行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

国籍法についての考察⑪

2016-08-29 08:52:37 | 行政書士のお仕事
 さて、お子さんが生まれると、

 最寄りの区市町村に一定期間内に

 出生の届出を行わなければなりませんし、

 外国にお住まいの方々は、

 最寄りの日本大使館・領事館を通じて、

 届出を行わなければなりません。

 それを戸籍法では、以下の様に定めています。

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第49条 出生の届出は、十四日以内(国外で出生があつたときは、三箇月以内)にこれをしなければならない。
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 つまり、日本国内においては14日以内、

 海外で出生した場合には、3ヶ月以内に

 届出を行わなければなりません。

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第104条 国籍法第12条 に規定する国籍の留保の意思の表示は、出生の届出をすることができる者(第52条第三項の規定によつて届出をすべき者を除く。)が、出生の日から三箇月以内に、日本の国籍を留保する旨を届け出ることによつて、これをしなければならない。

 2 前項の届出は、出生の届出とともにこれをしなければならない。

 3 天災その他第一項に規定する者の責めに帰することができない事由によつて同項の期間内に届出をすることができないときは、その期間は、届出をすることができるに至つた時から十四日とする。
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 ところが、海外で生まれ、出生により

 その国の国籍を得た子の出生届出については、

 国籍の留保の届出も併せて行わなければなりません。

(実際には、大使館・領事館職員から届出書の中で、

 その旨を記載するように指導されるそうで、

 国籍留保の届出を忘れることは無いそうです。)

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国籍法

第12条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。
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 つまり、国籍法第12条では、

 戸籍法の定めるところにより、

 国籍を留保する意思を3ヶ月以内に

 表示しなければ、出生時に遡って、

 日本国籍を失うと定めているのです。

 従って、海外でうっかり、

 子の出生の届出と国籍留保の届出が、

 3ヶ月を超過してしまった場合、

 その子の日本国籍は、出生時に遡って、

 喪失してしまうことになるのです!

 ただし、戸籍法第104条第3項では、

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 天災その他第一項に規定する者の責めに帰することができない事由によつて同項の期間内に届出をすることができないときは、その期間は、届出をすることができるに至つた時から十四日とする。
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 ただし、自らの責めに帰することができない

 事由によっては期限外となっても

 認められる場合があるようですが、

 実際どのような場合に認められ、

 或いは、認められないのでしょうか?

(例1)米国のワシントンの日本大使館の

 近くの病院で生まれたので、

 自動的に日本大使館に伝わっていると

 勘違いし、4ヶ月後に届出た場合。

 → 認められないようです。

(例2)南米の某国の市役所の出生証明書

 の作成がストライキにより遅れて、

 出生後4ヶ月後に届出が行われた場合。

 → 具体的な立証証拠を提出できれれば

 認められるようです。

 ただし、個々のケースでは、

 微妙な事情もあるでしょうから、

 基本的は、海外で生まれたお子さんの

 出生の届出は何としてでも、

 3ヶ月以内に行うつもりで

 いた方が宜しいかと思います。

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第17条 第12条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
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 ただし、仮に国籍留保を3ヶ月以内

 に行わずに国籍喪失した場合でも、

 未成年で、日本に住所があれば、

 国籍法第17条の規定により、

 日本国籍を再取得することができます。
 
 ですので、外国人の方と結婚して、

 お子さんの出生の届出を忘れて、

 一旦は諦めている外国人と日本人の

 とのお子様等にとっては、

 20歳になるまでが、日本国籍を
 
 再取得できる大チャンスとなりますので、

 行政書士として的確な情報として

 提供していただきたく思います。

 さて、次回は、届出もちゃんとしていて、

 戸籍にも記載されているのに、

 あること行ったことで、日本国籍を

 喪失してしまう場合についてご説明します。

 (以下、次回)

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