だったら、まず宗教法人から税金をしっかり取ったらいい」「葬式や戒名に対するお布施だって、私たちはいわばサービスの対価として払っているわけです」
■前民主党参院議員・内閣官房参与 峰崎直樹氏:「国民に新たな税負担をお願いする以上、不公平感のある税制も改革せねばならない。その一環として優遇措置のある宗教法人税制を見直し、東日本大震災後の厳しい財政状況の下、宗教法人にも相応の負担を求めることは一般論としては有り得るでしょう」
一方、弁護士で日蓮宗僧侶の、長谷川正浩氏の主張には賛同できる点が多い。
「(宗教法人は)個人への分配がないので、課税の対象がない。株主に利益を分配する株式会社などの営利法人とは、そこが違う」「お布施やさい銭、お守りに支払われたお金なども非課税なのは、サービスの対価ではなく、宗教活動に対する『浄財』と認められているからです。宗教施設や土地に固定資産税がかからないのも、学校法人の校舎などと同様、公益性があるから」
だが、その長谷川氏も、後半では「見かけ上、資金があるように見える大教団だけをとらえて、すべての宗教法人に一律に課税強化しろというのは、宗教界の実情を知らない乱暴な議論です」などと、「大きな宗教には、課税してもかまわない」という趣旨のことを述べている。この点は、僧侶でありながら、明らかに宗教への理解が足りていないと言わざるを得ない。
大きな宗教は浄財ではなく、公益性もないってこと?
小さな宗教と大きな宗教を分けるその根拠は何 ??
中村うさぎ氏は、弊誌2011年10月号の特集記事「宗教への10の疑問」に登場いただいたとき、「なぜ宗教法人が非課税なのかわからない」「宗教の公益性とは?」「『政教分離』では?」「無償で布教すればいいじゃないですか」などの質問をぶつけてきた。
これらの疑問に対し、弊誌は以下のように答えている。
「宗教が非課税なのは、課税の対象がないから。ちなみに、今の税制の枠組みでは、出版事業などの収益活動は税金を払っているし、僧職者も所得税を払っている」「宗教はこの世にかぎらず、あの世も含めた公益を実現している」「『政教分離』の基本的な考えは、政府が課税などで宗教活動や教えに口出しをするのはダメということ」「マザー・テレサの団体の活動や、バチカンも同じだが、活動や教えを広めるためには、それを支えるものが必要」
中村氏が、今回の朝日の記事でも同じような宗教への疑問を繰り返しているのは残念だが、問題の根本は、中村氏自身が神仏への信仰心を持っていないことだろう。
また、朝日の見識を疑うのは、峰崎氏も含めて、積極的に「宗教に課税せよ」と主張する2氏は、宗教の専門家でも何でもない点だ。「宗教の尊さ」や「目に見えない世界」に対する理解がない人物を、「宗教課税の代表論者」として発言させているところに、唯物論・無神論マスコミのなりふりかまわない宗教批判の危険性を感じる。いつから、日本は、中国や北朝鮮になったのか。
本欄でも既に紹介したが、朝日が国税庁の税務調査を受け、2億5100万円の申告漏れを指摘されていたことが3月末に報じられた。その直後に、「財務省は悪くない」「増税は必要だ」「宗教に課税せよ」という趣旨の記事を多く掲載している。
この一連の流れを見れば、朝日が、財務省・国税庁のご機嫌を取るために、宗教課税の議論を盛り上げ、自らの税務調査の手を緩めてもらおうとしたのではないか、と勘繰られても仕方がないだろう。 (格)
【関連記事】
2012年3月31日付本欄 【新聞読み比べ】各紙の増税推進と、朝日の2億円超申告漏れの関係
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4073
2011年10月号記事 「なぜ宗教は非課税なの?」ガチンコ論争 中村うさぎ×ザ・リバティ編集長」
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2713
【関連動画】
2011年8月28日web記事 「なぜ宗教は非課税なの?」ガチンコ論争 中村うさぎ×ザ・リバティ編集長
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2712