昭和25年6月30日まで有効であった
旧国籍法で採用された国籍留保制度は、
大正13年の勅令によって、当時の国策移民先の
国々であった7カ国に限定したことから、
事実上の棄民政策の一手法として
導入された疑いが濃厚であることは、
既に述べました。
その是非はともかくとしても、
これらの国々で出生したことで、
外国の国籍を取得したる日本人は、
国籍留保の意思を表示する義務があり、
それを行わなかった場合には、
出生時に遡って日本国籍を喪失しました。
第20条ノ2 勅令ヲ以テ指定スル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本ノ国籍ヲ留保スルノ意思ヲ表示スルニ非サレハ其出生ノ時ニ遡リテ日本ノ国籍ヲ失フ
②前項ノ規定ニ依リ日本ノ国籍ヲ留保シタル者又ハ前項ノ規定ニ依ル指定前其指定セラレタル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人当該外国ノ国籍ヲ有シ且其国ニ住所ヲ有スルトキハ其志望ニ依リ日本ノ国籍ノ離脱ヲ為スコトヲ得
③前項ノ規定ニ依リ国籍ノ離脱ヲ為シタル者ハ日本ノ国籍ヲ失フ(大正13年法律第19号により本条改正)
(大正5年法律第27号により本条追加)
さて、それでは問題ですが、
以下の様なケースでは、どのケースで
国籍留保の義務が生じているでしょうか?
① 父母共に日本人の嫡出の子
② 父母共に日本人の婚姻外の子
③ 父が日本人で、母が外国人の嫡出の子
④ 父が外国人、母が日本人の嫡出の子
⑤ 父が日本人で、母が外国人の婚姻外の子
⑥ 父が外国人で、母が日本人の婚姻外の子
正解は、①②③④⑥となります。
つまり、旧国籍法で出生時に
日本人として生まれた子の親に
国籍留保を行う義務があります。
では、⑤の日本人父の婚姻外の子の場合、
その日本人父に、国籍留保の義務が
なぜ発生しないのでしょうか?
それは、⑤以外の場合、子は出生時に
日本国籍と外国籍を同時に取得していますが、
⑤の場合、出生時には外国籍しか
取得していません。
条文では、「勅令ヲ以テ指定スル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本ノ国籍ヲ留保スルノ意思ヲ表示スルニ非サレハ其出生ノ時ニ遡リテ日本ノ国籍ヲ失フ」
とあり、国籍留保は、出生時外国籍を得た
日本人に限定しているからです!
例えば出生してから4ヶ月後であれば、
出生時には、日本人ではなく、出生後の
4ヶ月経った時点で日本国籍を
取得している訳ですから、
国籍留保の届出義務は発生しません。
つまり、勅令対象国で出生した子で、
日本人父によって、出生後に認知され、
旧国籍法によって日本国籍を取得した
昭和25年6月30日迄に出生した
外国籍であった子については、
国籍留保をしていなかったとしても、
日本国籍があることになりますから、
当然に、戸籍に記載されることになります。
逆に言えば、このケース以外の日本人父母の、
国籍留保を行っていなかった子達すべては、
出生日に遡って日本国籍を喪失しています。
ちょっとした、法の抜け穴のような話ですが、
これは確かな事実なのです。
ですから、日系人でこのような
例を示された場合、我々行政書士は
ご本人又は法定届出人の使者として、
本籍地の市区町村に戸籍記載申出書を
提出することになります。
勿論、これらのケースでは管轄する
法務局での厳密な審査の対象となります。
(以下、次回)
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旧国籍法で採用された国籍留保制度は、
大正13年の勅令によって、当時の国策移民先の
国々であった7カ国に限定したことから、
事実上の棄民政策の一手法として
導入された疑いが濃厚であることは、
既に述べました。
その是非はともかくとしても、
これらの国々で出生したことで、
外国の国籍を取得したる日本人は、
国籍留保の意思を表示する義務があり、
それを行わなかった場合には、
出生時に遡って日本国籍を喪失しました。
第20条ノ2 勅令ヲ以テ指定スル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本ノ国籍ヲ留保スルノ意思ヲ表示スルニ非サレハ其出生ノ時ニ遡リテ日本ノ国籍ヲ失フ
②前項ノ規定ニ依リ日本ノ国籍ヲ留保シタル者又ハ前項ノ規定ニ依ル指定前其指定セラレタル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人当該外国ノ国籍ヲ有シ且其国ニ住所ヲ有スルトキハ其志望ニ依リ日本ノ国籍ノ離脱ヲ為スコトヲ得
③前項ノ規定ニ依リ国籍ノ離脱ヲ為シタル者ハ日本ノ国籍ヲ失フ(大正13年法律第19号により本条改正)
(大正5年法律第27号により本条追加)
さて、それでは問題ですが、
以下の様なケースでは、どのケースで
国籍留保の義務が生じているでしょうか?
① 父母共に日本人の嫡出の子
② 父母共に日本人の婚姻外の子
③ 父が日本人で、母が外国人の嫡出の子
④ 父が外国人、母が日本人の嫡出の子
⑤ 父が日本人で、母が外国人の婚姻外の子
⑥ 父が外国人で、母が日本人の婚姻外の子
正解は、①②③④⑥となります。
つまり、旧国籍法で出生時に
日本人として生まれた子の親に
国籍留保を行う義務があります。
では、⑤の日本人父の婚姻外の子の場合、
その日本人父に、国籍留保の義務が
なぜ発生しないのでしょうか?
それは、⑤以外の場合、子は出生時に
日本国籍と外国籍を同時に取得していますが、
⑤の場合、出生時には外国籍しか
取得していません。
条文では、「勅令ヲ以テ指定スル外国ニ於テ生マレタルニ因リテ其国ノ国籍ヲ取得シタル日本人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ日本ノ国籍ヲ留保スルノ意思ヲ表示スルニ非サレハ其出生ノ時ニ遡リテ日本ノ国籍ヲ失フ」
とあり、国籍留保は、出生時外国籍を得た
日本人に限定しているからです!
例えば出生してから4ヶ月後であれば、
出生時には、日本人ではなく、出生後の
4ヶ月経った時点で日本国籍を
取得している訳ですから、
国籍留保の届出義務は発生しません。
つまり、勅令対象国で出生した子で、
日本人父によって、出生後に認知され、
旧国籍法によって日本国籍を取得した
昭和25年6月30日迄に出生した
外国籍であった子については、
国籍留保をしていなかったとしても、
日本国籍があることになりますから、
当然に、戸籍に記載されることになります。
逆に言えば、このケース以外の日本人父母の、
国籍留保を行っていなかった子達すべては、
出生日に遡って日本国籍を喪失しています。
ちょっとした、法の抜け穴のような話ですが、
これは確かな事実なのです。
ですから、日系人でこのような
例を示された場合、我々行政書士は
ご本人又は法定届出人の使者として、
本籍地の市区町村に戸籍記載申出書を
提出することになります。
勿論、これらのケースでは管轄する
法務局での厳密な審査の対象となります。
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