一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

楽天vsTBSの和解報道

2005-11-30 | M&A

楽天、TBSが和解合意 30日発表、対決回避
(共同通信 2005年11月29日 (火) 20:58)

楽天とTBSは29日、楽天が経営統合提案を撤回し、資本・業務提携に向けての和解交渉に入ることで基本合意した。両社は30日午後に覚書に調印し、正式発表する見通し。楽天が取得したTBS株については、半分程度の議決権を凍結し、交渉中には買い増ししないことを確認した。

楽天がTBSの株式を大量取得して経営統合を迫っていた問題は、全面対決に突入する直前になって、取引銀行のみずほコーポレート銀行の仲裁で一転、和解に向かうことになった。放送とインターネットの融合について、提携で具体的な成果を出せるかが焦点となる。

 このニュースは29日の昼過ぎから流されていたのですが、これは楽天にとっては具体的な成果がないまま1100億円が塩漬けになるということで決してプラスの話ではないと思うのに、この報道に関して何のコメントもしていません。

普通なら和解交渉にあたっても守秘義務契約を結び、特に自分に分の悪い和解に当たっては、自社のスタンスをpositiveにアピールするためのコメントを用意した上で同時に公表するというのが多いと思います。
もっとも今日の株価の動きを見ると、始値が前日比2,700円高の80,000円から約45分で今日の高値85,900円まで上がり、そのあと83,000前後で推移しているので、市場としては折込済みだったのでしょうか(でも、朝一番の動きはちょいとインサイダー臭いですが。下図参照)



それなのに、前日に立会時間内にネットに流され、4紙の夕刊に取り上げられるほどの派手なリークをなぜ止められなかったのでしょうか。
今回どの報道でも「みずほコーポレート銀行の仲裁」というのが出ているので、みずほCBからのリークっぽいのですね


それだけ交渉がTBSペースで進んだということなのでしょうか
それとも、次のような理由から楽天があえてリークを容認したのでしょうか(②はあまりかっこいいとはいえませんが、戦術としてはありだと思います)

① いきなり公表してサプライズを与える前に「観測気球」を上げた
② 興銀OBとしての三木谷社長がもう一度財界にすりよるために花を持たせた

いずれにしろ、今日の正式発表のときに前日の報道を踏まえてどの程度前向きなアピールができるか次第ですね。

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国交省委員会招致(構造計算書偽造問題 その7)

2005-11-30 | あきなひ

今日実施された、衆議院国土交通委員会参考人招致の内容については、夜のテレビニュースで見た程度なのですが、簡単な感想を

 1 企業PRという観点の欠如
そもそも立ち居振舞いが論外だったのがヒューザーの小嶋社長と木村建設の社長。

小嶋社長はそもそも悪人面のうえに、イーホームズの社長の発言に対して恫喝するような野次を飛ばしたり、質問に対して国交省に八つ当たりしたり「倒れるなら前向きに倒れる」などと開き直った発言をするなど、「論外の外」でした。

木村社長は「東京支店長がやっていたのでわかりません」の一点張りで、東京支店長も「そのようなことはありません」だけで、何で1社で2人出てきたのかすらわからない状態でした。

アメリカの百戦錬磨のPR会社を雇えとは言いませんが、

 ① そもそも参考人招致というのがどういう趣旨なのか
⇒言い逃れに終始した木村建設と逆切れした小嶋社長はそれ自体わかっていないようでした
② テレビで実況中継されることのPR効果をどう考えているのか

について少しは考えてから出席すべきだったと思います。
まあ、当事者のレベルがわかった、という意味では収穫だったかもしれませんが。

その意味では、イーホームズの藤田社長は質問にまっとうに答えていました(IPOをめざしている経営者としてはこれくらいできないと仕方ない事なのかもしれませんね)
ただ、2で触れるように、ちょっとずつ関係者に責任転嫁しつつ自らの正当性を主張する、というトーンが目立った感じもします。

2 イーホームズ藤田社長の証言について

論外な2社については放って置くとして、藤田社長の証言で物議をかもしそうな点について

(1)国土交通省の担当官の一時対応

「本来特定行政庁(建築確認をする市など)に報告申し上げるところでしたが、事の重大性から国土交通省に報告したところ、『申請者とよく話し合うように』と言われた」という点

民間委託後の建築確認制度と行政責任についてはtoshiさんの記事に詳しい解説があり、行政も(購入者の被害を全額国家賠償請求できるかはさておき)法的責任から無縁ではすまないと思いますが、さらにこの発言から、窓口担当者の感度の鈍さ、事なかれ主義が明らかになってしまいました。

(2)日本ERI

「ある構造設計士から、姉歯の別の案件で1年前に偽造が発覚したときは建築確認を行った日本ERIが隠蔽したと聞いている」

これをあえて発言する必要があったのか、というところには意図的な責任分散の臭いもしますが、そのあとのTVの取材に対する日本ERIの社長の発言「隠蔽の事実はないが担当者が偽造に気づかなかっただけだ」(という趣旨)は、少なくともこの偽造問題発覚後は内部調査をしたであろう建築確認審査会社としては相当おそまつな発言です。何で自ら公表しなかったのでしょうか?

(3)「内部監査」の連発

イーホームズの社長は「当社の内部監査により偽造が発覚」ということをくり返し言っていました。これは、ミスがあったとはいえ自社のコンプライアンス態勢は機能していた、ということを主張したいのだと思います。
確かに本件を自ら最初に公表したことは評価すべきだと思います。また、内部監査が機能したことも評価すべきだとは思うのですが 一体どういう内部監査で偽造が発覚したのでしょうか?

毎日新聞の記事(2005年11月28日15時00分)では、

イー社の説明では、10月6日に内部監査室が月に1度の社内監査を実施すると関係部署に通知。延べ床面積200平方メートル以上の建築物308件の中から5件を無作為抽出したところ、姉歯(あねは)建築設計事務所がかかわった構造計算に不審な点が見つかった。調査の結果、工事中・未着工のマンション4棟の構造計算書が偽造されていたとして26日、国交省に報告。

とありますが、イーホームズの社長の「偽造は巧妙なもので、通常の審査では発見できない」という主張が正しいとするなら、20日間で5件の構造計算を通常よりも高い精度で行ない、国交省に報告できるまでに仕上げられたところに不自然さを感じます。

やはり事前に姉歯建築士の物件の問題をピンポイントで指摘するようなきっかけがあったのではないでしょうか。 その辺を明らかにするとより説得力が増すと思うのですが、そうなると姉歯(または木村建設/ヒューザー)とイーホームズ担当者の癒着のような話がでてくるのでしょうか。


全体的にはイーホームズの藤田社長のまっとうさが目立った委員会招致でしたが、きれい過ぎるところに逆にdefensiveな香りを感じてしまいました。

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(11/30付記)

昨日はTVニュースのダイジェスト版だったのですが、今日の新聞報道を見ると

①1年前の姉歯の偽造隠蔽(日本ERI)について匿名で情報提供があった
②これをもとに10/20、姉歯がかかわった1件で偽造が発覚した。建築主はヒューザーだった
③姉歯・ヒューザーの組み合わせの全物件を調査したところ、11件で偽造が発覚した

ということのようです。

こっちのほうがつじつまが合うのですが、②で発覚した1件は無作為抽出だったんでしょうか?
産経新聞の記事のように定例の内部監査でないとすれば、②の時点で姉歯関係を全件チェックするのが普通では?と思ってしまいますが・・・

ちょっと勘ぐりすぎですかね・・・

コメント (2)
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