一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

押井 守 『凡人として生きるということ 』

2008-09-12 | 乱読日記

映画監督の押井守氏が書いた本ですが、内容的には30歳前後までの若者をターゲットとして書いたものでした。
論理よりは情熱で書いた本で、すぐに読めますし、共感する部分もあります。

押井氏は若者に対して、現代は言葉が軽く扱われ、世の中にはキャッチフレーズやドグマが溢れている中、それらに惑わされずに、自分で考えて生きることが大事だよ、と語っています。 
そして自由というのは「何でもできる(が何もしていない)状態」でなく、「やりたいことをしている状態」と言います。  

問題とすべきは「人生の選択を留保していないか」「社会とかかわりを保っているか」の二点だけだ。  

映画を見続け、映画を語り続けて、映画に関わり続けた。そしてそのことに飽くことはなかった。これだけが僕のいわば「才能」であって、演出とか脚本とかそういうことについて初めから、特別の才能を持ち合わせていたわけではない。  

自分だけの価値観。自分だけの美学。それを磨いて磨いて、どこまでも極めていくうちに、やがてポツリ、ポツリとそれを理解してくれる人が現われ、やがてそれが一つの価値を作り出すことができれば、それこそがオタクの本懐である。

1951年生まれ、団塊の世代の端っことして学生運動の最盛期に高校生であった押井氏は、「革命を声高に叫んでいるのにまったく革命的でない大学生」に対する違和感、現実と向き合わない理念には意味がないという考えを持ち続けてきたといいます。
上に「重し」の世代がいたことが、本書にあるような流されず、しぶとく生きるというスタイルを作ったのかもしれません。

この辺については、山本直樹『レッド』(これについてのエントリはこちら)の第二巻の巻末にある山本直樹と押井守のインタビューで詳しく触れられていますので興味のある方はご一読を。



余談。

本書の中でスタジオジブリのプロデューサーの鈴木敏夫氏(1948年生まれでくしくも団塊の世代の一番先頭)について語っているくだりがあります。  

友人にはしたくないような、とんでもないやつらもたくさんいて、でも、仕事だから付き合えるし、そういう人間を面白いとも思える。例えば、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは友人としてはともかく、仕事というフィルターを通すと、これほど面白い人間はいない。  

映画評論で言えば、映画を作った党の監督が驚くような、「なるほど、オレが作った映画にはこんな意味があったのか」と作者自身をハッと目覚めさせ、作者の無意識をも再認識させるような評論にはめったにお目にかかれない。それが今、できているのはスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーぐらいだろう。

という人物評に興味を持って、次に読むことにしたのが鈴木敏夫『仕事道楽―スタジオジブリの現場』です。

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『タンパク質の一生』

2008-09-11 | 乱読日記
普段は読まないジャンルですが、どこかの書評を見て衝動買いしたもの

人間の細胞のさまざまな物質の発生・成長から物質の運搬、また毀損した物質の修復から分解までに働くタンパク質の機能をわかりやすく解説しています。

最初は高校の生物や科学のおさらいのような感じで細胞の中の各物質のやくわりとタンパク質についての基本からはいっていて、高校の化学で挫折した僕のような人間でも全編わかりやすく書いてあります。

印象に残ったのは、タンパク質の合成から分解などのプロセスにおいて「アバウトに作って、慎重にチェックする」というしくみが共通していること。
合成(製造)過程では多少の品質の不具合は無視して作ることに専念するが、それが機能しようというときには、二重三重のメカニズムでチェックされて、正しいタンパク質しか使われません。
使われなかったり役目を終えたタンパク質は分解されアミノ酸プールとして再利用されるので、無駄もありません。

鳥井信治郎の「やってみなはれ」とか新規事業への取り組みなどとも共通点があるかと、すぐ下世話な話を思い出してしまうのが僕の悪いところですが・・・


最後に豆知識。
最近コラーゲン入り健康食品が流行ですが、それらは消化器官を通じてアミノ酸へと分解された後に栄養素として再利用されるのでコラーゲンのまま吸収されることはありえない。
原料となるアミノ酸を増やす効果はあるかもしれないがそれらを取ったからと言ってコラーゲン繊維の合成が当然に増えるというわけではないそうです。




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レーザーレーサーの話

2008-09-10 | よしなしごと
先日食事をしたメンバーにシニアの大会で東京都○位という本格的なサラリーマン・スイマーがいました。

話題は自然とレーザーレーサーの話に。

レーザーレーサー自体は市販されてから人気殺到で、次回入荷は来年3月だとか。
そもそも月産3000枚くらいしか作れないので(酔っていたので数字は自信なし)、予約をしても入手できるかどうかはわからないらしいです。

彼はレーザーレーサーの前の製品(素材は同じで縫い目のあるもの。足首までの下半身を覆うタイプ)は買ったそうです。
実際に泳いでみると、飛び込んだりターンした直後のドルフィンキックのときにいつもはふくらはぎに水の抵抗を感じるのに、スーッと流れるように進むそうです。
(逆にそれを体感できるレベルの人でないと意味がないということでしょう)

彼は別に、国産メーカー(なんとか工業と言っていたので、専業のメーカーがあるみたいです)上半身も覆うタイプの水着も買ってみたそうです。
レーザーレーサーだと6万円するのがこちらは3万5千円だとか(これも記憶に自信なし。でもどっちにしても素人としては相当な金額だと思います。)。
ただこれは、着るのにも一苦労で背中のジッパーがなかなか上がらない。着ていても身体を強く締め付けるので、よほど筋力がないとかえって体力を消耗してしまうそうです。
オリンピックで泳ぎ終わった選手がすぐ背中のジッパーを下ろす気持ちがよくわかるとか。
確かにフェルプスや北島も下半身だけのタイプでしたね。


やはりかなり着る人を選ぶ水着のようです。


ところで「自民党総裁」という衣は着る人を選ぶのか、一度着てしまえばそれなりに結果が出るものなんでしょうか。

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逆張りの難しさ

2008-09-09 | あきなひ

「反省」の適時開示

当社の経営方針および開示方針に関するお知らせ
(株式会社アトリウム 平成20年9月8日 18:20)  

8月29日付のりんかい日産建設株式会社に係るリリースや9月3日付の投資有価証券評価損に係るリリース等につきましては、さらなる改善の余地があったものと真摯に受け止めております。

何が問題だったのかと調べてみると
当社が保証する債権の取立遅延のおそれに関するお知らせ
(平成20年8月29日 22:51)
りんかい日産建設の会社更生申し立てに関するものですが、他の債権をもっている会社に比べて開示が遅かったということでしょうか。それとも  

上記債権については、全額が不動産により担保されております。 
なお、今期の業績予想につきましては、当該事実を含めて精査中であり、変更等が生じる場合には、速やかにお知らせいたします。  

という「全額担保されて」るのに業績予想に変動の可能性があるというわけのわからない記載が問題になったのでしょうか(よく考えてみると「債権については、全額が不動産により担保されております」という意味も不明ですね。)。

また
平成21年2月期中間期末の投資有価証券評価損に関するお知らせ
(2008年9月3日 11:30)
は、中間期が8月末でリプラスなどの上場株式なので減損の結果はすぐにわかるはずなのに遅いということかでしょうか(さらに取引時間内の開示というのも問題がありそうですね。)。  


最初の開示を見ると、この会社は親会社のクレディ・セゾンの融資に対して不動産会社ならではの目利きで債務保証をする、債務不履行を起こした場合には担保権の実行を事業機会につなげるという「逆張り」がビジネスモデルになっていたようですが、そうであればこそ与信監理をしっかりしているところをアピールする必要があるということでしょう。  

それが

同事業では、初期の段階等において、必ずしも全ての担保不動産について、「融資保証の担保としてだけではなく、実際に自社で取得したい不動産か」という視点が完全には徹底されていなかったものと自己分析しております。  

と「調子に乗ってました」とあっさり言われると、株主としては文句の一つも言いたくなる気持ちもわかります。
(そもそもこのビジネスモデルは、親会社のクレディセゾンとしては連結ベースではリスクヘッジになってないじゃないか、という疑問はありますが。) 


ところでアトリウムという会社、どこかで聞いたことがあると思ったのですが、早稲田大学大学院ファイナンス研究科で 不動産実務投資講座(基礎編) 同(応用編) の寄付講座のスポンサーになっています。
大学側にとってはスポンサー探しにもリスクがつきものということですね。(そういえばコムスンの折口氏の慶應への5000万の寄付なんてのもありました。)


もっともこういう講座は、本来は不動産業界に逆風が吹いている今こそその教訓を織り込んで意義があると思うので、アトリウムには倒産しない限り歯を食いしばって社会貢献活動は続けて欲しいと思います。
でも受講生の方が集まらなくなっちゃうんでしょうか。本当は受講生にとっても1,2年後をにらんでの「逆張り」のチャンスなんでしょうけどね。

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『ダージリン急行』

2008-09-08 | キネマ
『再会の街で』を観た時に予告編でやっていた映画。


絶縁状態の3人兄弟が友情を取り戻すためにインド旅行をする、というそれだけではありきたりといえばありきたりの話なのですが、インドに行こうがどこに行こうが死ぬまでなおらなそうな3人兄弟それぞれのアクの強さが効いています。

個人的には、中年にさしかかった三兄弟の細かい行動がとても受けました。

インドに行ったからといって皆悟りが開けるわけでもスピリチュアルな体験ができるわけでもなく、でもまあ、旅に出ることで今までとちょっとこだわる部分が変わったりすることもあるよ、というところを、コミカルな部分とちょっとまじめな部分を上手にとりまぜて描いています。



ショート・ムービーが一緒に入ってますが、これは本編の前のちょっとしたエピソードになりますので、これから先に観たほうがいいです(これだけナタリー・ポートマンが出てます。)


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日本相撲協会のリスクマネジメント不在

2008-09-07 | あきなひ
露鵬と白露山 精密検査も大麻陽性
(2008年9月6日(土)16:15 産経新聞)

一連のゴタゴタを見て思うのは、相撲協会は抜き打ち検査をやると決めたときに陽性反応が出た力士がいたらどういう対応をするのかということを考えていなかったんだろうなということ。

全員シロという「いい結果」しか出ない前提でアクションを起こすというのは、それ自体リスクマネジメントができていないわけで、それだけでも執行部の能力が問われると思います。

検査機関の第三者性・信頼性をどこまで確保するか、陽性反応が出た力士の処分手続き(弁明の機会など)をどうするか、処分基準をどうするかなど、十分に議論すべきだったと思います。

元若ノ鵬 起訴猶予へ (2008年9月7日(日)08:15 産経新聞)
ということですが、最初から「刑事処分があれば相撲協会でも処分」などの基準を公表していたならともかく、緩い処分にしても厳しい処分にしても物議をかもすことになってしまいます。


このへん、企業の不祥事対応にもいえることです。
今まで懲戒を発動したことがない会社がいきなり不祥事に関与した従業員を解雇したとしても、不祥事の悪性次第では解雇無効を徹底的に争われると負ける可能性があります。
特に解雇が難しいからと言って依願退職をこれまた強要した場合にその経緯を暴露されると二次遭難になってしまいますし。

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J-Reit全体の"prospect"でもあるような

2008-09-06 | あきなひ

プロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズ株式会社に対する行政処分について
(平成20年9月5日 金融庁)

2.法令違反行為等の概要は以下のとおりです。
○不適切な利益相反管理態勢
当社は、資産運用委託契約を受託しているプロスペクト・レジデンシャル投資法人(以下「当投資法人」という。)の資産の運用において、利害関係者からの取得となる不動産の鑑定評価を依頼する際に、利益相反防止の観点から問題となる、
①売主の売却希望価格と同額以上で概算評価額の算定を行うよう依頼する行為等の不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけ
②複数の業者に売却希望価格を提示して概算評価を依頼し、希望価格以上の価格が提示されない場合には、当該価格以上又はそれに近似する価格が提示されるまで、不動産鑑定業者を追加して概算評価額の算定を依頼する不適切な不動産鑑定業者選定プロセス等を行っていた。

証券取引等監視委員会の勧告が6月17日にあってからずいぶん日にちが経ってからの処分ですが、勧告内容とほぼ同じです。
これを受けて
金融庁による業務改善命令に関するお知らせ
(プロスペクト・レジデンシャル投資法人 プロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズ株式会社連名)

ご指摘を受けた、利害関係者取引において複数の業者に概算評価を依頼するなど物件取得時の不動産鑑定業者依頼・選定プロセスの問題については、利害関係者からの物件取得における不動産鑑定機関を財団法人日本不動産研究所の1機関に限定し、同機関が算定した鑑定評価額以下で購入することとし、完全に透明なプロセスとします(なお、利害関係者以外からの物件取得における不動産鑑定機関も財団法人日本不動産研究所を含む5機関に限定します)。

何社にも発注して「いいとこ取り」をするのがいけないと言われたからといって、何も発注先を特定の一社に絞らなくてもいいと思います(「財団法人」というお墨付きが大事なのかもしれません。)。
今回の業務改善命令も、鑑定業者選定プロセスの問題点は、「売主希望価格以上又はそれに近似する価格が提示されるまで、不動産鑑定業者を追加して概算評価額の算定を依頼する」というところが不適切と言われたわけで、常に一社に絞れとは言っていません。
鑑定評価も人間の行う行為なので、一定の範囲に収まるとしても結果に幅がある以上「完全に真っ白な鑑定業者選定プロセス」というのを事後的に疑ってかかってきた人を完全に説得するのは難しいわけですが、上の対策はちょっと過剰反応のように思います。
処分公表の当日にとりいそぎ出す必要まではないように思います。


これを受けて他のJ-Reitも金融庁怖さに「右へならえ」をすると、実質的に利害関係者取引においては財団法人日本不動産研究所の公定価格でしか行わない、ということになってしまいかねませんが、それは逆に健全でないようにも思います。
現在J-Reitが値崩れを起こしている中で、スポンサー企業(=利害関係者)の信用力や物件供給力によって利回りに差がついていますが、スポンサー企業が上場企業の場合、自らの株主にも善管注意義務を負う以上、日本不動産研究所のいわば公定価格でしか売れない関係J-Reitへの売却を選択できない、ということになってしまわないでしょうか。

上の対策も金融庁と協議した結果だとすると、またぞろ「官製不況」などということになりかねないような・・・


ここで思考実験。

1 今回利害関係者「からの」取得なので高い鑑定評価のチェリーピッキングが問題になりましたが、J-Reitが売主の場合は、運用会社は逆にできるだけ高く売る忠実義務があるので、逆に何社かに鑑定評価を出させて、その一番高い金額で売却をするという行為をしなければいけないようにも思うのですが、どうなんでしょうか。

2 市況が急落しそうなときに物件を早く売却しようとして数社の買主候補に対して入札をしたが、そのとき取った唯一の鑑定評価(取引事例などにはタイムラグがあります)を最低落札価格として入札価格がそれに届かなければ売却を断念しなければいけないのでしょうか。
(注)金融商品取引業者向けの監督指針では

Ⅵ-2-5-3 不動産関連ファンド運用業者の業務に係る評価項目
(1)不動産の取得及び売却の際のデューディリジェンス態勢に係る評価項目
③ エンジニアリング・レポート(以下「ER」という。)及び鑑定評価書の作成を委託及び受領する場合には、以下の点に留意することとする。
ホ.デューディリジェンスの結果を踏まえ取得・売却価格を算定する際、ER及び鑑定評価書の記載内容等を活用しない場合には、採用した数値等の妥当性を検証するとともに、その根拠を記録保存することとしているか。

と、かならずしも鑑定価格だけに縛られる必要はないような書きぶりですが、「採用した数値等の妥当性・・・の根拠」をどんな検査官が来ても大丈夫なように準備する、ということは事実上不可能です。
あえてそれにチャレンジして金融庁から処分されるリスクを取るよりは、投資家のためにはベストとは思えないが運用会社の安全を最優先にする、という方に流れるでしょう。

この先は、外部運用型のReitのエージェンシーコスト問題になりますが、外部運用型+運用会社の監督という制度設計がうまく機能するかが(特にこの逆風下で)問われると思います。
(個人的には運用会社を子会社に持ち、J-Reitへの物件供給を主目的とした不動産ファンド運用会社の上場を認めた時点で制度的にはひずみが生じていると思うのでなかなか困難だと思いますけど。)

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中目黒 藤八

2008-09-05 | 飲んだり食べたり
「大衆割烹」と銘打ってますが世間では居酒屋の有名店です。
当地で31年目。今では居酒屋といえばチェーン店を除けば雰囲気のある店というポジティブな感があるのでしょうが、当時は「ホッピーは置いてないぞ」というくらいの気構えだったのではと思います。

中目黒といえばいまではオシャレな街というイメージですが、もともとは庶民的な街だったようです。

歴史的に言えば、目黒は江戸のはずれにあたります(こちら参照)。
何しろその先で殿様が鷹狩りをして帰りに寄ったというのが落語「目黒のさんま」ですから。
また、上の「町奉行所支配場堺筋」というのは都電の路線の範囲とほぼ同じというのは面白いです(参照
中目黒は築地までを結ぶ8系統(地下鉄日比谷線がその後をなぞっています。)の始発駅でした。

さて本題。

今回は友人との飲みだったので写真付き(そのかわりピンボケや、箸をつけてからおっとと、というのもありますが(汗))

自家製〆鯖。
酢が利きすぎておらず美味




イカわた




ネバネバ寄せ(納豆、オクラ、山芋、めかぶ)




ほや。ワタでなくて身のほう。
てんこ盛りです。




牛スジ煮込み。
見た目よりしっかりした味です。




名物イカのかき揚げ
半分食べてこの大きさです。




この店はオーソドックスな居酒屋といえます。
地酒が豊富というわけでもないですし(でも獺祭が置いてあります)、料理のメニューも刺身から焼鳥、コロッケ、さらにはブロッコリーや冷やしトマトなど「まんま」のものまでまんべんなくあります。

特筆すべきは店の雰囲気。
気持ちのいい喧騒があります。
場所柄、勤め帰りのオジサンや会社の飲み会、はたまた近くの業界系の人や、「こういう渋い店知ってるんだぜ」とガールフレンドをつれてくる若者など雑多な人々が気持ちよく飲んでいます。

その間を女将さんを中心にしたフロアのチームがきびきびと働いています。
最近の店に珍しくフロアの従業員の数が多く、それが皆きびきびと働いているのが好感できます。
なかでもお上さんはサッカーのボランチよろしく、片付け、オーダー取りやそれらの指示、そしてその合間に客いじりなどと大活躍です。
しかも、ボールを抑えてワンタッチしたらすぐ空きスペースに走りこむ呼吸が絶妙です。
フロアスタッフには中国人もいるのですが、愛想もよく商品知識も豊富で客あしらいも上手で、教育が行き届いています(OJTの結果?)。

忙しくなればなるほど店全体のグルーヴ感が出てくる、そんな感じの居酒屋です。

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重いからこその「重責」

2008-09-04 | あきなひ

なるほど、と思うとともに、自省を促される記事です。

「成果が出ているときは、人は成長しない」
(Diamond Online)  

仕事には「モチベーション」が大切です。高いモチベーションを維持するためには、小さな成功体験を重ねること。それが続くと、いわゆる「やりがい」を感じます。多くの人はそれを求めるし、それが感じられれば楽しいでしょう。でも、そのやりがいを感じているとき、実は能力はほとんど伸びていないのです。 
しかしどんな難しいパズルであっても、「答え」は必ずあります。仕事においても同じです。答えのある仕事では、どんなにやりがいを感じても、それで能力が大きく伸びることはありません。うまく行くことしかやっていないからです。  

モチベーションが落ちるときは、心身が疲労します。でも本当のトレーニングというのは、疲労して初めて意味があるもの。いい汗をかいて気持ちいいというレベルでは効果は出ません。負荷をかけてかんばるからこそ、心肺能力が上がるわけです。  

「あれがない」「これがない」と言い訳ばかりしていては、結局何もチャレンジしないことになります。どんなに条件が悪くても、それを踏まえて解決するのが仕事なんです。これは考え方の根本原理で、そこを避けて通ると、他の人と同じになってしまう。  誰もがチャレンジャブルだと思って取り組む仕事は、その時点でまったくチャレンジャブルではない。本当にチャレンジャブルなのは、解決の糸口がまったく見えない状況を指します。  

大事なのは、どれだけ考えたか。どれだけ発想を変え、知恵を絞って実行に移したか、ということです。その結果、解決できなくてもいい。私はこれを「思考経験」と呼んでいますが、こうしていろんな発想を実行し、フィードバックを得て、またそれを超えるために考える、という繰り返しが応用力のある頭をつくるのです。  

どんなに知識や情報を持っていたとしても、「思考経験」を積み重ねていなければ、漫然と記憶したある一定の成功パターンを繰り返しているだけ。本当の応用力は生まれておらず、それはただのルーチンワークにすぎないのです。自分が成功体験だと思っているものの多くが、実はルーチンワークだったりする。本当の意味でチャレンジャブルなクリティカルワークになっていないことが多いのです。

モチベーションがゼロになるまでは加圧すべきです。ただし、人によってどこがゼロかは違う。行き過ぎると病気になりますから、もちろんそこまではやってはダメ。  
ただ、むしろ精神的につぶれやすいのは、面倒な問題から逃げ、楽しい仕事ばかり求めてしまう人だと思います。そうやって逃げ続けていると、だんだんテンションが落ち、モチベーションが下がり、ついには逃げ場を失うわけです。

最後の部分については自分に対してだけの心構えにした方がよいかと(モチベーションがゼロの状態で動き出すことができるためには、ターミネーター(シュワルツェネッガーが演じた旧型の方)のように補助動力が必要ですね。)。
また、部下に対する場合は特に注意が必要でしょう。  



ここまでが本題だったのですが、これを読んで改めて気になったのが福田首相の辞任発言。
 
(9/1)福田首相の記者会見要旨
(Nikkei Online 一部省略)  

昨年、私は安倍晋三前首相からバトンを引き継ぎ、9月26日に就任して以来、1年近くたった。(昨年7月の)参院選で与党が過半数割れをするという状況の中で、困難を承知で首相を引き受けた。  

正直言って、最初から政治資金の問題、年金記録問題・・・など、次から次へと積年の問題が顕在化してきたことに遭遇し、その処理に忙殺された。  

その中でも将来を見据え、目立たなかったかもしれないが、これまで誰も手をつけなかった国民目線での改革に着手した。例えば、道路特定財源の一般財源化・・・。最終決着はしていないが、方向性は打ち出せたと思っている。  

今年に入り、経済、景気問題が大きな課題として浮上した。・・・なんとかして強力な対策を作らなければいけないと思い、その態勢を整えることを目的に、8月に内閣改造を断行した。  

強力な布陣のもとで先週、総合的な対策を取りまとめることができた。臨時国会では・・・国民生活にとって一刻の猶予もない重要な案件を審議する。先の通常国会では、民主党が重要案件の対応に応じず、国会のかけひきで審議引き延ばしや、審議拒否を行った。その結果、決めるべきことがなかなか決まらない事態が生じたほか、何を決めるにもとにかく時間がかかった。  

今、日本経済、国民生活を考えた場合、今度開かれる国会でこのようなことは決して起こってはならない。そのためにも態勢を整えた上で、国会に臨むべきだと考えた。  

国民生活のことを第一に考えるなら今、政治のかけひきで、政治的な空白を生じるという政策実施の歩みを止めることがあってはならない。この際、新しい布陣で政策実現を図っていかなければいけないと判断し、私は本日、辞任する決意をした。
(以下略)  

「困難を承知で首相を引き受けた。」とはいうものの、「漫然と記憶したある一定の成功パターン」で対応できる「答えのある仕事」だと考えていたのでしょうか。 
はたまた、お歳なので、これ以上負荷をかけて能力を伸ばすつもりはない、ということだったのでしょうか。

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ヤムイモ

2008-09-03 | あきなひ

タカラバイオ株式会社(4974)の適時開示
ヤムイモの一種トゲドコロが、脂肪代謝を活性化する遺伝子とその転写因子の発現を増加させ、運動機能を高めることを遺伝子的に証明

タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)のバイオ研究所は、これまで、沖縄の契約農園等で栽培されているヤムイモの一種であるトゲドコロ(Dioscorea esculenta)の研究を続けてきました。昨年の第61回日本栄養・食糧学会大会では、トゲドコロが抗疲労効果を示すことを発表しましたが、今回、このヤムイモに脂肪の代謝を活性化し運動機能を高める作用があることを、マウスを用いた運動モデルで遺伝子的に証明しました。この成果を京都市で開催される日本食品科学工学会 第55回大会で、本年9月7日に発表します。

北京オリンピックのボルト選手で一気に注目を浴びたらしいヤムイモです。
たとえば
ボルトの父も感激ヤムイモ効果だ/陸上
(2008年8月17日8時58分 日刊スポーツ)

ウサイン・ボルト(21)が、9秒69の世界新記録で金メダルを獲得した。ボルトの世界新Vについて、ジャマイカに住むボルトの父は子どものころから食べていたヤムイモの力に感謝しているだろう、と語った。

など。

研究の詳細はこちら にありますが、遺伝子の特許を取っているわけでもなさそうなので業績への影響はたいしてなさそうなのにどうして適時開示なんですかね。

風説の流布とはいいませんが、効果的(または安易)なプレスリリースとしてつかっているような・・・

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『カルラのリスト』

2008-09-03 | キネマ

国連安全保障理事会決議により1993年に作られたICTY(旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷)の検察官カルラ・デル・ポンテの活動を記録したドキュメンタリー映画。

ICTYは2001年にユーゴスラビアの元大統領ミロシェビッチを逮捕し、その後も逃亡中の旧ユーゴ紛争の戦争犯罪人を捜索する中での、2005年の活動を追っています。
ICTYは実際の捜査や逮捕・拘束は各国の協力に委ねるなかで情報収集に特化して活動します。
当時逮捕されていなかった大物の戦争犯罪人としては、セルビア人の元将軍カラジッチ、ムラディッチ、クロアチア人の元将軍ゴトヴィナなどがいましたが、デル・ポンテは、2005年末にはゴトヴィナの逮捕にこぎつけます。
映画の中では、セルビアやクロアチアなどの政府が情報提供に非協力的ななか、EU加盟を希望するクロアチアに対してICTYのEUへの報告書が影響力を持つことをてこにゴリゴリと圧力を加える様子や、表面上は協力を約束しつつ非協力的なセルビアの首相に対してEU諸国やアメリカなどを通じた政治的影響力を駆使する様子が描かれています。
国際政治の舞台裏を垣間見ることができる作品です。


旧ユーゴ紛争の戦争犯罪人といえば、今年の7月にセルビアのカラジッチが拘束されました。
毎日新聞の記事「クローズアップ2008:逃亡12年…カラジッチ被告拘束」によれば、

2008年4月 EUがセルビアと加盟の前段階となる「安定化・連合協定」を締結
2008年7月 セルビアで親EUのツベトコビッチ政権が発足

という政治的背景が後押ししたようです。
政権発足が7月8日で拘束が7月21日ということは、元々セルビア政府は居場所を知っていたようです。 

こんな記事も
カラジッチ被告、戦犯法廷に初出廷 罪状認否を留保
(2008年08月01日 12:02 CNN)  

同被告は、法廷が「7月21日」とした逮捕日より前に、不当に拘束されていたなどと主張。さらに、96年に、ボスニア和平の立役者となった米国のホルブルック国務次官補(当時)との間で、同被告が公の場から退けば訴追を免れるとの取引があったと述べた。

米情報筋「カラジッチ被告の密約は事実」、セルビア紙
(2008年08月03日 13:53 AFP)  

セルビアの日刊紙ブリッツ(Blic)は2日、ある米情報関係者の話として、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(1992-95年)当時のセルビア人指導者、ラドバン・カラジッチ(Radovan Karadzic)被告(63)が米国との「密約」により保護されていたことは事実と報じた。  

同紙は「問題に通じた米情報関係者」の話として、カラジッチ被告は公の場から姿を消すことの見返りに訴追を免除されるとの密約を米政府と交わしたが、2000年に米中央情報局(CIA)の電話盗聴で、自らが設立したセルビア民主党(SDS)の会議の議長を務めていることが米国に知れたことで、密約は白紙に戻されたという。  

この映画でも米国との密約は焦点になり、アメリカ政府は頑強に否定していましたが、報道の通りだとすると、映画撮影当時の2005年はすでに密約は白紙になっていたので、米国も否定するしかなかったようです。  


一方、残る大物ムラディッチはセルビア政府のコントロールが効かない軍部に保護されているようで、拘束は困難視されています。
残る戦犯、ムラジッチ被告 軍が保護「拘束困難」
(2008年7月31日(木)08:15 産経新聞)  

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時のセルビア人指導者カラジッチ被告が旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)に移送されたことに関連し、英情報機関元幹部は29日、産経新聞と会見、逃亡を続けるセルビア人勢力司令官で、同紛争の残る大物戦犯、ムラジッチ被告について「セルビア軍の協力者にかくまわれているため、拘束は容易ではないだろう」との見通しを示した。 

カラジッチ被告は、欧州連合(EU)への統合を目指すセルビアのタディッチ大統領の指示で拘束された。だが、軍内部にはEU加盟を望む親欧派が少ないため、「ムラジッチ被告の拘束にはかなりの困難が予想される」と元幹部は指摘した。  

今回の拘束で中心的な役割を果たしたのは、これまでカラジッチ被告を見逃してきたセルビア秘密情報機関で、同被告と接触していたおいを長期間にわたって監視、電話の盗聴を続け、同被告の居場所を突き止めた。米欧の情報機関はセルビア当局に拘束を急ぐよう圧力をかけ続けていた。    



話は飛んでしまいますが、これと比較すると極東軍事裁判は連合国にとってはとても円滑に進んだんだな、という妙な感慨を覚えます。 
職業軍人や政治家には国外逃亡できるほどの資金力やルートもなく、国内でかくまい続けるような組織もなかったということは、大日本帝国自体がとても統率の効いた組織だったということをあらわしているのかもしれません。  

なんか国全体が所得が把握され徴税されやすいサラリーマンだったような感じもしますが(特に戦犯の中には個別に上手に立ち回った人などがいたりするところも)・・・

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福田首相辞任

2008-09-02 | まつりごと
福田首相が辞任を表明、決断は先週末に
(2008年9月1日(月)21:42 gooニュース)

あ、そう?
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イタチの最後っ屁

2008-09-01 | あきなひ
週末、アメリカから何年かぶりに帰国した友人を囲む飲み会。

先月仕事の関係でノースカロライナからミシガンに引っ越したばかりということで、その話題がひとしきり。

今回家も買い換えたのだけど、売り物の候補物件はこのご時勢かなりあったようで、ただ多くを占めるforeclosure(抵当流れ)物件は不動産屋からやめたほうがいいと言われたとか。
アメリカの住宅ローンはノンリコースなので、返済につまっても抵当に入っている家さえ手放せばその他の個人財産まで取り立てに来ない。
とはいうものの、やはり家を手放すのは悔しいので、明け渡しの際に室内や設備をを壊したり汚したりする奴が結構多いので、買ってからの手間がかかったり思わぬトラブル(電気系統とかは一見わからないので)に巻き込まれることもあるらしいです。

成約してナンボの不動産屋がそこまで言うのは妙に説得力があります。

確かに賃貸と違い、明け渡す際に原状回復が必要なわけではないので、「汚く使っててごめんなさい」と言われれば債権者としても不法行為を立証するのはなかなか難しいですね。

やはりサブプライム・ローンで持ち家の夢を見て挙句に返済できなくなった恨みというのがあるのでしょうか。
「立つ鳥跡を濁さず」とまでは期待できなくとも「後は野となれ山となれ」であれば(そもそもそれがノンリコース・ローンのコンセプトですから)計算のうちなののでしょうが、人間の業の深さは計算を上回っているようです。

また、実際に抵当権を行使して換金するサービサー業務を誰がやっているのか知りませんが、フトコロが痛むのはローン債権を持っている人なので(しかも証券化されて最終的に帰属する人の顔が見えなくなっている)、サービサーにも細かく債務者の行いを監視したり責任追及するインセンティブもなさそうです。


法律的(弁護士に大枚はたいて?)には精緻にくみ上げられているはずのストラクチャード・ファイナンスですが、理論的に精巧であるほどこういう形而下の部分で足を引っ張られるということがあるのかもしれません。


日本のノンリコース・ローンも実際にデフォルトが起きたときに契約書に書いたメカニズムが機能するのかどうか、けっこうつまらないことがネックになったりするんじゃないかな、という部分はちょっと興味があります。


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