一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

バタフライ効果とトンボ帰り

2005-07-15 | あきなひ
カオス理論のたとえ話で、南米(ホンジュラスだったかグァテマラだったか忘れましたが)の蝶の羽ばたきが地球規模の大気の大きな変動をもたらすという「バタフライ効果」というのがあります。

変数の関係がXを2倍にするとYも2倍になるという関係でなく、方程式に変数同士の掛け算が入っていたり、べき乗がはいっていたりするようなシステムは長期的な予想が困難になります。
こういうシステムについて論じたのがカオス理論です(確か「非線形動学」とも言うようです)
また、このようなシステムは、初期条件の小さな差がしばらく経つととても大きな差になって現れるという特徴があります。それが上の「バタフライ効果」です。
※素人のうろ覚えなので、正確さは保証の限りではありません。


「バタフライ効果」は仕事でも似たようなことがあって、ちょっと対応を間違えたり、問題を先送りにしたままにしておくと、しばらくしてとんでもないトラブルになることがあります。
俗に「ボタンの掛け違い」などとも言いますが、結果はボタンの穴1個分のずれですまないことのほうが多いですね。


また、カオス理論では「フラクタル」という概念があります。
上のような複雑なシステムは、その一部を詳細に見ても同じ特徴をもった複雑性が現れる、という特徴です。
たとえば海岸線のギザギザは大きな縮尺で見ても、小さな縮尺で見ても同じ形をしているとかそう言うものです。
※フラクタルの例(図形を拡大すると同じ図形が出てくる)についてはこちらをご参考に。


これは仕事で言うと「マズいパターン」とか「危ない展開」というやつですね。


で、えらくもったいぶった前振りでした(w)が、今日は、収束したと思ったトラブルが再燃しそうな兆候があり(フラクタル)、このまま対応が後手に回るとおおごとになりそう(バタフライ効果)だったので、急遽対応を打ち合わせるために大阪へ。


でも、18:00から東京で既に予定がはいっていたので、夕方にはとんぼ返り、というあわただしい一日でした。

17:46東京駅着でギリギリ間に合うかどうかというところだったのですが、幸い2本前の新幹線に乗れた(新幹線の指定券自動販売機は出発5分前まで買えるので助かります)ので17:30に東京駅。そこからタクシーでお店に。

お世話になった若手の弁護士先生がアメリカに留学にいくので内輪での壮行会。
アメリカでは食べられないものを、ということで某焼肉店の社長を煽って、とっておきの肩ロースなどをブロックから切って焼いてもらいました。

口の中でとろける脂身の食感が最高。
年中食べたら身体に悪いでしょうが、たまに食べると絶品です。
※最近とみに予約が取りにくくなっているので、店名は内緒です・・・

丁度昨日今日の日経の囲み記事にあった「沸騰 法務ビジネス」などをネタに盛り上がりました。



ということで、今日も飲みすぎ・・・

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ささやかな贅沢

2005-07-14 | 飲んだり食べたり
醤油が届きました。

以前、小豆島に行ったときにもろみ蔵を見学させていただいた以来のご縁で、醤油は
ヤマロク醤油さんから取り寄せています。

奥行きのある香りと味わいは格別のものがあります。
特に、もろみ蔵を見学して、土蔵の土壁の細菌が発酵を促すという話を聞いてからは、工場での生産品に対しては得られないような思い入れを感じてしまいます

今回は、
嘉永五年(1852年)創業の老舗 ㈱高橋商店の社長さんと味を試行錯誤しながら造りました。有機大豆を使った醤油と種子島産の砂糖を使用し、徳島産の「すだち」・「ゆず」の果汁を通常のぽん酢よりも多く使いました。(12%使用)
というポン酢も一緒に詰め合わせてもらいました。
これも楽しみです。

ちなみに、海苔とタラコと納豆にご飯があればいい、という僕としては、醤油と海苔は贅沢しようと、海苔は増辰海苔店に決めています(知人のお店なのですが、問屋直販なので品質の高さとコストパフォーマンスのよさは掛け値なしにお勧めです。)


ささやかな贅沢の話でした
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感心したこと、ちょっと心配なこと。

2005-07-13 | よしなしごと
朝、NHK BS-1の世界のニュースを見ることが多いのですが、BBCのテロに関する報道を見ると、妙にヒステリックにならず、憶測を交えずに淡々とした姿勢に感心します。

日本のテレビ局のロンドンからの中継のけたたましさと比べると、彼我の成熟度の違いも感じます。

今回は捜査機関の対応も早く、また、こちらも過剰な憶測を交えずにマスコミに必要な情報を提供しているように思います。
(911の時のFBIとCIAの責任のなすりつけ合いを反面教師にしたのかもしれません)

市民も冷静にかつ毅然と日常生活を送っているようで、IRA以来良くも悪くもテロを日常生活のリスクとして受け止める土壌(度量?)があるのかもしれません。


さらに今回はあらためてブレア首相に感心しました。

サミットの成果についてのコメント

「確かに今回のサミットの成果には、テロの凄惨さほどのインパクトはないが、合意の核心には誇りと希望と人間性とがあり、それらはテロリズムの影を払いのけ、よりよい未来を照らすことが出来るに違いない」

Flanked by all the leaders at the G8 summit, Mr Blair said their deal did not have the ghastly impact of terror.
"But it has a pride and a hope and a humanity at its heart that can lift the shadow of terrorism and lead the way to a better future," he said.

と言っています。
※より詳細はこちら

重要な局面においてリーダーとして何が求められているか、何が人心を鼓舞するかをわかっている人の発言だと思います。
(ここ一番で自分を鼓舞する発言をする人はわが国にも結構いますが・・・)



ところで、先日一緒に飲んだ中の事情通によると、今回のテロはロシアのプーチン大統領がいちばんショックだったのではないかと言う話です。

2006年のG8サミットはロシアがホスト国になり、サンクトペテルスブルグで開催されるそうです。

実はサンクトペテルスブルグはプーチンの地元で、いわば故郷に錦を飾る形になります。

ところが今回のテロでサミット会場以外が標的にされたことで、サンクトペテルスブルグのサミットの際も、モスクワでのテロの可能性が高まりました。
つまり、ロシア政府は2つの大都市で同時にテロ対策をする必要が生じたわけです。

アルカイダだけでなくチェチェンの武装勢力の問題や、そもそも「治安強化・強権型」の政権・治安部隊の性格から、来年に向けてロシア国内でかなり強圧的なテロ抑止活動が展開される可能性があるのではないか、ということです。


せっかくイギリスが成熟した対応をしている中で、不用意に刺激しなければいいのですが。
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シラクの失言

2005-07-12 | よしなしごと
テロの影響で影が薄くなってしまいましたが、2012年オリンピックの開催地争いにおいて、
フランスのシラク大統領とイギリスのブレア首相が好対照を見せました。

シラクはIOCの投票直前に、歴史に残るかもしれない失言をしました。

曰く
「食べ物の不味い国の人々は信用できない」
「イギリスがヨーロッパ農業にした唯一の貢献は狂牛病の伝染だ」
「イギリスの料理はフィンランドの次に最悪」
これでは何のユーモア(フランス流ではエスプリですか)もない単なる毒舌ですね。

少なくともフランスのイメージを向上させることにはつながらない発言です。

下馬評では「パリ有利」と伝えられていた気の緩みから出た発言かもしれませんが、
その後IOCの会議の開催されているシンガポールに応援に行ったときにもその後始末に追われたようです。

※以下、ソースにしたのがBBC Newsの記事なので多少手前味噌もあるかもしれません


一方でブレアはその失言騒ぎに巻きこまれずに
"I don't disrespect the other cities that are bidding,"
"We should approach this in the right diplomatic spirit, which I will do."
と正攻法・誠実な対応を強調した上で
"Everybody knows by my coming here the strength of the commitment. The day after, we're ready to start,"
と準備万端であることをアピールしています。
(TVでちょっと見たのですが、ブレアの演説は"passion"などのキーワードを繰り返し、なかなか印象的なスピーチでした。探したのですが全文がなくて残念)


ところで、シラクの失言で思い出したのが、1989年の巨人-近鉄の日本シリーズ。


当時近鉄が初戦から3連勝し、その3戦目のヒーローインタビューで、近鉄の加藤哲郎投手が

「巨人は(その年パ・リーグ最下位だった)ロッテより弱い!」

という発言をし、それに奮起した巨人がその後4連勝して近鉄が日本一を逸した、ということがありました。


慢心、または不用意な挑発は怖いですね。


また、今回はフィンランドは妙なとばっちりを喰ってしまいましたが、上の野球では1989年当時は弱かったロッテも今期は首位争いを繰り広げるまでにチーム力が上昇したわけですから、フィンランド料理もこれをきっかけに脚光を浴びるかもしれない、とpositiveに考えたらどうでしょうか(って関係ないか・・・)

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ロンドンのテロ事件についての補足

2005-07-11 | よしなしごと
昨日の記事についての補足

昨日の話で抜けていたのが

そもそもテロにどんな理屈があろうと、犯罪行為ではないか。
犯罪行為は処罰されるべきだし、防止するべきだ。

という大前提があります。

ただ問題は、犯罪者や狂信的(どこからが「狂信的」なのかの線引きは難しいですが)な集団だけでなく(これらは警察とか治安組織の本来の仕事です)、何らかの政治的主張(これもどこからが真っ当な政治的主張か、の問題はあります)の手段としてテロを使おうとする人々(=ある程度合理的判断が出来ると思われる人々)に対し、どういう抑止ができるのか、ということを考える事で、今回のような大規模なテロはある程度減少できるのではないか(大規模なテロには資金力が必要で、「大義」があるほど資金集めはしやすいし、逆に「大義」をなくせば資金も集まらない)と思うからです。

その辺が抜けてたので、いきなり「造反有理」「愛国無罪」風な前提に読めてしまったかもしれません。



それからもうひとつ、じゃあ、具体的にテロを取り締まるためにどこまで日常生活の不便を甘受するか、というのは今度はわれわれ一般人の意識の問題とからんできます。

空港の手荷物検査をどこまで厳重にするか、テロ情報による飛行機・列車の運行停止に強制力を持たせるかとか、警官等の所持品検査権や通信傍受をどこまで認めるか、とかの問題です。
一般の犯罪に対しては、公権力は基本的には事後の逮捕による刑罰を原則としているわけで、事前の公安活動に強制力を持たせる、ということはその分日常生活の自由度が失われるわけです。

これは裏を返せば、テロをどの程度まで「日常生活上のリスク」ととらえるか、ということですね。

これもなかなか難しい問題です。
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ロンドンの同時多発テロについて

2005-07-10 | よしなしごと
ロンドンの同時多発テロについて、皆さんのblogでもいろいろな意見・感想が述べられています。
また、あえて書かない方もいらっしゃると思います。

事件から数日経ってしまいましたが、僕なりに考えた事を書いてみます


テロは許すべきでない。総論はそのとおりだと思います。


ではなぜ許すべきではないのか、考えてみました。
① 何の罪もない人を犠牲にしているから
② 百歩譲って戦闘行為だとしても被戦闘員を対象にしているから
③ 日常生活の安全性という認識を脅かすから、自分がやられたらいやだから
というあたりだと思います。

では①については
A イラクでも一般市民が空爆の犠牲になっているのだから、空爆した側も同様の犠牲を払う覚悟があるはずだ、という反論が考えられます
 これに対しては「悪意の連鎖は何も生まない」という説得はありえます。
 そうはいいながら、「罪があってもなくても人を殺してはいけない」と言い切れるかは正直言って微妙なのではないかと思います(でも、これを言い切れないと、「イラク戦争に参戦した国民は罪がある」という反論から戦争の大義の有無という不毛な議論にはいってしまいます)。
 たとえば死刑制度問題とか犯罪者の処罰における被害者の感情の反映の問題など、応報的考え方は、日本や死刑制度が存続している国々では有力なのではないでしょうか。(僕自身は原理としての応報的考え方正しくはないと思いますが「理屈ではわかるが俺が被害にあったらタダじゃおかない」と思っていることも事実です)。
 
②に対しては
B アメリカの通常兵器における圧倒的な軍事力を前提にすると、通常兵力による戦争のみしか武力行使を認めないのは、アメリカの言いなりになれと言うのと同義であり、われわれはアメリカによる軍事支配を容認するつもりはない、という反論があるでしょう。
 これは、北朝鮮の核開発のロジックと同じで、核開発においては核拡散防止条約以前に核保有した国がなぜ(核兵器を前面廃棄しないで)既得権益として核兵器を保有できるのか、ということにつながります。
 また、唯一圧倒的な軍事力を持つアメリカが「世界の警察」としてふるまうなかで、万が一自国を侵略しそれを既成事実化してしまった場合、国土を奪回しようとするなら通常兵器での戦争では勝ち目はないので、ゲリラ戦に訴えるしかなくなります。つまり「世界の警察」としてのアメリカを全面的に信用するか、外交努力以外には訴えないと覚悟するかしない限り、上の反論を否定することは、自らの首をしめることにもなりかねません。

③は感情の問題で、テロの実行側はそこをついてくるので、これについては「だからテロをやるんだ」と言う以外の反応はないでしょう。
 さらに、③の考え(家族・親戚・友人・知人の安全は大丈夫だろうか。株価・為替・原油価格は大丈夫だろうか。東京は大丈夫だろうか)は「自分にとってのダメージ」を基準にしているので、(「人を殺してはいけない」という一般的なメッセージ以外には)説得力ある共通の土俵を作りにくいという問題があると思います。


では、このまま放置するしかないのか、どうすれば世の中は今より少しは良くなるのでしょうか


ひとつは「人を殺してはいけない」という愚直なメッセージを伝えることだと思います。

ただこれは、伝える側も「意味なく」とか「罪もない」という留保をつけがちであるところが難しいところです。

実はテロのあった日の夜、ロンドン駐在経験のある人を含む何人かで飲んでいたのですが、そこで出た話が
 今回のテロの意図は示威行為であり大量殺戮を狙ったものではではないのではないか
というものでした。
 今回地下鉄の爆弾はCircle Lineという都心主要部に通じる環状線に仕掛けられていました。しかしCircle Lineは比較的浅く、地上出口が近いそうで、一方、Central Lineという相当深く逃げ場がない路線もあり、大量殺戮を狙うのであればそちらに仕掛けるはずだったのではないか、ということです(現に以前Central Lineで多数の犠牲者を出した火災事故がありその反省を踏まえ、地下鉄では禁煙、木製エスカレーターの金属製への改修が行われたそうです)。

 だから実行犯は良心的だ、というつもりはないのですが、少なくともテロ行為の政治的マイナス面は意識しているように思います。

 だとすれば、テロであろうとそれへの報復(イスラエルがよくやる)であろうと、(無意味な=できればこの留保なく)殺人は止めるべきだ、という風に国際世論が盛り上がる事はひとつの有効な手立てだと思います。


 もうひとつは「テロに屈しない」ことだと思います。

 具体的には、怖れない、被害にあっても怒りに任せた行動(特定の国籍・宗教の人々をリンチにかける等)をしない、ということです。
 言い換えれば、日常生活にテロというリスクを(あたかも交通事故と同じように)織り込む、ということです。
 しかしこれは①国の外交政策が民主的なプロセスで決定され国民の支持を得ている②外交政策によってはテロの危険が増す場合もあるがそれを国民が理解し納得している、という前提がないと成り立たないと思います。であるとすると、(IRAのテロと長年向き合ってきた英国ならともかく、さらに政治過程があいまいな)日本では相当難易度が高いように思います。
 また、アメリカのように「被害慣れ」していないところは「テロに屈しない」だけが前面に出て「殺すな」が影をひそめ、単なる報復合戦になってしまいがちだと思います。


つまり、テロ根絶を訴える側の成熟も相当必要だということでしょう。


事件以後時間がたった割りにまとまりがなくなってしまいましたが、とりあえず今思っていることを書いてみました。
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エド・マクベイン逝く

2005-07-09 | 乱読日記
エド・マクベインが亡くなりました。
享年78歳

映画「暴力教室」の脚本で世に出、ヒッチコックの「鳥」の脚本を書いた事でも知られていますが、なんと言っても警察ものミステリー「87分署シリーズ」が有名です。
「87分署シリーズ」は第1作が1956年で、以来今年まで55作目が刊行されました。
※日本では、第10作目の「キングの身代金」が黒沢明の「天国と地獄」の原案になったことでも知られています。

※The New York Timesの追悼記事はこちら作品一覧はこちら

僕は87分署シリーズの大のファンで、学生の時に出あった直後から2日に3冊のペースで1作目から順に読み出し、追いついて以来新刊が出る都度すべて読んでいます。
(新刊はハヤカワ・ミステリなので、置いてある本屋が少ないのが悩みのタネでした。)
※翻訳は52作目までなので、あと3作は読めるわけです。

87分署シリーズは、ニューヨーク(作中では架空の都市「アイソラ」となってますが)の警察署の刑事たちを主役にしたミステリーです。
登場した当初は、従来の「スーパーマン刑事」が事件を快刀乱麻に解決する小説と違い、刑事たちの日常や捜査方法をリアルに描く斬新な警察小説として脚光を浴びました。
その後の警察小説の方向を形作ったとも言えましょう。

マクベインは50年近く「87分署シリーズ」を続けてきたわけですが、時代と共にテーマとなる犯罪や犯人像も毎回変わってきていますし、登場人物である刑事たちの人物像が一作ごとに深まっていく感じがします。また、犯罪につき物の「色と欲」の描き方も年齢を感じさせないものがありました。

このように作者の興味やパワーが一向に衰えを見せなかったので、突然の訃報に驚きましたが、BBC Newsによれば、2002年に喉頭がんが発見され、放射線治療をしたものの、今回再発したとのこと。その間も執筆を続けていた(87分署シリーズだけでも4冊!)のですから

またエド・マクベインの小説は87分署シリーズに限らず、他の作品(本名のエヴァン・ハンター名義で書いているものも)にも世の中や人間に対する「明るくシニカル」というような視線や筆致が共通してあり、いつ読んでもニヤッとさせられました。

そんなマクベインがハヤカワ・ミステリの50周年に寄せた短いエッセイから抜粋させていただきます。
(ハヤカワ書房さん、ごめんなさい)
マクベインらしい筆致とミステリ作家としてのプライドが垣間見れると思います。

合掌

 これまで多くの作家たちが、創作の神秘を明らかにしようとしてきた。作家にとって、文芸を司る女神ミューズは、常に自分の肩の上に乗っているものなのだ。
 私はそう信じている。
 (中略)そして作家がミステリを書くとき、そのプロセスはさらに神秘化される。
 ミステリ小説は普通小説とはまた別のものだ。
 ご存知のように、普通小説には三つのタイプがある。
 ひとつはお高い文学(quality literature)と呼ばれるもの--略して”クォル・リット”。
 次に普通小説のリストのせいぜい中ほどにしか載らない本(the middle of the list book)と呼ばれるもの--略して”ザ・ミッド-リスト・ブック”。
 三つ目は駄作(trash)と呼ばれるもの--略して”トラシュ”
 ”クォル・リット”は、プロットなしの小説と定義できるかもしれない。それはもっぱら現在時制で書かれ、本来はマニア向けの雑誌に掲載されるようなプロットのない短編を引き伸ばしたものだ。
 ”トラシュ”は、とんでもなく美しいヒロインが、世界を股に掛けた大きなビジネスを手に入れる途中で、もつれた男女間の性的関係といった類のことにうまく対処しながら、デザイナーズ・ブランドの服を絶えず脱いでいるといった小説と定義できる。
 ”ザ・ミッド-リスト・ブック”は、五百部しか売れないという条件で、”クォル・リット”でも”トラシュ”でもない小説と定義できる。
(中略)
 普通小説でないものは何でもジャンル小説と呼ばれる。ジャンル小説は四つの大きな範疇に分類できる。
 スパイ小説--世界を救うことについて書かれたもの。
 ロマンス小説--純潔を救うことについて書かれたもの。
 サイエンス・フィクション--別世界を救うことについて書かれたもの。
 ミステリ小説--ご近所を救うことについて書かれたもの。
 私はミステリを書いている。
 近頃まで、ミステリは尊敬すべきものとは全くみなされなかった。(中略)私が<八七分署>シリーズを書き始めた当時、そのシリーズにはペンネームを使うのが望ましいと思えた。これはいわゆる”純文学”とやらの作家として芽を出し始めた私のキャリアを守るためだった。かくしてエド・マクベインが誕生した。
 しかしこの頃では、本のカヴァーを裏返すことなく、公共の浜辺でミステリを読むことができる。ミステリは今や相当の地位を得た。最大のミステリは。これまでずっとミステリに敬意が払われなかったことだ。エヴァン・ハンターの肩に載っているミューズは、エド・マクベインの肩に載っているミューズとは違ったのだろうか?
(後略、以下ハヤカワ書房への謝辞)



「87分署シリーズ」は、やはり第1作から読んでみていただきたいです・・・(昔のものは文庫になってます)
警官嫌い


ハヤカワミステリ文庫



ま、そうも言っていられない方は

黒澤明の「天国と地獄」の原案になったキングの身代金などはいかがでしょう。


あと、お勧めは、シリーズで唯一複数作に登場した犯罪者「デフ・マン」の登場する5作(なんと1960~1993と足掛け3分の1世紀)です。

電話魔

警官

死んだ耳の男

八頭の黒馬

悪戯
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ラムズフェルドの「知恵の泉」

2005-07-08 | ネタ

昔、竹下登が首相のころ「言語明瞭意味不明」と言われた事がありましたが、アメリカのラムズフェルド国防長官も意味不明瞭な発言で有名、という話です。

 ラムズフェルドの「意味不明な名調子」ともいえる発言を集めて詩として読み取った"Pieces of Intelligence: The Existential Poetry of Donald H. Rumsfield"という本があります。
こちらのコラムに抜粋があります。
※また、こちらでは音声で聞けます。

なかなかの名調子が多いのですが、その中で"Evasion Haiku"(「誤魔化しで一句」?)と名付けられたのがこれ

I'm working my way
Over to figuring out
How I won't answer.

 俳句風に意訳すると

鳴かずして
いかにすますや
ほととぎす

というのはどうでしょうか?


 いちばん有名なのは、イラクがアルカイダを支援していることについての確証がないことについての質問に答えたものを題材にした"The Unknown"というフレーズです。
 

As we know,
There are known knowns.
There are things we know we know.
We also know
There are known unknowns
That is to say
We know there are some things
We do not know.
But there are also unknown unknowns,
The ones we don't know we don't know.


あたりまえだが、われわれは、
世の中に知られていると知られていること、
既知のこととして知っているものがあることを知っている。
またわれわれは、
未知のこととして知られているものがあることも知っている。
つまり、われわれは、
世の中にわれわれの知らないことがあることも知っている。
しかしそれは同時に、
世の中には未知であること自体を知られていないもの、
すなわち、
われわれが知らないことすら知らないものがあるということなのだ

「まだ誰も知らない証拠があるかもしれないじゃないか」ということを、ここまで理屈っぽく言えるのはひとつの才能でしょう。

正しいかどうかはさておき、発言内容もよく読むと(皮肉たっぷりですし、肝心なことは何も言っていませんが)理屈は通っています。

しかも、朗読を聞くと[nou]の音が韻を踏んで、催眠効果のようなひびきがあります。

ここまで来ると、たしかに芸術の域に達しているかもしれませんね。


「頭の回転が早くて性格が悪い手強い奴」、という典型的なヒール・キャラですね。
傲岸不遜な態度やルックスもプラスになってます。

政治家だったら人気は出ないでしょうが、「ぼんぼん」キャラのブッシュ・ジュニアを頭にいただく「帝国」の閣僚としては必須の人材ではないかと思います。


小泉内閣でいうと、以前の福田官房長官などは、いい味出していると思いました。
今はときたま不規則発言をする町村外務大臣くらいでしょうが、あまりアクが強いという感じでもないですね。

その分、首相が全部自分で引き受けることになるので、いろんな発言が飛び出してくるのでしょうか・・・

 

Pieces of Intelligence: The Existential Poetry of Donald H. Rumsfield




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日本コンタク党

2005-07-07 | よしなしごと
昨日前振りで終わったネタの続きです。

社会問題になるような事件の被害者の救済費用を誰が負担するか、特に国が負担する、ということについては、本来は有権者が影響力を行使できるのに、その影響力の行使は一部の利益団体ばかりしていて、我々一般消費者はワリを食ってる。
ならばまず、投票に行く事から始めようじゃないか、というのが昨日の話です。


でも、世の中変わらないよね~、とお思いのあなたに、一つの提案です。


※以下は知り合いの眼科医に聞いた話を元にしていますが、私は専門知識はないので、内容の正確性は保証できません
 あくまでネタとしてお読みください。



コンタクトレンズの商用化は1930年代で、一般に普及したのは戦後であり、30年、40年という連続装用による影響(「長期予後」と言うそうです)の症例が出てきたのは最近のことだそうです。
(このへん、アスベストに似ていますね)

長時間連続装用による症例としては、酸素不足が続いたため本来血管がないはずの黒目に血管が発生する、というものがあるそうです。
この血管は真性血管(仮性でない)なので一生取れないそうです。
また、これにより、将来的に緑内障のリスクが増えるなどの研究結果もあるそうです。


現在日本でのコンタクトレンズ利用者は1600万人とも言われています。
これらのうちのたとえば20%が治療が必要になるとすると300万人、さらに全体の6%が緑内障による失明のリスクがあるとすると10万人が医療費の負担を強いられる事になります。

健康保険制度では自己負担が30%程度ありますが高度な医療を受けると自己負担分も増えますので(高度医療の所得税還付制度というのもあるのですがここでは無視します)、一部の人は失明のリスクを負いながらも医療を受けない、ということが考えられます。
(たとえば75歳になって(しかも積み立て額以下の)年金しか収入がない中で、数10万円の手術費を払う余力がなく、失明のリスクを受け入れる人も大勢出てくることが考えられます)

となると、コンタクトレンズの後遺症は社会問題になりえます。

そこでは、治療費をレンズメーカーに負担させるという動きも考えられますが、メーカーは「使用方法の注意(そこにはとても保守的なことが書いてあるはずです)を守れば大丈夫」などと争うことも考えられます。これでは問題が長期化しますし、必ずしも勝てるとは限りません。

そうなると、今度は「コンタクトレンズ後遺症のみ健康保険制度の例外として全額カバーする」というようなことも考えられます。

これに対しては「ちょっと待てよ。一部の国民の利益のために税金を使うのはいいのか?」という反対が、コンタクトレンズを利用しない国民から出てくると思います。


でも、ここであきらめたらだめです。


実はコンタクトレンズ利用者1600万人という数字は、
 自由民主党100万人
 公明党40万人
という数字に比べても圧倒的に大きい事がわかります。


だとすれば、コンタクトレンズ利用者が共同して自分たちの意見を反映させるべく組織的に議員に働きかけると相当なパワーになります。

さらに、1600万人のうち有権者が約70%と考えると、1100万票を持った支持者層ですから、自ら政党を結成して、国会に議員を送り込む、というのはどうでしょうか?

1100万の固定支持層をテコに連立与党に加われば、議員を通じて立法を働きかけることも思いのままです。
※「利益誘導政治だ」などと言われたら「今まではなんだったんだ?」と言い返してあげましょう。


そう考えると、私たちの一票にはけっこうな重みがあることがわかります。
今はそれが一つの政党にまとまっていないだけです。


あきらめている場合ではありません。


さあ、皆さんで「日本コンタク党」を設立しようではありませんか!




※ちなみに僕はコンタクトレンズ利用者ではないので参加しませんが・・・

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誰が費用を負担するか、の問題

2005-07-06 | よしなしごと
昨日、アスベスト問題からのつながりで、社会的コストについて原因者が負担するか、受益者が負担するか、社会全体が負担するかというのはなかなか難しい、という話をしました。

アスベストの場合は、被曝から30~40年が経過していて、法律的な責任や因果関係の立証が困難という部分もあり、原因者(とかなりの確率で想定できる)兼受益者であるメーカーが自発的に
見舞金を払う、ということになったのでしょう。

これが、アスベストが全面禁止されていて、アスベスト業界というのがなくなってしまっていたら、社会としてどう被害者を救済するか、という問題になるわけです。

ところで今日、中国残留孤児の国家賠償訴訟、原告の請求棄却 大阪地裁
     (2005年07月06日13時41分 asahi.com)
という判決がでました。
これは、国の残留孤児への速やかな帰国措置や永住後の自立支援において法律上の義務違反まではない、というもので、僕自身は判決はこれで仕方ないと思うのですが、では、高齢や言葉の問題で約6割が生活保護を受けているという現状を放置しておいていいのか、というのは別の問題として政策論として議論されるべきでしょう。
全国各地で同様の訴訟が提起されているようですが、おそらく訴訟に勝つ事と同時(またはそれ以上に)問題提起という意味合いが大きいのではないかとも思います。
これも、どこまでが国が援助して、どこからが自助努力なのかという難しい問題を含んでいます。※これがもっと大きくなると、統合ドイツにおける旧東ドイツに対する失業対策と旧西ドイツの雇用確保のどちらを優先するか、というようなかなり難しい問題になります



最近では、スーパーのレジ袋の有料化、という議論もあります。
これは、小売店から消費者に負担が転嫁することで、レジ袋削減に効果がある、という判断なのでしょう。
でも、家庭ごみとして排出されて処理場(=税金)への負荷が大きいという点では、スーパーの発泡スチロールのトレイやコンビニやホカ弁屋の弁当容器のほうが、影響が大きいと思います。
※コンビニに弁当箱を持参すると、中に詰めてくれたり、スーパーに鍋を持っていくとお惣菜を量り売りしてくれたりして、しかも代金も安い、というのは昔の暮らしを髣髴とさせていいと思うのですがどうでしょうか?

このように、ある社会的な費用を誰が負担すべきかが問題になったとき、最後は法律でルールが定められるわけです。

法律(条例)を誰が決めるかというと、国会議員(地方議員)です。
今回の郵政民営化法案に象徴されるように、ルールを決めるに当たっては、議員は自分の支持者の意向を考慮します。

なので、レジ袋の話も、スーパー業界は自分が矢面に立つのはいやなので一般消費者に転嫁しようとロビー活動をしようとしている、とも考えられます。


一般消費者としての私たちも、あきらめるだけでなく、何か具体的な論点で意見が集約されれば、相当な圧力団体になるはずです。
既存の政党が問題としてとりあげない、とかマスコミが取り上げない、とかいろいろ文句を言いたい部分もありますが、やはりまずは投票をして、意思を示すところからはじめるのかな、と思います。


郵政民営化法案は参議院でも予断を許さないようですので、ひょっとすると総選挙も早く訪れるかもしれませんし、ね。


実は本題はこれからなのですが、前振りが長くなってしまいましたのであとは次回に
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アスベスト問題

2005-07-05 | よしなしごと
ここのところ、アスベスト被害が問題化しています。

兵庫のクボタ旧工場、石綿疾患で78人死亡 79年以降
大手機械メーカー「クボタ」(大阪市)の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の従業員や出入り業者計78人が、アスベスト(石綿)が原因で胸膜や腹膜に起きるがん「中皮腫(ちゅうひしゅ)」などで死亡していることがわかった。工場では54~75年、毒性の強い青石綿を大量に使っており、作業中の吸引が原因とみられる。工場の近くに住んでいた住民5人も中皮腫を発病、2人は死亡しており、同社は29日、治療中の3人に見舞金を出すことを明らかにした。 (2005年06月29日 asahi.comから引用)

クボタがアスベスト被害住民3人に見舞金 「誠意感じた」
「クボタ」(本社・大阪市)がアスベスト(石綿)を使って水道管を製造していた旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民が、石綿が原因のがんの「中皮腫(ちゅうひしゅ)」にかかった問題で、クボタは30日、治療中の3人に1人200万円の見舞金を渡した。謝罪はなかったが、この日尼崎市内で記者会見した3人は「誠意を感じた」と話した。(2005年07月01日 asahi.comから引用)

アスベスト、業界団体が被害開示へ 経産省も情報収集
(2005年07月02日 asahi.com)

ニチアスでも死亡 アスベスト、深刻な健康被害
日本の石綿業界のパイオニアともいえるニチアスでも、従業員86人が死亡していたことが5日、明らかになった。(2005年07月05日 asahi.comから引用)


以前アスベスト(石綿)についてちょっと調べた事があってたわけた記事を書いたのですが、実はかなり悩ましい問題があります。

健康に有害な「青石綿」(粒子が細かく尖っていて、肺がんの原因になりやすい)の製造は1970年頃に既に中止になっているのですが、肺に入り込んだ石綿の微粒子が肺がんを発症させるのは、30~40年後ということで、今になって問題がでてきたわけです。

ここで難しいのは、企業の責任を問おうとしても、因果関係の立証が困難なのと、民事上の不法行為責任は20年の除斥期間(時効のようなもの)にかかってしまうことです。

したがって、上のクボタのように企業としては法的責任とは別に「見舞金」名目の支払い、という解決になるわけです。
(話はそれますが、国税はこの支出に対して寄付認定をするのでしょうか?)


アスベストは、以前から断熱材やブレーキパッキン、理科の実験で使った加熱用の網などに使われていて、特に高層建築物の鉄骨の耐火被覆材としてアスベストを吹き付ける工法が多用されたため、アメリカを中心に健康被害問題が従来から問題になっていました。

アメリカでは日本と異なり懲罰的損害賠償など多額の損害賠償請求訴訟が提起されたため、米上院司法委、アスベスト被害者補償法案可決・基金14兆円超のような動きも見られています。


このように、従来は画期的な製品として多用されたものが、実は健康被害をもたらすことがわかった場合、社会としてどのように対処するかは難しい問題です。

合成甘味料のように使用を禁止すれば済むものはまだいいですが、PCB(「発火の危険がない安全な絶縁材」として変圧器などに多用されていた)のように処理技術が未整備なもの(「旧所有者の基準に基づいた保管」が義務付けられていますが、最近ようやく処理場が出来てきたようです)や、今回のアスベストのように健康被害が相当遅れて現れるものについては、その処理や補償のコストを誰がどういう形で負担するかが大きな問題になります。

利益を得たと言う意味では企業や業界団体は当然応分の負担をすべきでしょうが、一企業として負担できない規模の場合、また、社会全体で便益を享受していた場合には、公的な負担も考える必要があります。

公的な負担も、国の一般会計からダイレクトに出すのか、健康保険制度の特例的なものにするのか、目的税のような利用者負担的なしくみをとるのか、という問題もあります。

今まで私たちは技術の進歩の恩恵を十分にこうむってきたわけですが、負の部分の負担についても(特に昔の公害問題のように特定の悪者がいるというわかりやすい構図でないだけに)、十分考える習慣をつけるべきだと改めて思いました。


***************

(以下は聞きかじりの知識を前提とした話なので、あまり信憑性はないものという前提でお読みください)


ちなみに、日本に現在ある建物も古いものにはアスベストが使われていることがあります。

ただ、使われている部分が構造物である鉄骨の耐火被覆なので、日常はそんなに危険はないようです(一部が空調機を通って空気中に浮遊することはあるものの、粒子数が少ない場合は発ガン率はタバコの数十分の1程度とか)。
さらに、リニューアル工事のときに(良心的なビルオーナーであれば)アスベストを除去したり、封じ込め(樹脂で外側を覆ってしまう)てしまえば安心です。

なので、あまり過剰反応というのも禁物だと思います。

問題は解体工事現場。これは周囲にどうしても粉塵が舞うので注意が必要なようです。
※解体工事にも技術基準があるのかもしれません(シートで覆った上で水をかけながら作業したりしているところもありますが)がそこまでは不勉強ですみません・・・


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東京都議選の評価は?

2005-07-04 | よしなしごと

民主伸び第2党に 自民後退50議席割る 東京都議選

 東京都議会議員選挙(定数127)は3日投開票された。
 民主党が現有19議席から35議席まで伸ばし、「都議会第2党」になった。自民党は現有51議席を守れず48議席にとどまった。公明党は全員当選の23議席を維持。共産党は13議席、東京・生活者ネットワークは3議席にそれぞれ減らした。

 03年衆院選、04年参院選で躍進した民主党の勢いが維持され、二大政党化の流れが定着しつつあることを裏付けた。ただ、石原慎太郎知事の与党である自民・公明が過半数を占めたことから、今後の都政運営には大きな変化はないと見られる。投票率は43.99%(前回50.08%)で、過去2番目の低さだった。

 各党とも次期衆院選に向けた中間選挙と位置づけて、国政選挙並みの態勢で臨んだ。石原慎太郎都知事の都政運営に対する各党の姿勢も争点の一つになった。

 民主党は目標の30議席を5議席超え、公明党に代わって都議会第2党になった。(中略)選挙戦を通じて同党候補者同士が激しく競り合う中で票を掘り起こし、5選挙区で複数当選を果たした。
 自民党は、前回は小泉ブームで55人中53人が当選したが、ブームが去った今回は「現有51議席が勝敗ライン」(八代英太同党都連会長)の「守り」の選挙になった。 (中略)しかし、無党派層からの支持が減り、各選挙区で苦戦した。前回は42選挙区中35選挙区でトップ当選したが、今回は17選挙区にとどまった。
(以下略)
               2005年07月04日01時37分 Asahi.comから引用

今回直前になってちょいと関心を持ったので結果を気にしていたのですが、「次期衆院選に向けた中間選挙と位置づけて」いる割にはマスコミの関心も薄いようですね(民主党が勝ったというのに朝日新聞ですら上のようなやる気のない論調ですから)

次期衆院選を占うというのであれば、都議会議員の議席数(や「勝敗ライン」の議論)でなく、党派別得票率を直近の選挙と比較するのが筋ではないかと思ったのですが、どこにも書いていなかったので、東京都選挙管理委員会のサイトを見てみました。

今回の結果はまだ出ていなかったのですが、平成16年の参院選のデータを見ると、東京都では

選挙区選出議員
 自民党 18.28% 公明党 14.90% 民主党 34.53%
比例区(名簿・政党合計の得票総数ベース)
 自民党 26.50% 公明党 14.70% 民主党 38.87%

となっています。

とすると、候補者の立て方によってはもっと議席が取れたんじゃないか、とか、投票率が低かったので公明党の組織票の割合が大きかったとかの比較が出来ると思います。
また、選挙制度による違いも大きいかもしれませんね。
※ 機会があればちょっと勉強してみます(口約束に終わる公算大)

PS 郵政民営化法案、衆院特別委で可決
   2005年07月04日17時35分 Asahi.com
   おいおい、早速ですか・・・

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イモネクタイ?

2005-07-03 | 買い物
シャツを買おうとセールに出かけたのですが、どうも今ひとつ。

せっかくだからとネクタイのコーナーへ。


そこで見つけたのがこれ





一瞬「サツマイモとジャガイモ?」と思ってしまいました。





見えません?




本当に?




でも、外国のデザインでジャガイモはさておき、サツマイモはないよなぁ、と思い




目を近づけてよく見ると










ヒヨコだったんですね






こっちを見上げているほうが特にいじらしく、「間違ってごめん!」と思わず買ってしまいました





PS さきほど、上の話も含めた日記調のものをupしたのですが、出来が冗長だったので全面的に書き直しました。さっきのエントリをご覧になった方、ごめんなさい。
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B列車で行こう!

2005-07-02 | キネマ
ちょっと前から気になっている映画があります。
TSUTAYAには1本しかなく、1週間レンタルなこともあって貸し出し中のことが多いので、ひそかな人気作かもしれません。



それは



これ












獲物をパンチして気絶させ捕らえる習性を持つえび“カマキリえび”。酒に溺れる毎日を送っている元ボクサーがそのえびにボクシングを教え込み人間と戦わせようとする・・・


けっこうこの手のバカバカしいのは大好きです
アイデアが命の低予算映画の誉れといえましょう

ぜひ今度借りようと思います




ところでこのあいだTSUTAYAに行ったら、







なんと














という邦画がありました



いやいや、昔の香港映画じゃないですが、臆面もなくパクってしまう商売根性は最近の日本人に欠けているところでもあり、頼もしいばかりです


さて、お話は

かつて無敵を誇った超日本プロレスのレスラー・貫一は病のため引退。死を宣告された彼は修行の末「いかレスラー」となってリングに復帰する、というスポ根アクションコメディ。
なんと巨匠、実相寺昭雄が監修を務めています。

宿敵「たこレスラー」、そして謎の「しゃこボクサー」も出現するそうです(笑)


これもなかなか本格的なB級映画のようです。

タイトルのあざとさといい、B級にはB級の意地を見せている姿勢は立派だと思います。
(話はそれますが僕は「起業した」なんて言う奴より「商売始めた」と言う奴の方を信用するタイプの人間なので・・・)

これも借りてみようかな。
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東京都民をなめていないかい?

2005-07-01 | 余計なひとこと

都議選前の採決見送り 郵政民営化関連法案

自民、公明両党は29日、郵政民営化関連法案の衆院郵政民営化特別委員会での採決について、7月3日の東京都議選前は見送る方針を決めた。自民党が公明党の要求を受け入れた。これにより、同法案の衆院本会議での採決も来週に持ち越された。
ただ政府、与党は来月6日から小泉純一郎首相が出席する主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)が開かれるため、5日中に衆院本会議で可決、参院に送付する方針だ。
          2005年 6月29日 (水) 14:14 Kyodo News

 せめてこっそりやればいいのに・・・
公明党は東京都民を馬鹿にしているんだろうか?


詳しく分析したわけではないのですが、修正案も、

【郵便局の設置】あまねく全国で利用されることを旨として、都市部も含め国民の利便性に万一にも支障が生じないよう十分配慮する旨、国会答弁を要求。
 【郵便局会社の業務範囲】郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として銀行業、生命保険業の代理業務を例示。(法案修正)
 【基金】1兆円を超えて積み立てることができる。ただし、2兆円まで積み立てる場合は1兆円までと同じルールで積み立てなければならない旨を規定。(法案修正)
 【株式持ち合い】(1)議決権の面で連続的保有を可能とするよう、議決権の行使に関する事項(基準日)を郵便貯金銀行、郵便保険会社の定款に必ず定めなければならない旨を規定。(法案修正)
 (2)民営化法105条、134条の決定後は郵便局(窓口)会社による横の持ち合いが可能である旨、国会答弁を要求。
 【限度額に関する政令】預入限度額・保険金額に関する政令の改正に当たっては、新会社の意見を十分聴くこととする旨、国会答弁を要求。
 【見直し規定】民営化法19条の民営化委員会による「検証」を「見直し」に修正。(法案修正)
 (注)地方公営企業法について所要の手当てを行う。

 と、自民党内の反対派(既存郵便局のサービス&利権温存派?)のために最初から用意したようなもののように思えます。

出口論とか、政府保証つきならかえって非効率な政府系機関を作るだけで意味ないじゃん、というあたりが全然手付かずですね。

以前のエントリで民主党の審議拒否を批判したのですが、与党の姿勢がこんなものではねぇ・・・

民主党の気持ちはわかる気もしますが、でもそれでスネちゃっても「ひかれものの小唄」にしかならないですし、難しいところです(もうちょっとがんばってほしいとは思いますが、どうすれば効果的な反論ができるのかは僕にはわかりません)。

とりあえず7/3の都議選には公明党の戦術の効果を検証させるためにも投票に行かねば。

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