行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

国籍法についての考察⑩

2016-08-26 09:18:08 | 行政書士のお仕事
 前回、ボリビアに越境移民した

 日本人男性達の多くは既婚者であって、

 にもかかわらず現地女性と重婚していた

 と書きましたが、そのような事案が

 実際に多く存在します。

 当然、重婚は民法では認められていませんし、

 刑法でも犯罪です。しかしながら、

 現地法により合法的に成立した重婚は、

 有効なのです。

 勿論、ボリビアの民法でも重婚は認められて

 いないのですが、越境移民であった彼らに、

 当時、日本政府は婚姻要件具備証明書を

 発給出来る状況にはなかったのです。

 そうすると、その日系人本人の宣誓供述により、

 本人自らが未婚であり、婚姻することに

 問題が無いと宣誓した場合、それを根拠として、

 婚姻要件を具備した書類として、ボリビア当局が

 認めたことは、当時の状況を鑑みれば、

 別に何ら不思議はありません。

 実際、九州の某県の法務局に、

 ボリビアの裁判所からの見解文書を提出して、

 重婚を記載させたことがあります。

 但し、重婚は取消可能ですから、

 日本人配偶者がその婚姻の取消を申し立てれば、

 ボリビアでの重婚は取消となりますが、

 一旦有効に成立した海外での婚姻は

 基本的には有効なのです。

 この様に、歴史上の悲話と法律の現実が

 混在している話ですが、これが実務なのです。

 このケースは、一夫多妻制度のある

 イスラム圏での婚姻にも適用されます。

 但し、注意すべきなのは、

 入管法上の運用では、第二夫人の配偶者としての

 上陸許可を認めないことに注意すべきです。

 戸籍上、記載されたとしても入管法上の

 運用としては、不法行為として許可しない

 という点に注意が必要です。


 さて、国籍法から、ちょっと逸脱しましたが、

 国籍、戸籍の知識では、これらの事象は、

 知らなければならないことなのです。


 次回では、気が付かないうちに子供さん達が、

 日本国籍を喪失してしまうような

 ケースについてお話ししようと思います。

 (以下、次回)

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へにほんブログ村

にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへにほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

注解・判例 出入国管理実務六法〈平成28年版〉
クリエーター情報なし
日本加除出版

戸籍実務六法〈平成28年版〉
クリエーター情報なし
日本加除出版
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする