行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

国籍法についての考察①

2016-08-06 23:05:02 | 行政書士のお仕事
 私達、行政書士のみならず、弁護士や司法書士も

 知っているようで、実はその歴史や法改正の経緯など

 その実態が、ほとんど広く知られていないのが、

 実は、国籍法なのかもしれません。

 そこで、何回になるかは分かりませんが、

 国籍法についてこのブログで綴ってみようと思います。

 そもそも、国籍法では、嫡出子、つまり、

 婚姻によって生まれた父親が日本人の子だけが、

 日本国籍を、ずう~と昔から得ることができた。

 つまり、日本人母と外国人父や日本人父の婚外子など、

 昔から日本国籍を得られない制度であったのだと

 思い込んでいる方々が大変多いのに驚かされます。

 史実では、実は全くの逆だったのです!

 最初の旧国籍法は、明治32年4月1日に施行され、

 何度か改正されたり、勅令(今の政令)によって

 運用が変更はされたものの、戦後である

 昭和25年6月30日まで有効でありました。

 ところが、旧国籍法では、男女の差別などは全くない、

 実にリベラルな内容であったことは、実はほとんど

 知られていないのです!

 例えば、日本人の父又は母かのいずれかであっても、

 その子供は日本国籍を得ることができましたし、

 何と、日本人と婚姻した外国人妻や夫、或いは、

 日本人が養子にした外国人の子などに対しても自動的に、

 日本国籍を付与していた(大正5年7月31日迄)時期が

 実際にあったのです!

(旧国籍法より)

第4条 日本ニ於テ生マレタル子ノ父母カ共ニ知レサルトキ
 又ハ国籍ヲ有セサルトキハ其子ハ之ヲ日本人トス

第5条 外国人ハ左ノ場合ニ於テ日本ノ国籍ヲ取得ス
 1 日本人ノ妻ト為リタルトキ
 2 日本人ノ入夫ト為リタルトキ
 3 日本人タル父又ハ母ニ依リテ認知セラレタルトキ
 4 日本人ノ養子ト為リタルトキ
 5 帰化ヲ為シタルトキ

第6条 外国人カ認知ニ因リテ日本ノ国籍ヲ取得スルニハ
   左ノ条件ヲ具備スルコトヲ要ス
 1 本国法ニ依リテ未成年者タルコト
 2 外国人ノ妻ニ非サルコト
 3 父母ノ中先ツ認知ヲ為シタル者カ日本人ナルコト
 4 父母カ同時ニ認知ヲ為シタルトキハ父カ日本人ナルコト

 一方、日本人の二重国籍者を防ぐための制度

 のように思われていた「国籍留保」なる制度は、

 実は、南北アメリカ大陸へ移民した日本人が、

 現地に馴染む、つまり、悪く言えば棄民政策によって

 創設された制度であった可能性が非常に高いことも、

 実はほとんど知られていないのが実情なのです。

 次回は、なぜ国籍留保制度が、棄民政策の制度で

 あったかということを、立証してみたいと思います。

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