一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

2008-09-16 | キネマ
(若干ネタバレあり)


1900年代初頭のアメリカ、皆が石油採掘で一攫千金を夢見る中で成功をつかんだ男の物語。
解説では、主人公の野心と欲望とその陰影というような説明がされています。

でも映画を観たあと、ひょっとしたら主人公は最後まで幸せだったのでは、と思いました。

主人公は事業の成功による巨万の富という世俗的な成功と人間関係の蹉跌というこれまた世俗的には失敗に分類される事象を経験しますが、主人公の根底には「世俗的な価値」、具体的にはスタンダード・オイルのような大資本やキリスト教的救済の世界観への反発心があったと思います。
主人公は結局それらを打ち負かしたわけで、世間はそれを狂気と評価するかもしれませんが、主人公は最後に心の平安を得たようにも思えます。

ラストシーンや、スタンダードオイルの人間や牧師の戯画化した描き方からそんな印象を受けました。
最大公約数的な、または期待値が最大になるような行動が求められる現代への監督の問いかけ、といってはうがちすぎでしょうか。


それから音楽がとてもいいです。


コメント
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