一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

道路公団副総裁逮捕の意味

2005-07-26 | 余計なひとこと
道路公団の内田副総裁を逮捕 橋梁談合事件で東京地検(2005年 7月26日 (火) 03:06) について

今までは談合と言えば企業が悪い、というだけで、摘発された企業も「あってはならないことがおきました、襟を正します」と頭を下げては繰り返す、そしてまた「企業はけしからん」とマスコミに叩かれる、という状態でした。

今回「官側」の逮捕(公正取引委員会の告発によるものとしては初)で、談合というのは公務員の天下り(=組織のピラミッド維持)とか、発注側の検査コストの軽減とか、業界の横並びでの成長や技術力の維持とかそういうのが全部ワンセットになった高度成長期の産業界のメカニズムに組み込まれていたものだ、ということが明らかになった(というか皆知っていたけど言わなかっただけか)わけですね。

これを機会に、では、今後は新たな枠組みをどのようにしていくのか、という前向きな議論がなされればいいと思います。

****************

ということで検察は今回「タブーにメスを入れた」と評価されるべきなのかもしれませんが、確か2,3週間前の週刊文春(多分)に気になる記事がありました。

それは、経済産業省の大臣官房企画室が外郭団体「産業研究所」の調査・研究委託費で裏金を作っていた問題に関して、当初は裏金(=横領)だけでなく、プールした裏金を利用して経済産業省のキャリア官僚がカネボウ株を売買した件で、インサイダー取引疑惑があり、東京地検に事情聴取されていた、という話。
しかしこれが立件され、経産省のキャリア官僚から逮捕者が出ると「小泉政権に打撃」と経産省と法務省が手打ちをしたので、結局担当者の辞職で沙汰やみになった、というのが記事の内容。


しかしその後も裏金問題は、辞職した経産省の官僚を市民オンブズマンが刑事告発するなど、「世間の怒り」が収まらないので、検察は道路公団副総裁をスケープゴートとして差し出した、という側面もあるのではないか、
というのが僕の憶測


もともと他省庁に比べて許認可権の少ない経済産業省は、高度経済成長の終焉以後、許認可・行政指導型から政策官庁への脱皮をめざしていました。
その中でバブル崩壊以降、産業再生等について積極的な提言をし、また今回の企業価値防衛ガイドラインの公表など敵対的買収問題にいち早く対応したことで、金融庁などとせめぎあいながら存在感を確保しました。
(それ自体は組織維持の動機から出たものであろうと何であろうと、方向性としてはいいんじゃないかと思います)


法務省(検察)としても、叩く(敵に回す)のなら経産省より従来型の国土交通省のほうが得策、という判断が少しはあったのかもしれません。


また、さらにうがって考えると、道路公団の内田副総裁は国交省からの天下りではなく、道路公団プロパーの人なので、内田氏の逮捕事態で国土交通省(のキャリア官僚)が直接傷つくわけではなく、また、民営化の流れから行っても、道路公団は天下り先としての機能を期待できなくなっているので、ここで叩かれても国交省自体のダメージは限定的、という考えもあったのかもしれません。

*******************

まあ、上の憶測はヨタ話としておくとして

それでも、少しずつは健全な方に向かいつつあると考えた方がいいんでしょう。

********************

<参考:その後の関連エントリ>

経産省の裏金事件はこれで幕引き?
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする