一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

イタチの最後っ屁

2008-09-01 | あきなひ
週末、アメリカから何年かぶりに帰国した友人を囲む飲み会。

先月仕事の関係でノースカロライナからミシガンに引っ越したばかりということで、その話題がひとしきり。

今回家も買い換えたのだけど、売り物の候補物件はこのご時勢かなりあったようで、ただ多くを占めるforeclosure(抵当流れ)物件は不動産屋からやめたほうがいいと言われたとか。
アメリカの住宅ローンはノンリコースなので、返済につまっても抵当に入っている家さえ手放せばその他の個人財産まで取り立てに来ない。
とはいうものの、やはり家を手放すのは悔しいので、明け渡しの際に室内や設備をを壊したり汚したりする奴が結構多いので、買ってからの手間がかかったり思わぬトラブル(電気系統とかは一見わからないので)に巻き込まれることもあるらしいです。

成約してナンボの不動産屋がそこまで言うのは妙に説得力があります。

確かに賃貸と違い、明け渡す際に原状回復が必要なわけではないので、「汚く使っててごめんなさい」と言われれば債権者としても不法行為を立証するのはなかなか難しいですね。

やはりサブプライム・ローンで持ち家の夢を見て挙句に返済できなくなった恨みというのがあるのでしょうか。
「立つ鳥跡を濁さず」とまでは期待できなくとも「後は野となれ山となれ」であれば(そもそもそれがノンリコース・ローンのコンセプトですから)計算のうちなののでしょうが、人間の業の深さは計算を上回っているようです。

また、実際に抵当権を行使して換金するサービサー業務を誰がやっているのか知りませんが、フトコロが痛むのはローン債権を持っている人なので(しかも証券化されて最終的に帰属する人の顔が見えなくなっている)、サービサーにも細かく債務者の行いを監視したり責任追及するインセンティブもなさそうです。


法律的(弁護士に大枚はたいて?)には精緻にくみ上げられているはずのストラクチャード・ファイナンスですが、理論的に精巧であるほどこういう形而下の部分で足を引っ張られるということがあるのかもしれません。


日本のノンリコース・ローンも実際にデフォルトが起きたときに契約書に書いたメカニズムが機能するのかどうか、けっこうつまらないことがネックになったりするんじゃないかな、という部分はちょっと興味があります。


コメント
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