NHKで小津安二郎監督の 晩春をやっていました。
晩春は昭和24年 小津・原節子さんコンピの最初の作品で 東京物語の
公開は これの4年後になります。
70年近く前の作品となると 以前は画面に雨が降り見づらかったですが
デジタルリマスターの技術で 美しく蘇りました。
妻に先立たれた男と 適齢期になったその娘が 自分が嫁げば一人になる
父親を心配しつつ 嫁に行くという話で 父娘の心情を綴ったものです。
父親は笠智衆 おばに杉村春子さんで のちの東京物語では親子になった
2人でしたが 晩春撮影時には 実年齢45歳と43歳という若さでした。
名優として 没後も名の残る役者さんは 板についた老け役を演じます。
67年前の晩春の出演者は 昨年原節子さんが亡くなり 今は90歳を超える
月丘夢路さんだけが ご存命のはずです。
撮影時28-9歳の原節子さんは 輝くように美しく 当時の女性としては珍しく
背がすらりと高くて にっこりすると 大輪のバラにも見えました。
一人になる父親が心配で結婚を渋る娘に 自分はのち添えをもらいたいと言う
父親 それを聞き 持ち込まれた縁談を受ける娘 やがてやってくる婚礼の日。
娘が嫁いだ夜 居間にぽつんと座り リンゴの皮を ゆっくりむき始めた父親の
寂しげな背中が映り そこで終の字が出ます。
物語の舞台は鎌倉で 当時の駅や家並み 心癒される日本の風景も魅力です。