月一で歯医者さんへ行きますが いつも朝一番の時間を予約し
歯石を取ってもらうメンテナンスは 20分ほどで終わります。
終って外へ出たところで 次に入ろうとした人を見て あれっと
振り返ると 向うもこっちを見て
「 〇〇ちゃん じゃない? やっぱりそうやぁ 」 と言い
私の手を握ったマダムは 高校時代の同級生です。
聞けば同じ歯医者に 同じようなメンテナンスで もう10年も
通っているとのことで 今までに 会わなかったのが不思議です。
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お互い ばあちゃんになったねと ころころと笑う彼女の歯に
金属の輪が見えました。
ははぁ~~ん 部分入れ歯をしちょるねと 吹き出しそうになり
なになに なんかおかしい? と相手は聞きます。
いや なんでもない それよりあんた 時間じゃろと言い
ケイタイの番号を聞いて 別れました。
帰り道 自転車をふみながら もう一度 笑いがこみ上げました。
それは 50年近く前の高校時代に 彼女が言ったことを思い出した
からです。
彼女の父親が総入れ歯となり その入れ歯が 50年前のものなら
きっと具合が悪かったでしょう たびたび外しては ながめている。
落ち込んだ口元 手に持った入れ歯が ぞっとするほど不潔で汚く
もし自分が将来 入れ歯が必要になるなら その前に死のう
絶対に死ぬことにする! と18歳の彼女は 力強く宣言しました。
べつにぃ 入れ歯になっても 死ぬこたなかろぉと 当時の私でした。
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部分とはいえ 入れ歯になっても ちゃんと 生きていました彼女は
すっかり47年前の決意を忘れ たくましき おばさんになっていました。
次 お互いの時間が合うとき お昼でもいっしょに食べて そのときに
47年前の決意は どこへ行ったか 聞いてみましょうねぇ アハハ。。