一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

逆張りの難しさ

2008-09-09 | あきなひ

「反省」の適時開示

当社の経営方針および開示方針に関するお知らせ
(株式会社アトリウム 平成20年9月8日 18:20)  

8月29日付のりんかい日産建設株式会社に係るリリースや9月3日付の投資有価証券評価損に係るリリース等につきましては、さらなる改善の余地があったものと真摯に受け止めております。

何が問題だったのかと調べてみると
当社が保証する債権の取立遅延のおそれに関するお知らせ
(平成20年8月29日 22:51)
りんかい日産建設の会社更生申し立てに関するものですが、他の債権をもっている会社に比べて開示が遅かったということでしょうか。それとも  

上記債権については、全額が不動産により担保されております。 
なお、今期の業績予想につきましては、当該事実を含めて精査中であり、変更等が生じる場合には、速やかにお知らせいたします。  

という「全額担保されて」るのに業績予想に変動の可能性があるというわけのわからない記載が問題になったのでしょうか(よく考えてみると「債権については、全額が不動産により担保されております」という意味も不明ですね。)。

また
平成21年2月期中間期末の投資有価証券評価損に関するお知らせ
(2008年9月3日 11:30)
は、中間期が8月末でリプラスなどの上場株式なので減損の結果はすぐにわかるはずなのに遅いということかでしょうか(さらに取引時間内の開示というのも問題がありそうですね。)。  


最初の開示を見ると、この会社は親会社のクレディ・セゾンの融資に対して不動産会社ならではの目利きで債務保証をする、債務不履行を起こした場合には担保権の実行を事業機会につなげるという「逆張り」がビジネスモデルになっていたようですが、そうであればこそ与信監理をしっかりしているところをアピールする必要があるということでしょう。  

それが

同事業では、初期の段階等において、必ずしも全ての担保不動産について、「融資保証の担保としてだけではなく、実際に自社で取得したい不動産か」という視点が完全には徹底されていなかったものと自己分析しております。  

と「調子に乗ってました」とあっさり言われると、株主としては文句の一つも言いたくなる気持ちもわかります。
(そもそもこのビジネスモデルは、親会社のクレディセゾンとしては連結ベースではリスクヘッジになってないじゃないか、という疑問はありますが。) 


ところでアトリウムという会社、どこかで聞いたことがあると思ったのですが、早稲田大学大学院ファイナンス研究科で 不動産実務投資講座(基礎編) 同(応用編) の寄付講座のスポンサーになっています。
大学側にとってはスポンサー探しにもリスクがつきものということですね。(そういえばコムスンの折口氏の慶應への5000万の寄付なんてのもありました。)


もっともこういう講座は、本来は不動産業界に逆風が吹いている今こそその教訓を織り込んで意義があると思うので、アトリウムには倒産しない限り歯を食いしばって社会貢献活動は続けて欲しいと思います。
でも受講生の方が集まらなくなっちゃうんでしょうか。本当は受講生にとっても1,2年後をにらんでの「逆張り」のチャンスなんでしょうけどね。

コメント
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