ここのところ、アスベスト被害が問題化しています。
兵庫のクボタ旧工場、石綿疾患で78人死亡 79年以降
大手機械メーカー「クボタ」(大阪市)の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の従業員や出入り業者計78人が、アスベスト(石綿)が原因で胸膜や腹膜に起きるがん「中皮腫(ちゅうひしゅ)」などで死亡していることがわかった。工場では54~75年、毒性の強い青石綿を大量に使っており、作業中の吸引が原因とみられる。工場の近くに住んでいた住民5人も中皮腫を発病、2人は死亡しており、同社は29日、治療中の3人に見舞金を出すことを明らかにした。 (2005年06月29日 asahi.comから引用)
クボタがアスベスト被害住民3人に見舞金 「誠意感じた」
「クボタ」(本社・大阪市)がアスベスト(石綿)を使って水道管を製造していた旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民が、石綿が原因のがんの「中皮腫(ちゅうひしゅ)」にかかった問題で、クボタは30日、治療中の3人に1人200万円の見舞金を渡した。謝罪はなかったが、この日尼崎市内で記者会見した3人は「誠意を感じた」と話した。(2005年07月01日 asahi.comから引用)
アスベスト、業界団体が被害開示へ 経産省も情報収集
(2005年07月02日 asahi.com)
ニチアスでも死亡 アスベスト、深刻な健康被害
日本の石綿業界のパイオニアともいえるニチアスでも、従業員86人が死亡していたことが5日、明らかになった。(2005年07月05日 asahi.comから引用)
以前アスベスト(石綿)についてちょっと調べた事があってたわけた記事を書いたのですが、実はかなり悩ましい問題があります。
健康に有害な「青石綿」(粒子が細かく尖っていて、肺がんの原因になりやすい)の製造は1970年頃に既に中止になっているのですが、肺に入り込んだ石綿の微粒子が肺がんを発症させるのは、30~40年後ということで、今になって問題がでてきたわけです。
ここで難しいのは、企業の責任を問おうとしても、因果関係の立証が困難なのと、民事上の不法行為責任は20年の除斥期間(時効のようなもの)にかかってしまうことです。
したがって、上のクボタのように企業としては法的責任とは別に「見舞金」名目の支払い、という解決になるわけです。
(話はそれますが、国税はこの支出に対して寄付認定をするのでしょうか?)
アスベストは、以前から断熱材やブレーキパッキン、理科の実験で使った加熱用の網などに使われていて、特に高層建築物の鉄骨の耐火被覆材としてアスベストを吹き付ける工法が多用されたため、アメリカを中心に健康被害問題が従来から問題になっていました。
アメリカでは日本と異なり懲罰的損害賠償など多額の損害賠償請求訴訟が提起されたため、米上院司法委、アスベスト被害者補償法案可決・基金14兆円超のような動きも見られています。
このように、従来は画期的な製品として多用されたものが、実は健康被害をもたらすことがわかった場合、社会としてどのように対処するかは難しい問題です。
合成甘味料のように使用を禁止すれば済むものはまだいいですが、PCB(「発火の危険がない安全な絶縁材」として変圧器などに多用されていた)のように処理技術が未整備なもの(「旧所有者の基準に基づいた保管」が義務付けられていますが、最近ようやく処理場が出来てきたようです)や、今回のアスベストのように健康被害が相当遅れて現れるものについては、その処理や補償のコストを誰がどういう形で負担するかが大きな問題になります。
利益を得たと言う意味では企業や業界団体は当然応分の負担をすべきでしょうが、一企業として負担できない規模の場合、また、社会全体で便益を享受していた場合には、公的な負担も考える必要があります。
公的な負担も、国の一般会計からダイレクトに出すのか、健康保険制度の特例的なものにするのか、目的税のような利用者負担的なしくみをとるのか、という問題もあります。
今まで私たちは技術の進歩の恩恵を十分にこうむってきたわけですが、負の部分の負担についても(特に昔の公害問題のように特定の悪者がいるというわかりやすい構図でないだけに)、十分考える習慣をつけるべきだと改めて思いました。
***************
(以下は聞きかじりの知識を前提とした話なので、あまり信憑性はないものという前提でお読みください)
ちなみに、日本に現在ある建物も古いものにはアスベストが使われていることがあります。
ただ、使われている部分が構造物である鉄骨の耐火被覆なので、日常はそんなに危険はないようです(一部が空調機を通って空気中に浮遊することはあるものの、粒子数が少ない場合は発ガン率はタバコの数十分の1程度とか)。
さらに、リニューアル工事のときに(良心的なビルオーナーであれば)アスベストを除去したり、封じ込め(樹脂で外側を覆ってしまう)てしまえば安心です。
なので、あまり過剰反応というのも禁物だと思います。
問題は解体工事現場。これは周囲にどうしても粉塵が舞うので注意が必要なようです。
※解体工事にも技術基準があるのかもしれません(シートで覆った上で水をかけながら作業したりしているところもありますが)がそこまでは不勉強ですみません・・・
兵庫のクボタ旧工場、石綿疾患で78人死亡 79年以降
大手機械メーカー「クボタ」(大阪市)の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の従業員や出入り業者計78人が、アスベスト(石綿)が原因で胸膜や腹膜に起きるがん「中皮腫(ちゅうひしゅ)」などで死亡していることがわかった。工場では54~75年、毒性の強い青石綿を大量に使っており、作業中の吸引が原因とみられる。工場の近くに住んでいた住民5人も中皮腫を発病、2人は死亡しており、同社は29日、治療中の3人に見舞金を出すことを明らかにした。 (2005年06月29日 asahi.comから引用)
クボタがアスベスト被害住民3人に見舞金 「誠意感じた」
「クボタ」(本社・大阪市)がアスベスト(石綿)を使って水道管を製造していた旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民が、石綿が原因のがんの「中皮腫(ちゅうひしゅ)」にかかった問題で、クボタは30日、治療中の3人に1人200万円の見舞金を渡した。謝罪はなかったが、この日尼崎市内で記者会見した3人は「誠意を感じた」と話した。(2005年07月01日 asahi.comから引用)
アスベスト、業界団体が被害開示へ 経産省も情報収集
(2005年07月02日 asahi.com)
ニチアスでも死亡 アスベスト、深刻な健康被害
日本の石綿業界のパイオニアともいえるニチアスでも、従業員86人が死亡していたことが5日、明らかになった。(2005年07月05日 asahi.comから引用)
以前アスベスト(石綿)についてちょっと調べた事があってたわけた記事を書いたのですが、実はかなり悩ましい問題があります。
健康に有害な「青石綿」(粒子が細かく尖っていて、肺がんの原因になりやすい)の製造は1970年頃に既に中止になっているのですが、肺に入り込んだ石綿の微粒子が肺がんを発症させるのは、30~40年後ということで、今になって問題がでてきたわけです。
ここで難しいのは、企業の責任を問おうとしても、因果関係の立証が困難なのと、民事上の不法行為責任は20年の除斥期間(時効のようなもの)にかかってしまうことです。
したがって、上のクボタのように企業としては法的責任とは別に「見舞金」名目の支払い、という解決になるわけです。
(話はそれますが、国税はこの支出に対して寄付認定をするのでしょうか?)
アスベストは、以前から断熱材やブレーキパッキン、理科の実験で使った加熱用の網などに使われていて、特に高層建築物の鉄骨の耐火被覆材としてアスベストを吹き付ける工法が多用されたため、アメリカを中心に健康被害問題が従来から問題になっていました。
アメリカでは日本と異なり懲罰的損害賠償など多額の損害賠償請求訴訟が提起されたため、米上院司法委、アスベスト被害者補償法案可決・基金14兆円超のような動きも見られています。
このように、従来は画期的な製品として多用されたものが、実は健康被害をもたらすことがわかった場合、社会としてどのように対処するかは難しい問題です。
合成甘味料のように使用を禁止すれば済むものはまだいいですが、PCB(「発火の危険がない安全な絶縁材」として変圧器などに多用されていた)のように処理技術が未整備なもの(「旧所有者の基準に基づいた保管」が義務付けられていますが、最近ようやく処理場が出来てきたようです)や、今回のアスベストのように健康被害が相当遅れて現れるものについては、その処理や補償のコストを誰がどういう形で負担するかが大きな問題になります。
利益を得たと言う意味では企業や業界団体は当然応分の負担をすべきでしょうが、一企業として負担できない規模の場合、また、社会全体で便益を享受していた場合には、公的な負担も考える必要があります。
公的な負担も、国の一般会計からダイレクトに出すのか、健康保険制度の特例的なものにするのか、目的税のような利用者負担的なしくみをとるのか、という問題もあります。
今まで私たちは技術の進歩の恩恵を十分にこうむってきたわけですが、負の部分の負担についても(特に昔の公害問題のように特定の悪者がいるというわかりやすい構図でないだけに)、十分考える習慣をつけるべきだと改めて思いました。
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(以下は聞きかじりの知識を前提とした話なので、あまり信憑性はないものという前提でお読みください)
ちなみに、日本に現在ある建物も古いものにはアスベストが使われていることがあります。
ただ、使われている部分が構造物である鉄骨の耐火被覆なので、日常はそんなに危険はないようです(一部が空調機を通って空気中に浮遊することはあるものの、粒子数が少ない場合は発ガン率はタバコの数十分の1程度とか)。
さらに、リニューアル工事のときに(良心的なビルオーナーであれば)アスベストを除去したり、封じ込め(樹脂で外側を覆ってしまう)てしまえば安心です。
なので、あまり過剰反応というのも禁物だと思います。
問題は解体工事現場。これは周囲にどうしても粉塵が舞うので注意が必要なようです。
※解体工事にも技術基準があるのかもしれません(シートで覆った上で水をかけながら作業したりしているところもありますが)がそこまでは不勉強ですみません・・・